大規模修繕2回目は資金不足に注意!効果的な対処法と成功のコツを解説

2回目の大規模修繕は1回目とは工事の内容や項目が異なり、資金面で苦労するケースが多く見受けられます。

「予算ギリギリの見積もりだけど修繕積立金を使いきって大丈夫?」「本当にこんなにたくさん工事が必要?」といった不安や疑問も少なくありません。

納得していないまま進めてしまうと、2回目の大規模修繕だけでなく今後の資金計画に大打撃を与えてしまうことも。

そこで、本記事では1回目と2回目の大規模修繕の違いや2回目の大規模修繕を成功させるコツ、資金不足の対処法を紹介します。2回目の大規模修繕を控えている方はぜひ参考にしてください。

大規模修繕2回目は1回目より工事費用が不足しやすい

2回目の大規模修繕工事は、今後の資金計画の命運を分けるターニングポイントです。

1回目よりも修繕費用が高額になるため、多くの管理組合が2回目の大規模修繕で資金不足に悩んでいます。

国土交通省の大規模修繕工事の回数と工事費用に関するデータをもとに作成した下記のグラフをご覧ください。2

国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」をもとに作成

上記のグラフのとおり、工事回数を重ねるごとにもっとも多い割合の工事金額が高くなっていることがわかります。

1回目の大規模修繕はマンション購入時に徴収している修繕積立基金があるため、修繕積立金が足りなくても資金ショートしないケースが大半です。

しかし、2回目以降の大規模修繕費用は基本的に毎月積み立てる修繕積立金から捻出しなければいけません。先を見据えて計画的に積み立てられないと、資金計画は厳しくなる一方です。

修繕積立金が足りないときの対処法は下記記事でも紹介しているので参考にしてください。

修繕積立金が足りない!今からできる6つの対処法と解決策を解説

大規模修繕2回目の工事内容

2回目の大規模修繕のおもな工事内容は以下のとおりです。

・屋上防水の撤去・新設

・外壁塗装の除去・塗装

・建具金物などの取替え

・給排水管の取替え

・貯水槽の取替え

・ガス管の取替え

・エレベーターのリニューアル

・立体駐車場の建て替え(自走式駐車場)

大規模修繕1回目に補修で済んでいた項目も、2回目になると新しいものへの取替えが必要です。

とくにエレベーターのリニューアル工事や給排水管の更新工事など設備関連の大きな修繕が予算を圧迫します。

参照:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」

大規模修繕2回目はいつやる?

2回目の大規模修繕をおこなうべきタイミングは、マンションによって異なります。ここでは「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」をもとに「築年数」と「修繕周期」2つの観点から、2回目の大規模修繕がいつ実施されているのかみていきましょう。

築年数

工事回数ごとの築年数について、以下の表をご覧ください。

大規模修繕の回数 築年数の中央値 築年数の平均値
1回目 15年 18.2年
2回目 28年 29.4年
3回目以上 40年 37.3年

参照:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査≪2≫マンション大規模修繕工事について」

2回目の大規模修繕が実施されるときの築年数の中央値は28年、平均値は29.4年という結果がでています。割合でみると、もっとも多いのが築26年~30年で47.2%でした。これらの結果から、2回目の大規模修繕をおこなうタイミングは「築30年を迎える前」が目安といえるでしょう。

修繕周期

工事回数ごとの修繕周期は以下の表のとおりです。

大規模修繕の回数 修繕周期の中央値 修繕周期の平均値
1回目 14年 15.6年
2回目 13年 14年
3回目 13年 12.9年
4回目以上 13年 13.1年

参照:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査≪2≫マンション大規模修繕工事について」

大規模修繕2回目の周期は中央値が13年、平均値が14年という結果がでています。竣工から1回目の大規模修繕までの周期よりも、1回目から2回目、さらには2回目から3回目の大規模修繕までの周期のほうが短いのが特徴です。

周期が短くなるということは、修繕積立金を積み立てる期間も短くなることを意味します。単純に工事項目が増えることで資金不足が懸念されるだけでなく、周期が短くなることも資金面で苦労するひとつの理由といえるでしょう。

大規模修繕2回目を成功させる5つのコツ

大規模修繕2回目を成功させるコツは5つあります。

・こまめにメンテナンスする

・長期修繕計画を見直しておく

・大規模修繕1回目の経験を活かす

・居住者のニーズの変化に対応する

・マンション性能を向上させる

順に詳細を解説します。

(1)こまめにメンテナンスする

実は「大規模修繕工事」の定義はなく、一般的には、足場をかけて行う計画的な修繕のことを大規模修繕工事と言っています。

したがって、大規模修繕工事を待たずとも、日常生活に支障がでるような建築上、設備上の不具合があれば、必要な修繕は先送りせずに実施しましょう。こまめにメンテナンスしていれば、修理費用をおさえられる工事もあります。単独でできる工事は大規模修繕を待たずに実施することも視野に入れておきましょう。

