いざ、大規模修繕工事!修繕積立金が足りなかったらどうする??

マンションの長期修繕計画や修繕積立金の見直しに関するお問い合わせが増えています。

マンションを長く安心して住める状態を維持するために大事な大規模修繕工事とその資金となる、修繕積立金

そもそも新築時の修繕積立金の設定は、購入検討者に負担を低く見せるためにも、低く設定されがちな傾向にあります。

遅かれ早かれ、修繕積立金の見直しは行わなければなりません。

適切な修繕計画に基づいて、十分な資金を貯めることは重要ですが、既に、差し迫った大規模修繕工事を前に、資金不足に大規模修繕工事の実施に悩む管理組合もあります。

もし、大規模修繕工事の資金繰りがつかなかったらどうすればいいのでしょうか?

ここでは、一般的な大規模修繕工事の資金不足への対応のメリット、デメリットについてさくら事務所のマンション管理コンサルタントが解説します。

足りないなら、とりあえず集める!「一時金の徴収」

足りないなら、それを補えるだけのお金を皆さんから集めましょう!というのが一時金徴収。

とはいえ、お子さんの受験を控えている・・・リタイアして年金暮らし・・・等々、さまざまなライフステージにある各世帯で、数十万から百万円の一時金をポンと払っていただくのは容易ではありませんし、総戸数が大きくなればなるほどさらに難しくなります。

一時金が設定されている長期修繕計画は、言い換えれば単なる数字合わせで実態の伴うものではないと申し上げても差し支えありません。

この合意形成を乗り越えるのはハードルは相当高いと考えておいたほうがいいでしょう。

足りないなら、借りよう!「借り入れによる資金調達」

不足分を金融機関からの借り入れにより大規模修繕工事を実施する管理組合も少なくありません。

管理会社さんから「足りないなら、金融機関から借りましょう。皆さんそうしてますよ」と最初の大規模修繕工事でアドバイスされて驚いた、という管理組合の声も伺います。

一時金と異なり、今すぐの大きな負担は避けられますが、返済に向けて、以降の修繕積立金の金額もさらなる見直しが必要になるでしょう。

足りない分、その場をしのぐために借りただけですので、「返済」という負担を先送りにしたに過ぎません。

しかし、中古マンションの購入を検討している方々にとっては、大規模修繕工事の費用を借入れている物件は購入後に借入れの返済が続くということから敬遠される傾向があるのも事実です。

借入は資産価値を下げてしまうことにもなり兼ねません。

貯まるまで待つ!「延期して積立金を貯める」

計画している大規模修繕工事の費用について積立金が貯まるまで、大規模修繕工事の実施自体を先送りにするケースです。

一見すると、金銭的な負担が生じないので、賛同は得やすいでしょう。

ですが、もし既に早急な修繕を要するような箇所があった場合、緊急性の高い工事だけを先行して行う必要に迫られることや延期の間にさらなる劣化が進行するなど、結果的に想定よりも工事費が高くなってしまう、というリスクを背負うことになる可能性もあります。

また、人件費高騰の可能性も考慮しておく必要があるかもしれません。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によれば、「建設業男性全労働者」の年間賃金総支給額は、2012年の約483万円から、2017年には約554万円と約15%近くも上昇しています。

以前は、2020年のオリンピック需要がおさまれば落ち着くでしょう、と言われた建設工事費も、建設業界の慢性的な人手不足や工事費高騰の可能性を避けるために大規模修繕工事を先送りした管理組合が数多くあることから、工事発注が増加する可能性もあり今後も上がっていくのではないかという見方もあります。

数年後の工事がさらに割高となる可能性もあるのです。

とりあえず今出来るところだけ「修繕工事の分割発注」

一度にまとめてやらずに、「今回は外壁だけ」や「(足場がいらない)階段や共用廊下などを中心に」といった、どうしても必要な工事だけを先行させて、その他の足場が必要な工事は数年後に修繕を先送りするという考え方もあります。

建物の劣化は全体的に均一に起こるものではありません。

部位ごとにその進行が異なるケースも多いため、必ずしもまとめて工事を行う必要もないのです。

管理組合が適切に劣化状況を判断することで、建物の状態や予算に合わせて適切な分割ができれば、限られた予算でも質の高い工事が実現できます。

とはいえ、まとめて発注するよりも総工事費が高くなってしまう可能性や、騒音や振動など工事により生活環境への負担が長期化する可能性もデメリットとしては挙げられます。

そもそも、この修繕計画が適切か?も今一度確認を

いかがでしたでしょうか?いずれも一長一短ですので、しっかりと検討したいところです。

ですが、その前に、そもそも計画している大規模修繕工事が本当に今の建物の状態に相応しいものなのか?もきちんと確認しておく必要があります。

管理会社などから提案される長期修繕計画では、建物の立地や状態を考慮することなく、一定の周期で建物全体におよぶ大規模修繕工事を実施するのが当たり前とされるケースがほとんどです。

また、本来の劣化診断とは修繕工事の実施時期や必要性といったことを判断するために、さまざまな調査を行うものですが、大規模修繕工事の実施ありきの前提で行われることが多く、工事の範囲や内容の決定においても診断結果がほとんど反映されていないのが実態です。

結果として、不要・不急な修繕工事まで含まれた大規模修繕工事の計画を前に、上記のように資金不足に悩む組合もあります。

また、多くのマンション管理組合は国土交通省のガイドラインにならい、12年周期で大規模修繕工事を計画していますが、公共建築物や商業ビルや賃貸マンションなどの場合、修繕周期は長くなっているのが一般的です。

実施時期についても、長期修繕計画上で予定されている時期にこだわらずに建物の劣化状況に合わせて検討してみてもいいでしょう。

さくら事務所では、あらかじめ定められた、一定の周期ごとに行う「定周期保全型」ではなく、建物の劣化状況にあわせて行う「状態監視型」の大規模修繕工事をおすすめしています。

修繕積立金の積み立て状況や劣化状況、管理組合の希望する進め方などを考慮して、第三者の立場からアドバイスを行っています。

マンションの大規模修繕工事を近く控えた方、まずはお気軽にご相談ください。

お役立ちコラム 関連記事