団地の大規模修繕は単棟型のマンションと違う?団地ならではのトラブルや注意点を解説

団地は、単棟型のマンションよりも規模が大きいため、大規模修繕においても特段の注意が必要です。大規模修繕の周期や内容については、とくに違いはありませんが、団地の特性をよく理解し、大規模修繕に備えましょう。

本記事では団地と単棟型のマンションの大規模修繕の違いや、団地だからこそ起こりうるトラブル、注意点を解説します。大規模修繕を控えている団地にお住まいの方は、ぜひ参考にしてください。

団地とマンションで大規模修繕に違いはある?

大規模修繕工事の内容や修繕周期の考え方は、団地型と単棟型のマンションと大きな違いはありません。入居者に協力を依頼することなど、工事に付随する業務内容も同様です。

建物の劣化状況や予算、居住者の意向から、修繕内容や修繕スケジュールを決め、施工業者と協力しながら修繕工事を進めていきましょう。

マンションの大規模修繕工事に関してまとめている下記記事は、団地の大規模修繕の際にも参考になります。大規模修繕について詳しく知りたい方は参考にしてください。

マンションの大規模修繕工事とは?費用・工事期間・周期や大まかな流れを解説

団地の大規模修繕資金「修繕積立金」の会計方法

団地の大規模修繕工事の資金は、マンション同様に修繕積立金です。

団地の場合、区分所有者全員で管理する「全体共用」部分と、各棟がそれぞれで管理する「一部共用」部分があります。場所や項目によって、共有する区分所有者が異なることから、修繕積立金は、おおまかに以下3つの会計方法が採用されています。

➀団地修繕積立金(団地全体を一括会計する)

②団地修繕積立金+各住棟修繕積立金(全体共用・一部共用用で分ける)

③団地修繕積立金+各棟別の修繕積立金(全体共用・一部共用をさらに棟別に分ける※例:全体共用・A棟修繕積立金・B棟修繕積立金・C棟修繕積立金など)

国土交通省の「マンション標準管理規約(団地型)」では③が規定されています。しかし、上記3つ以外にも、団地修繕積立金がなく必要に応じて各棟別の修繕積立金から寄せ集めるタイプなど、さまざまなケースがあるのが実情です。

参照:国土交通省「マンション標準管理規約(団地型)」

参照:日本建築学会計画系論文集第74巻第635号「団地型マンションにおける修繕費用の当別格差について」

団地は修繕積立金会計でトラブルになることも

一括会計の修繕積立金の会計は、しばしばトラブルになることも。

前述したとおり、国土交通省による「マンション標準管理規約(団地型)」では「団地修繕積立金+各棟別の修繕積立金」が規定されているため、もともと団地修繕積立金の一括会計だった団地が、規定に沿う形に変更するケースがあります。

その際、これまでの修繕積立金が根拠なく各棟と全体共用に分配されたり、今後徴収する修繕積立金の金額が棟ごとに見直されなかったりすると、劣化状況や形状の違いにより、修繕積立金が足りなくなる棟もでてきてしまうのです。

中途半端に規約を変更することで、棟格差が生じるなど、修繕積立金をうまく活用できなくなってしまうため、修繕積立金の会計方式や積立金額について、見直し話し合っておきましょう。

参照:国土交通省「マンション標準管理規約(団地型)」

参照:日本建築学会計画系論文集第74巻第635号「団地型マンションにおける修繕費用の当別格差について」

団地で大規模修繕するときの注意点

団地とマンションの大規模修繕は、内容自体に大きな違いはありませんが、団地の場合はとくに注意すべきポイントがあります。以下で詳しくみていきましょう。

団地の大規模修繕の実績が豊富な業者を選ぶ

複数の棟から構成される団地は、単棟型のマンションよりも工事のボリュームが多いのが特長です。

団地の大規模修繕の経験が少ない業者に依頼すると、慣れていないがゆえに、作業の効率化が図れず工期を長く設定されたり、予定よりも工期が延長してしまったりする懸念点があります。

工期が長いということはその分、工事金額も高額になるでしょう。同規模の団地の施工実績があれば、これまでの経験から効率的でレベルの高い作業を期待できます。

業者選びの際は、ホームページや直接尋ねるなどして、同規模の施工実績があるか、確認しておきましょう。

余裕をもったスケジュールで準備を進める

団地のように戸数が多かったり施工面積が広かったりすると工事期間が1年かかるケースもあります。大規模修繕における検討事項も多く、区分所有者間の合意形成を得るのも容易ではありません。

過去におこなわれた大規模修繕の流れや問題点を予め確認しておき、余裕をもったスケジュールで早めの準備を心掛けましょう。

団地の大規模修繕は財政状況の確認からはじめよう

団地とマンションの大規模修繕の内容に大きな違いはありません。しかし、工事の規模が大きな団地は、施工会社選びや準備段取りをより慎重におこなう必要があります。さらに、修繕積立金の会計方法や資金調達について、事前に見直しておくことが大切です。

「修繕積立金が足りない」「修繕積立金の妥当性がわからない」など大規模修繕工事の資金に問題がありそうな場合は、修繕積立金の根拠となる長期修繕計画の見直し・作成から始める必要があるでしょう。

さくら事務所では、大規模修繕工事の施工会社選びや長期修繕計画の見直し作成など、管理組合の皆さまをサポートする幅広いサービスをおこなっており、団地についてのご対応実績も豊富です。

これまで650組合の建物をみてきた経験と、第三者だからこそできる的確なアドバイスがさくら事務所の強みです。団地の大規模修繕でお悩みのことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

長期修繕計画の見直し・作成

大規模修繕工事の施工会社選び「修繕★参謀」プロポーザル方式

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