(2)長期修繕計画を見直しておく

1回目の大規模修繕が終わった段階で、長期修繕計画を一度見直してみましょう。大規模修繕は計画通りに進むとは限りません。追加工事が発生するなど、計画よりもコストがかかっていることも。逆に不要な工事が計上されていれば、見直しで省くこともできます。

また、人件費や資材費は、毎年変わっていくものです。微修正していかなければ、2回目以降の大規模修繕を迎えるころには現実的でない資金計画になっている可能性が高くなります。

また、修繕積立金の徴収が段階増額積立方式になっているのに、増額が決議されず徴収額が据え置きになっていることも少なくありません。長期修繕計画に見合った資金を確保できるのかも確認しておきましょう。

(3)大規模修繕1回目の経験を活かす

2回目の大規模修繕は、1回目の経験から得たノウハウを存分に活用しましょう。工事の内容は1回目とは異なりますが、全体像がわかるため修繕委員の立ち上げから工事完了までのおおまかな流れは想像できます。可能であれば、1回目の大規模修繕の際に修繕委員だった人をオブザーバーとして呼び、委員会に参加してもらうのも良いでしょう。

1回目の反省点を活かすためにも、改善の余地があったことについて洗い出しておいたり、1回目の修繕委員を務めた方にアドバイスをもらったりと、前回の経験を無駄にしないように振り返り、2回目の大規模修繕に活かしましょう。

(4)居住者のニーズの変化に対応する

2回目の大規模修繕は、新築時から30年近く経過しています。居住者の年齢層が上がるなど属性が変わっている可能性が高く、マンションに求められるものも変化しているはずです。

セキュリティ強化やバリアフリー化など居住者のニーズにあった工事ができれば、居住者の満足度を向上させられます。工事中は生活が制限されるなど居住者の負担が大きいですが、生活をよりよくするための工事があれば、気持ちよく協力してもらえるでしょう。

(5)マンション性能を向上させる

新築当初よりもグレードの高い設備に変更したり、耐震や省エネなどで付加価値をつけたりと、マンションの性能を向上させることも検討しましょう。

築年数が経過するほど、手を入れなければマンションに住みたいと思う人の数が減り資産価値が下がっていくのは避けられません。マンションの性能が上がれば、資産価値の低下を防止でき、居住者の生活の質が上がるため、入居率の維持にもつながります。

2回目の大規模修繕費用を払えないときはセカンドオピニオンが効果的

そもそも大規模修繕は余計な費用がかかっていることも多く、金額が膨れやすい実態があります。

「せっかく足場をかけるのであればできる工事はやってしまおう」という大規模修繕の特性や「工事をやらずに不具合がおきたら責任が重くなる」などの管理会社の保守性から、過剰な工事になりがちです。

管理会社は悪意がなくても、事前に防げるトラブルは防いでおこうという考えから、立場上保守的にならざるを得ないからこそ、第三者の専門家がチェックすることで不要不急の工事内容を削除するなど、工事金額を適正なものにすることが大切になります。

セカンドオピニオンを依頼すると、管理組合は一般的に以下2つの方法で修繕費用を見直すことが可能です。

・工事内容を精査してコストダウンする

・工事の進め方を再検討する

順に解説します。

工事内容を精査してコストダウンする

管理会社や施工会社から提出された見積もりに対してセカンドオピニオンを依頼することで、第三者目線で工事内容・費用の妥当性を判断できます。

見積もりを正しく理解し妥当性を見極められる管理組合は少ないです。提出された見積もりを疑うことなく提案されたままに進めてしまうと修繕費用が膨れ上がってしまいます。

とくに大規模修繕の場合は、施工会社や設計会社の経費が意外に多く上乗せされているケースも少なくありません。

セカンドオピニオンすると、会社の経費も含めて妥当な金額がチェックできるため、過剰な修繕項目や費用を見抜けコストダウンに繋げられます。

工事の進め方を再検討する

セカンドオピニオンにより工事の進め方から再検討する方法もあります。

設計監理方式での進め方を検討しなおしたり工事の発注先を再検討したりする段階まで引き返したりすることで、一旦見積もりを白紙に戻す方法です。

管理組合にとって、改めて予算内におさめる最適な方法を模索できる理想的なやり方といえるでしょう。

しかし、前理事が総会で承認したものに対して問題提起することになるため、反感をかう可能性が高く区分所有者の合意形成も取りにくいことが懸念されます。

さくら事務所なら管理会社との良好な関係も継続できる

さくら事務所は、前理事での決定事項を引き継ぎ、管理会社との関係性も継続できる最善策(修繕★参謀)を提案します。

修繕★参謀
https://www.s-mankan.com/service/shuzensanbou.html

修繕★参謀は、管理会社に一任する方式や設計監理方式ではなく、管理組合が施工会社を公募し、選考の上施工会社一社を選定する過程をサポートするサービスですが、設計監理方式が採用されている場合でも管理会社や設計事務所との関係を壊さずに、セカンドオピニオンとしてご利用いただいたり、施工会社選定を引き継ぐ形でご利用いただくことができます。

