マンション管理費はなぜ上がる?拒否するリスクや値上げ回避の対処法を解説

マンション管理費の値上げを聞くと「なんとか値上げを避けたい」と思う方も多いのではないでしょうか。マンションの財政状況を不安に思う方もいるかもしれません。

マンションの管理費の値上げは意外に多くのマンションで見受けられます。管理費のおもな用途は、管理会社への管理委託費・設備関連の定期点検や軽微な修繕費・電気料金です。

管理費は修繕積立金と違い、一度に多額の費用が動くわけではないため、大きく金額が変動することはありません。しかし、社会情勢やマンションの運営状況などのさまざまな要因により、値上げせざるを得ない状況に陥ることがあるのです。

そこで本記事では、区分所有者が管理費の値上げに応じないときのリスク、値上げの理由と回避する方法を解説します。管理費の相場についても触れますので、ぜひ参考にしてください。

管理費の値上げを拒否するリスク

そもそも管理費の値上げは誰が決定するのでしょうか。管理会社から管理費の値上げを要求されることがありますが、金額を決定するのは区分所有者です。

管理規約に管理費の金額が記載されていれば規約の変更にあたるので特別決議、記載されていなければ普通決議で決まります。特別決議は区分所有者の頭数および議決権の4分の3以上の賛成、普通決議は過半数の賛成が必要です。

賛成が集まらずに値上げできないと、管理・メンテナンスが不十分になることが予想されます。管理状態が悪く不満の声があがる、結果的に大規模修繕工事で余計に費用がかかるなど、自分たちにそのしわ寄せがくるのです。

管理委託費を値上げしたい管理会社とも折り合いがつかずに、管理委託契約を打ち切られるケースもあります。

管理費の値上げを余儀なくされた場合は、維持管理に悪影響がでない範囲で管理コストを抑えたり、値上げ以外に管理費収入を確保したりすることで、値上げを回避できるかもしれません。とくに管理費が相場よりも高額な場合は、試してみる価値があるでしょう。

マンション管理費の相場

国土交通省「平成30年度マンション総合調査」によると、マンション1戸当たりの平均月額管理費は、単棟型16,213円(使用量・専用使用料からの充当額を覗く場合は10,970円)、団地型14,660円(使用量・専用使用料からの充当額を覗く場合は10,419円)という結果でした。

またマンションの完成年次によっても、相場に差があります。完成年次別の管理費相場について、以下のグラフをご覧ください。

国土交通省「平成30年度マンション総合調査 管理組合向けの調査結果27(1)(6)」をもとに作成

一部減額している年次もありますが、駐車場使用料等からの充当金を含む管理費は、築年数が新しいほど高額になっています。マンションの規模やグレードなどにより管理コストは異なるため、あくまでも参考値として自分のマンションと比較してみてください。

管理費と修繕積立金の相場については、以下の記事で詳細を解説しています。気になる方はチェックしてください。

参考記事:マンション管理組合のミカタ「マンション管理費と修繕積立金の相場とは?違いや節約方法も併せて解説」

参照:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」

マンション管理費が上がる5つの理由と対処法

マンションの管理費が上がるのは「管理コストが増えたとき」または「管理費収入が減ったとき」のどちらかです。ここでは管理費が上がる以下5つの理由とそれぞれに有効な対処法を紹介します。

・管理内容の増加

・人件費アップによる管理委託料の増額

・電気代の値上がり

・滞納による管理費不足

・駐車場契約者の減少

ひとつずつみていきましょう。

(1)管理内容の増加

マンション共用部に新しい設備を導入したり植栽を植えたりすることで、維持管理費が増額すると、その分管理コストが増額します。管理コストをかけることは、居住者の利便性や満足度の向上に繋がりますが、過剰な管理は、管理費会計を圧迫しかねません。

居住者側の視点から、削除や頻度を減らせる管理内容がないか、チェックしてみましょう。また、管理会社経由で発注しているメンテナンスなどを、管理組合が直接発注することでコストを削減できることもあります。

(2)人件費アップによる管理委託料の増額

人件費の高騰により、管理会社から管理委託料の増額を依頼されるケースもあります。人件費を削減するのは困難なため、管理人の勤務時間や勤務日数を減らすなど、管理会社側の負担を減らすことで、管理委託料の据え置きを打診しましょう。

