マンションでお湯が出ない原因はさまざまです。すぐに復旧できるケースもあれば、修理が必要なケースもあります。原因によって対処法が異なるため「まず何をすればよいか」「どこに連絡すればよいか」落ち着いて判断することが大切です。
本記事では、お湯が出ないときの対処法、修理を依頼する際の連絡先と確認事項、そして気になる修理費用まで詳しく解説します。マンションでお湯が出ないときに慌てずに行動するために、ぜひ参考にしてください。
マンションでお湯が出ないときはまずここをチェック!
マンションでお湯が出ないとき、まずは以下のポイントをチェックしましょう。該当するものがあれば容易に解決できるかもしれません。
<チェックポイント>
・給湯器のブレーカーが落ちていないか
・給湯器の電源が入っているか
・給湯器の設定温度が低くなっていないか
・ガスの元栓(ガス給湯器の場合)が開いているか
・湯切れ(電気温水器の場合)を起こしていないか
・給湯器の止水栓が閉まっていないか
・給湯器のフィルターにゴミが詰まっていないか
止水栓は給湯器本体の下部にあります。止水栓が閉じていれば、給水管から給湯器に水が入らずお湯がでません。
また給湯器の水抜き栓にはゴミを通さないようにフィルターが付いています。フィルターの詰まりが原因で、お湯が出なくなることも。フィルターが汚れている場合は、掃除するとお湯が出るかもしれません。
止水栓や水抜き栓の操作は難しくはありませんが、給湯器にはガス管などほかの管も繋がっているため、取扱説明書を確認しながら作業しましょう。
【ケース別】マンションでお湯が出ないときの対処法
前述したチェックポイントに問題がないのにもかかわらず、お湯が出ない場合は、何らかのトラブルが起きていると考えられます。どのケースが当てはまるのか確認し、対処法を試してみましょう。
・一部の蛇口だけお湯が出ない
・ガス機器が作動しない
・給湯器のリモコンにエラーが表示されている
・給湯器本体に異常がみられる
順に詳しく解説します。
ケース1:一部の蛇口だけお湯が出ない
すべての蛇口でなく一部の蛇口のみお湯が出ない場合は、お湯が出ない蛇口の混合水栓の故障が原因かもしれません。
混合水栓は、水とお湯を切り替える役割があります。混合水栓が故障するとお湯が正常に作られていても、水しか出なくなってしまうことがあるのです。
混合水栓の故障が原因であれば、修理・交換すればお湯はでます。市販で売られているため自分でも対処できますが、水漏れトラブルに発展する恐れがあるため、専門業者に依頼するのがおすすめです。
ケース2:ガス機器が作動しない
お湯が出ないだけでなく、ガスコンロなどほかのガス機器も使えない場合は、ガスメーターが遮断されている可能性があります。
ガスメーターは、ガス漏れ・地震・長時間の使用を感知すると、安全面を考慮し自動的にガスを遮断するシステムです。ガスが遮断されていれば、すべてのガス機器が作動しないため、ガス給湯器の場合は当然お湯も出ません。
ガス機器の周辺を確認し、ガス臭いなどの異常がなければ、自身でガスメーターを復旧させることで、お湯が出るようになります。
ガスメーターの復旧手順
マンションの場合、一般的にガスメーターは共用廊下のシャフト内にあります。以下の手順でガスメーターを復旧させましょう。
【復旧手順】
(1)すべてのガス機器の運転を止め、ガスメーター以外のガス栓を閉じる
(2)復帰ボタンのキャップを回して外す
(3)復帰ボタンを押して表示ランプを点灯させる
(4)赤いランプが再点滅するのを確認し、キャップをつける
(5)その場で3分待機し赤ランプが消灯していることを確認する
ケース3:給湯器のリモコンにエラーが表示されている
給湯器本体とは別に、室内の壁に設置されているリモコンにエラー表示がでていたら、給湯器に何らかの不具合が起きている可能性が高いといえます。
給湯器の取扱説明書やメーカーのホームページで、エラー番号が意味する不具合を調べ、自分で対処できる内容であれば、説明書通りに対処しましょう。自分で対処できない場合は、エラー番号を控えメーカーに連絡します。
ケース4:給湯器本体に異常がみられる