ポイントは管理会社にも声をかけ、自由提案も含めた見積もりを提出してもらうこと。より広い範囲で施工会社に声をかけることで競争が生まれ、金額を抑えられやすくなります。また、自由提案により提案力ブラッシュアップされます。

マンションをよく理解している管理会社に設計で関わってもらい、公募参加の声がけをすることで、管理会社をないがしろにせず双方が納得できるコストパフォーマンスの高い結論を得られます。

セカンドオピニオンの活用事例

さくら事務所のセカンドオピニオンの活用した結果、実際に工事金額を減額できた直近の事例を紹介します。

ある400戸規模のマンションでは、6億円の予定だった工事が5億円まで減額できました。ほかにも、同じく400戸規模のマンションで工事予算書ベースで5億6千万円だった工事が4億3千万円に最終決定した事例もあります。

どちらの事例も管理会社が設計したものを引き継いで公募で施工会社を決定した方法です。これらの事例のようにセカンドオピニオンで1億円ほどのコストを抑えることに成功したマンションは少なくありません。

2回目の大規模修繕が終わると3回目が待っています。2回目で適切な金額に修繕費用を削減できれば、3回目の大規模修繕に向けて余裕を持ってスタートをきれるでしょう。

2回目の大規模修繕に関して専門家に相談するタイミング

2回目の大規模修繕に関して、セカンドオピニオンを相談する最適なタイミングは劣化診断の前後です。管理会社から提案される劣化診断は、大規模修繕することを前提の事前調査になっている事が多いため、工事をする必要があるかどうか、ではなく、工事をする前提で調査を行いますので急ぎ工事をする必要がない箇所も、工事仕様に含まれることになります。劣化診断が無料の場合はまだ良いかもしれませんが有料で数百万円の費用がかかる場合は、第三者に相談することをお勧めします。

また、劣化診断を行った場合、その診断結果が妥当かどうかについてセカンドオピニオンを相談することをお勧めします。そもそも大規模修繕すること前提で診断しますと、不要な工事が仕様に含まれることになりますので、大規模修繕するにあたっても工事内容の精査が必要になります。

劣化状況から第三者にみてもらうと設計内容の妥当性を判断しやすく見積もりが大幅に膨れ上がるのを回避できます。

とっくに劣化診断を行った場合で、すでに大規模修繕を実施することが決まっていたとしても、工事内容を決定する前に一度相談するのがおすすめです。

 

2回目の大規模修繕は管理組合主体のコスト管理が大事

2回目の大規模修繕の周期は13年、築28年頃が目安です。1回目の経験を活かせるのは2回目の大規模修繕の強みですが、工事金額が1回目より高くなる注意点があります。

2回目の大規模修繕は膨大な費用がかかるからこそ、どのように立ち向かっていくか慎重に判断を重ねていくことが大切です。

大規模修繕は2回目がゴールではありません。2回目の大規模修繕でこれまで準備してきた修繕積立金をすべて使ってしまうと、さらにコストがかかる3回目以降の大規模修繕で苦労するのは目に見えています。

マンションの将来を見据えた賢明な判断をするためには、第三者の立場でアドバイスしてもらえる専門家の存在が不可欠です。

とはいえ、コンサルティング会社の談合やバックマージンといった問題も残ります。

さくら事務所による施工会社選び「修繕★参謀」では、コストだけでなく施工会社による提案力で競い合うため、談合が生まれにくく透明性の高いことも魅力のひとつです。

さらに管理組合主体の施工会社選びにより、短期間で修繕の知識を身に付けられ主体性のある管理組合運営も可能にします。

あなたのマンションは、あなたが思っているよりも一部の管理会社や施工会社のみに囲まれており、世の中には優秀な施工会社が多いにもかかわらず、数少ない選択肢の中から一つの会社を選んで修繕積立金を取り崩し工事する状況に置かれています。

修繕★参謀の施工会社選定・セカンドオピニオンサービスを利用して、より広い視野で施工会社を選び限りある資金を有効に使ってみませんか?

さくら事務所のコンサルタントは、業界歴平均20年以上のプロばかり。マンション大規模修繕に関する知識だけでなく管理組合の運営や不動産に関する知見もある専門家がチームを組んでマンションの課題を解決します。

2回目の大規模修繕で絶対に失敗したくないのであれば、実績・経験豊富なさくら事務所にぜひご相談ください。

大規模修繕工事の施工会社選び「修繕★参謀」プロポーザル方式

[建物劣化診断]マンション大規模修繕工事に向けた第三者調査

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