管理会社を変更する選択肢もあります。ただし、人件費の高騰は1社に限ったことではありません。委託料を減額できるとは限りませんし、これまでの管理内容や管理レベルを維持できるかもわかりません。複数社に見積もりを依頼し、慎重に選定することが大切です。

(3)電気代の値上がり

電気代の値上がりも管理費が上がる原因のひとつです。専有部の電気代が高くなっているときは、当然共用廊下やエントランスなどで使用している電気代も値上がりしています。

LED電球に変更する、不要な電球を間引く、点灯時間を短縮する、など節電対策が必要です。夏場は共用部においてもエアコンの電気代もかかります。フロアごとに時間帯を分けて作動させるなど工夫しながら、電気代をおさえましょう。

(4)滞納による管理費不足

滞納している区分所有者がいれば、計画通りに管理費を確保できません。滞納者のために、ほかの区分所有者の負担を増やすのは避けたいところです。根気強く口頭や書面で督促しましょう。

督促に応じなければ、内容証明を送ります。内容証明は「いつ誰がどのような書類を送ったのか」公的に証明できる、日本郵便のサービスです。

内容証明自体には法的効力はありませんが、裁判に発展した際「督促した証拠」となります。訴訟も視野にいれていることを伝える手段にもなるため、滞納者へ強いプレッシャーを与えられるでしょう。

(5)駐車場契約者の減少

多くの管理組合では、駐車場料を管理費収入に含めているため、契約者が減るとその分収入を得られません。近年はカーシェアなどの普及により、地域によってはマイカーをもたない世帯が増えつつあります。駐車場の需要が減り、空きが目立つマンションも少なくありません。

対策として、マンション居住者以外への「外部貸し」を検討しましょう。手続き関連の手間を省きたければ、サブリースがおすすめです。サブリース会社が空いている駐車場を一括で借り上げ転貸するため、手間をかけずに安定した賃貸収入が得られます。

ただし外部貸しは、契約者がいてこその対策です。今後駐車場の需要が減り続ける場合は、メンテナンス代のかかる機械式駐車場を平置きにするなど、根本的な解決が必要になるでしょう。

また、さくら事務所のマンションコンサルタントが以下の動画でも、マンション管理費の値上げについて詳しく解説しています。

気になる方は是非ご覧ください。

マンション管理費値上げ!相次ぐ「5年で平均値1割増」の背景

深刻な管理コスト不足に陥る前に外部の専門家に相談しよう

マンションの管理費が上がるのには、管理内容の増加や人件費・電気代の値上げなど必ず何かしらの理由があります。その理由をうまくカバーして、管理費の値上げを阻止、または最小限に抑えましょう。

マンションの管理コストは、管理費のほかに、大規模修繕工事のための修繕積立金で賄われています。管理費のコストカットが難しければ、修繕積立金を見直すことで区分所有者の負担を減らすことを考えましょう。

とはいえ、管理組合が独自で調査して大幅に管理コストを削減するのはそう容易ではありません。そこでおすすめしたいのが、さくら事務所の長期修繕計画の見直し・作成サービスと共用部チェックです。

建設当初から長期修繕計画が見直されていないなど、実態と合っていない場合、不要な大規模修繕工事に修繕積立金をつかってしまうケースもあります。第三者であるさくら事務所が、実際に現地に出向いて修繕内容や周期をアドバイスすることで、修繕積立金の無駄遣いを防止し、大規模修繕工事費用を削減できるかもしれません。

共用部チェックは、マンションのアフターサービスを最大限に活用するためのサービスです。管理会社が自主的にチェックしているケースもありますが、第三者の外部の専門家にチェックを依頼することで、問題点を明確化できます。アフターサービス範囲内の不具合があれば、無償で修繕できるため、大幅にコストカットできるでしょう。

管理費や修繕積立金の値上げに直面している方は、ぜひお気軽にご相談ください。深刻な管理コスト不足に陥る前に、財政状況を立て直しましょう。

マンション共用部チェック(2年目、5年目)

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