給湯器本体から異常音や異臭などが生じていれば、お湯が出ないのは給湯器の故障が原因と考えられます。ガス会社に点検してもらいましょう。
とくにガスの臭いや煙が上がっている場合は、早急にガス会社に連絡してください。不完全燃焼が生じていれば一酸化炭素中毒の危険性があります。
マンションでお湯が出ないときの連絡先
対処法を試してもお湯が出ないときは、専門業者にみてもらいましょう。マンションでお湯が出ないときの連絡先は、以下のとおり状況により異なります。
連絡先 | 状況 |
蛇口メーカー・水道修理業者 | 混合栓など蛇口周りのトラブル
(一部の蛇口からのみお湯が出ないなど) |
ガス会社 | ガス関連のトラブル
(ガス漏れ・ガスメーターの不具合など) |
給湯器メーカー | 給湯器のトラブル
(全箇所のお湯が出ない・リモコンのエラー表示など) |
たとえば、蛇口周りのトラブルが原因でお湯が出ないとき、給湯器メーカーに連絡してもお湯が出るようにはなりません。二度手間にならないように、どこに連絡すべきか見極めましょう。
修理業者に連絡する前の確認事項
お湯が出ずに修理業者に連絡する際は「給湯器の契約・保証内容」と「給湯器を交換するときの制限事項」を確認しておくとスムーズです。以下で詳しく解説します。
給湯器の契約・保証内容について
給湯器は、購入でなく、リース契約しているケースもあります。リース契約の場合、毎月のリース代は発生しますが、給湯器のトラブルがあったときの修理費用は基本的にかかりません。修理を依頼する際もリース契約していることを伝えるとスムーズに話ができるでしょう。
購入した場合であっても保証内容によっては、修理代がかからないケースもあります。給湯器のメーカー保証は、基本的に1~2年です。そのほかメーカーによっては、5年や7年などの延長保証制度が設けられていることも。無駄な修理費用を支払わないためにも、契約・保証内容をしっかり把握しておきましょう。
給湯器を交換するときの制限事項について
マンションの場合、給湯器を交換する際に、機種やサイズなどが制限されていることがあります。ガス給湯器の交換時期の目安は10年程度、電気温水器は10~15年程度です。
修理できればよいですが、給湯器の寿命が近づいているまたは過ぎているなかで、お湯が出ないなどの不具合があったときは、交換になる可能性が高いため、事前に管理規約などで確認しておきましょう。
給湯器が原因でお湯が出ないときの修理費用
給湯器の修理・交換費用の目安は以下の表のとおりです。
修理費用の目安 | 交換費用(本体価格+施工代金) | |
ガス給湯器 | 10,000~50,000円 | 10~25万円 |
電気温水器 | 20,000~50,000円
※漏水の修理は50,000円~ |
17~35万円 |
上記金額はあくまでも目安です。修理業者や修理内容、商品により金額も大きく異なるため、まずは見積もってもらいましょう。
お湯が出なくなる前に給湯器の交換を考えよう
マンションでお湯が出ない原因は、混合栓・給湯器・ガス関連の不具合が考えられます。本記事を参考に、お湯が出ない範囲や給湯器のエラー表示、その他ガス機器の状況などから、どこにトラブルが起きているのか予想し、落ち着いて対処しましょう。
給湯器の不具合は使用期間10年頃から増加します。給湯器の劣化は、お湯が出ないほかに水漏れなどの事故に発展してしまうことも。管理組合のみなさまは、マンション内でトラブルが多発する前に、給湯器の交換を呼びかけるなど対策を考えておくとよいでしょう。
また、建築後10年を過ぎたマンションは、数年後に大規模修繕を控えています。給湯器の交換を呼びかけることで、大規模修繕に向けて、居住者にマンション管理を意識づけるよいきっかけにもなるでしょう。
さくら事務所では、大規模修繕をはじめとしたマンション管理に関するサービスを実施しています。大規模修繕工事に向けた劣化診断や見積の妥当性チェックなど、マンションの建設工事に関する知見があるのはもちろん、施工業者選びや説明会への出席などトータルサポートが可能です。
管理会社や施工会社と利害関係ない中立の立場で、管理組合のみなさまに寄り添いアドバイスさせていだきますので、マンション管理のお悩みは、さくら事務所にお気軽にご相談ください。