給湯管や給湯器から漏水する原因は?対処法と修理費用を解説

給湯管から漏水すると、どう対処してよいのかわからず、戸惑ってしまう方が多いのではないでしょうか。修理や交換に高額な費用がかかるのでは?と不安になる方もいるでしょう。

給湯器や給湯管からの漏水は、必ずしも故障が原因とはいえません。故障が原因の場合は、専門業者に修理を依頼する必要がありますが、場合によっては、自己解決できることもあるのです。

そこで本記事では、給湯管から漏水するおもな原因と対処法、業者に修理を依頼する場合の費用相場について解説します。

給湯管や給湯器のおもな漏水原因は4つ

給湯管や給湯器から水が漏れるおもな原因は次の4つです。

  • 経年劣化
  • 凍結による破損
  • 施工不良
  • 長期不使用

ひとつずつ詳細をみていきましょう。

➀経年劣化

マンションの漏水でもっとも多い原因が、銅製の給湯管が劣化することで生じるピンホールです。給湯管を通る高温のお湯は、気泡が混じります。給湯管のカーブ部分で、気泡があたり続けると、その衝撃により、ピンホールと呼ばれる小さな穴があき、水が漏れるのです。

また、給湯管の接合部分に使用されているパッキンの経年劣化も漏水の原因になります。時間の経過とともにパッキンの弾力がなくなり、接合部分にわずかなすき間があいてくることで、水漏れが生じてしまうのです。

給湯管と給湯器の耐用年数

経年劣化による漏水が生じるタイミングの参考になるのが、耐用年数です。国税庁では減価償却上の法定耐用年数について、給湯管が15年、給湯器が6年と定めています。

参照:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

しかし、実質的な耐用年数は、法定耐用年数とイコールではありません。一般的な、給湯器と給湯管の耐用年数(寿命)について、以下の表をご覧ください。

機器 種類 実質的な耐用年数(寿命)
給湯管 銅管 約20~25年
硬質ポリ塩化ビニル管(塩ビ管) 約20~25年
ステンレス鋼管 約30~40年
ポリエチレン管 約30~40年
給湯器 約10年

参照:ホームプロ「配管の寿命は何年?配管リフォームの費用相場と工期、注意点などを解説」

参照:ノーリツ「【製品の寿命】点検・取り替えの目安について」

耐用年数が近づいているタイミングでの漏水は、経年劣化が原因の可能性が高いといえるでしょう。

②凍結による破損

冬に生じる漏水の原因で多いのが、凍結による破損です。給湯器や給湯管が凍結すると、水分が膨張し、体積が増えます。給湯器や給湯管を内側から圧迫し、パンクしてしまうのです。

気温が氷点下になることが予想されるときは、必要に応じて水落としをおこないましょう。とくに、寒冷地仕様の給湯器でない場合は気を付けてください。

③施工不良

給湯器の設置ミスや、給湯管の接続ミスなどの施工不良も漏水原因のひとつです。給湯器を新しいものに入れ替えた直後に、漏水した場合は、施工不良の可能性があります。給湯器は手作業で取り付けるため、作業員の経験値によって技量に差が出てしまうことも。

プロとして設置している以上、施工不良は許されることではありませんが、万が一に備えて、給湯器設置後は、水が漏れていないか確認してから使用しましょう。

④長期不使用

給湯器を使用していない期間が長いと、水抜き栓から漏水することがあります。水抜き栓からの水漏れは、一時的なもので、故障でない可能性が高いです。

給湯器は、長期間使用していないと、内部の圧が上昇します。水抜き栓から水を漏らすことで、圧を逃がし、給湯器が正常に機能するようになるのです。冬期間でなくても、長期不在時は、圧が高まりすぎないように、給湯器の水抜きが推奨されています。

給湯管から漏水したときの対処法

給湯管の漏水を発見したときの対処法は以下の通りです。

(1)給湯器のエラー表示を確認し、電源を切る

(2)水漏れしている場所を確認する

(3)給水栓を閉める

(4)応急措置をする

(5)自己解決できないときは業者に修理を依頼する

順にくわしくみていきましょう。

(1)給湯器のエラー表示を確認し、電源を切る

給湯器に何らかの不具合が起きたときには、エラー番号が表示されます。漏水時にエラー番号が表示された時は、その番号を確認しておきましょう。取扱説明書や各メーカーのホームページで、どのような異常を示しているのか調べられます。

給湯器から水漏れしている場合、一酸化炭素を発生していることも。一酸化炭素中毒の危険性があるため、エラー表示を確認したら、給湯器の電源を切っておきましょう。

(2)水漏れしている場所を確認する

どこから水漏れしているのか確認します。おもな水漏れ箇所は、水抜き栓・配管接合部・給湯機本体です。水が溢れているときはもちろん、水滴がついていたり湿っていたりする場合も、水漏れの可能性があります。目視だけでなく、実際に触って確かめてみましょう。

