マンションの機械式駐車場を考える上で重要な3つのポイント

限られた敷地で多くの車の駐車を可能にする機械式駐車場ですが、その高額な維持費用から「マンションの金食い虫」なんて呼ばれ方も。

かつて、駐車場100%という謳い文句で販売された新築マンションも、今では若者の車離れ、はたまた居住者の高齢化から、かつては空き待ちしていた駐車場に空きが目立つようになった、という声も聞かれます。

ただ空いているだけならいいのですが、駐車場の利用率低下は、マンションの財政にも影響を与えます。

駐車場の使用料も大切な管理組合の財源の1つなのです。

修繕維持費の掛からない平置きならまだしも、修繕維持費の掛かる機械式駐車場なら尚のこと。収入は減るのに、維持費用は掛かるいっぽう・・・なんてことにもなりかねません。

ここでは、機械式駐車場のメンテナンスや交換について検討する際に抑えておくべき3つのポイントについて、さくら事務所のマンション管理士が解説します。

機械式駐車場の修繕計画で考える際に重要なのが、3つのコト

①いつ入れ替える?

交換のタイミングは?メンテナンスでどれくらい持つの?

②料金はいくら?

駐車料金はいくら?(交換やメンテナンスをしたとして、どのくらいの期間で回収できる金額設定?

③今、何台空いてるの?

駐車場の保有台数は適切なのでしょうか?居住者のニーズに対して多すぎるようなことはないでしょうか?

機械式駐車場の交換時期は?

機械式駐車場はマンションに導入されてまだ歴史も浅く、入れ替え事例も他の設備同様に豊富にあるわけではありません。

結果、相場もわからずにバカ高いと思われるような金額を支払ってしまうケースもあります。

機械式駐車場のメンテナンスについて、管理会社から提案された2つのマンションの事例をご紹介します。

【ケース1】高額なメンテナンス費用!そこまでしないで早めに交換もアリ

あるマンションの長期修繕計画では、30年後に交換費用として、(120万円×150台)1億8000万円が見込まれていました。

これだけでもかなり高額ですが、更に驚いたのは、交換までのメンテナンス費用。

更に15,16年目に中間メンテナンス費用として1億2000万円も発生することがわかったのです。

あと15年で交換するのに、交換費用の2/3も掛かるメンテナンス費用を負担すべきかどうか・・・

1億2000万円かけてあと15年持たせるよりも、最低限必要なメンテナンスだけを行い、駐車装置の状態によっては20~25年目の早めに交換しましょう、ということになりました。

最低限の項目に絞り、メンテナンス費用は9000万円におさえることができました

【ケース2】修繕と交換、実はあまり差がないケースも?

ある小規模マンション、15台分の機械式駐車場のメンテナンス費用を見積もったところ、1台80万円で、15台×80万円=1200万円 との金額が出ました。

では、今交換したらいくらでしょうか?と交換費用を見積もったところ、なんとほぼ同額だったのです。

機械式駐車場メーカーとしては、新しい駐車装置を売りたいから、ある程度値引きもできます。

ですが、メンテナンスとなると今ついている部品をばらして交換して・・・という作業が必要になり、人件費が大量に掛かってしまうため大幅な値引きはできないのです。

管理会社としては、交換前であってもしっかりとしたメンテナンスを提案します。

ましてや本来の耐用年数よりずっと早い時期ということもあり、管理会社から交換という提案はなかなか出てきません。

ですが、実際はメンテナンスと交換とあまり金額に差がない例もあります。

合い見積もりを考えるなら、修繕ではなく、交換の場合はいくらになるのか?も確認してみてはどうでしょうか。

駐車場の利用料はいくらに設定しているのか?

修繕積立金や管理費同様に、新築マンション販売時に売りやすくするために、駐車場の利用料も安く設定しているところが多くあります。

みんなが負担しているものならまだしも、駐車場など一部の使用している人しか負担していない使用料を見直すのはなかなか困難です。

「購入時に駐車場が安いことが決め手で買ったのに」なんて声も出るかもしれません。

駐車場利用料は、それだけで機械式駐車場の維持・交換ができる分だけ、負担してもらわないといけません。

管理組合会計を破綻させないためには駐車場会計だけで黒字運営できなければならないのです。

あるマンションでは、大規模修繕工事後に機械式駐車場交換時期を迎え、修繕積立金では交換費用を支払えない状況でした。

交換するには4500万円の借入が必要になりますが、一部の人が安い利用料を払っているという運営であるために管理組合で借入するの?という意見もありました。

結局、このマンションでは「借入して交換はしますが、その分、駐車場利用料はきちんと適切な金額に値上げして、管理費会計(一般会計)にも貢献してもらう」というかたちになりました。

本来であれば、機械式駐車場の利用料だけで維持・交換費用まで賄える分だけ集め、駐車場の会計収支が明確になるように別会計にしておくのがベストでしょう。

空き区画は何台ある?潜在的ニーズも探ろう

そもそもマンションが保有する機械式駐車場の台数が適切なのか?明らかに需要とのバランスが崩れているのではないか?ということも考えてみる必要があります。

駅が近い、所有者の年齢層も上がってきた、さまざまな理由から、現在と同じ台数が必要とされていない可能性もあります。

また、今使用していない人達の中に、潜在的なニーズがないか?も確認するといいでしょう。

あるマンションでは、機械式駐車場の空き区画に悩んでいましたが、よくよく調べてみると、駐車場は必要だが「車高が高い」「横幅がある」といった車のサイズの事情から、外部の駐車場を借りているという人たちが数多くいることがわかりました。

そこで、マンション管理組合では、現在の機械式駐車場をこれまでの三段式から二段式に変更、それぞれの階高をアップさせました。

全体の台数は減るので今後の維持費も抑えられ、これまでサイズが合わずに外部に借りていた人たちもマンションの機械式駐車場が使えるようになったのです。

少し高さの余ったところは、駐車場用のトランクスペースとして貸出、冬用タイヤを入れるなどの活用がされているそうです。

駐車場を利用する人も利用しない人も納得できる解決策を

いかがでしたでしょうか?

多くのマンション管理組合で悩む、機械式駐車場の維持費用と空き区画の問題。

①修繕か?交換か? ②利用料は適切か?会計は別か? ③空き区画台数と潜在ニーズ この3つを総合的に考えていくことが重要です。

ですが、エレベータ―同様、機械式駐車場の維持費用・交換費用など、相場を知る方も少なく、一般の方ではその費用の妥当性がわからないのが困りどころです。

さくら事務所では、技術者のネットワークも駆使して、マンションの現状にあった解決策を導くお手伝いをします。

駐車場を使える人も使わない人も納得できる解決策をともに、考えていきましょう。

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