(3)給水栓を閉める

給湯器の電源を切ったあとも、水が漏れている場合は、給湯器の給水栓を閉めて、水漏れを止めます。水が流れ続けると、下の階まで水漏れ被害を及ぼすことも。漏水被害を最小限に抑えるためにも、早急に対応しましょう。

(4)応急措置をする

長期不使用で、水抜き栓から水が漏れている場合は、しばらく水を出したまま様子をみてください。水漏れがおさまれば、故障ではなく、給湯器内の圧を下げるために水が漏れていたと、考えられるでしょう。

給湯器に接続されている逃がし弁や減圧弁から水が漏れている場合、経年劣化や部品の故障、施工不良や、凍結、凍結防止、汚れのつまりなどが考えられますが、まずはメーカーの窓口に相談をしましょう。

(5)自己解決できないときは業者に修理を依頼する

応急処置をしても、解決できなければ業者に修理を依頼します。ホームページなどに修理費用が明記されている、口コミのよい業者がおすすめです。すぐに対応してもらえる業者を探しましょう。

修理を依頼する際は、漏水箇所・エラー表示・給湯器の型番および設置日を伝えるとスムーズです。修理業者に連絡する前に、確認しておきましょう。

漏水した給湯管や給湯器の修理費用相場

給湯管や給湯器は専有部にあるため、区分所有者が修理費用を負担しなければいけません。修理費用の相場について、以下の表をご覧ください。

内容 費用相場
給湯管の水漏れ修理 20,000円前後
給湯器の水漏れ修理 25,000円前後
給湯器の交換 200,000円前後

給湯器の交換費用には、給湯器の代金のほか工事費も含まれています。当然、修理対応よりも高額になりますが、10年近く同じ給湯器を使用している場合、次々と不具合が発生する可能性が高いため、たとえ修理できたとしても、交換するのがおすすめです。

給湯管の漏水被害は保険適用できる?

基本的に、漏水した給湯管や給湯器の修理費用は保険で賄うことはできません。しかし、保険会社によっては、補償内容に、水道管が凍結したときの修理費用が含まれているケースもあるため、確認してみましょう。

また、経年劣化や不注意以外の漏水の場合は、火災保険の水濡れ特約を適用可能です。契約内容によりますが、自室の内装や家財が漏水被害にあったときに、保険金を受け取れます。

万が一、自室の給湯管や給湯器の水漏れが原因で、他人の部屋に被害を及ぼしてしまった場合は、個人賠償責任保険を適用可能です。他人の部屋の内装、家財のクリーニングまたは買い替え費用が補償されます。

管理組合加入の個人賠償責任保険に注意

マンションによっては、管理組合が加入するマンション総合保険で区分所有者の個人賠償責任保険に加入しているケースもあるでしょう。

給湯管や給湯器が劣化してくると、立て続けに漏水事故が多発します。その都度、管理組合の保険で対応していると、保険会社から、保険料の値上げや保険の打ち切りを要求されることがあるのです。

万が一、保険に加入できなくなると、共用部の漏水による損害賠償に、管理組合の貴重な資金を使わざるを得ません。高額の保険料で契約を継続できたとしても、財政状況は悪化する一方です。

管理組合で、個人賠償責任保険に入っているからといって安心せず、居住者個人での保険加入を推奨したり、給湯管のメンテナンスについて考えておいたりと、対策を講じる必要があるでしょう。

給湯管の漏水はマンション全体で危機感をもって対策しよう

給湯管の漏水は、おもに経年劣化・凍結による破損・施工不良・長期不使用の4つの原因が考えられます。なかでも多い経年劣化による水漏れは、立て続けに複数の部屋で生じることも。

給湯管や給湯器は、専有部のため、基本的に管理組合の責任ではありません。しかし、リフォーム時に更新を呼びかけるなど、マンション全体の問題として対策しておくことが、漏水防止につながるでしょう。

マンションでは、給湯管以外の配管からの水漏れも多く見受けられます。経年劣化や施工不良による水漏れを防ぐには、定期的に建物調査をおこない、必要なときに適切な補修工事や交換を実施することが大切です。

実際、長期修繕計画がマンションの現状に合っていないにもかかわらず、見直すことなく大規模修繕工事がおこなわれているマンションは少なくありません。

さくら事務所では、専門家がマンションの劣化を診断するサービスをおこなっています。第三者の公正な立場で「今本当に必要な工事は何か」判断するため、マンションの安全性を確保できるのはもちろん、修繕積立金の無駄遣いを防ぐことも可能です。

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