マンションの地下ピットに水たまりが・・・
地下ピット内に水が溜まっています。
主な出所は湧水と思われますが、きちんと排水されないまま水が溜まってしまっています。
基本、ピット内は貯水槽でない限り、水がプール状に溜まっていることはありません。
一時的に水が発生したとしても、各ピットは連通管で繋がっており、勾配によって最終的には釜場(水が集積される一段低くなった場所)まで流れる仕組みになっています。
原因は連通管の不適切な設置による施工不良
水が自然に釜場に流れるように、スラブ面には勾配がつけられていますが、写真のように連通管の位置が床面から上がっていると、水位がその位置までこないと流れないことになり、常に水が溜まっている状態になります。
自然に排水されるためには、床面と同レベルに連通管が設置されなければなりません。施工時の連通管の不適切な設置によるものと思われます。
このまま長期間水が溜まった状態にあると、悪臭の原因になったり虫が発生してくるだけでなく、コンクリートの劣化を早めることになります。
コンクリートは乾燥収縮によって微細なひび割れが少なからず発生しますが、このひび割れから水分が浸透していくと、内部鉄筋の錆を誘発することになります。
錆びた鉄筋は、コンクリートの爆裂を引き起こす可能性があります。
さらに、水の腐敗により地上面に開放された通気口から悪臭が漂ってくることもあります。
通気口が隣地境界近くにある場合、近隣の方から苦情が来ることもあるかもしれません。
また、構造体である地中梁の劣化は、建物全体の構造耐力に影響を及ぼします。
適切な勾配をつけ、適切な排水がなされる措置を
地下ピットは、基本的に住民が立ち入る場所ではないので、日常の観察で発見できるものではありません。
しかし、通気口からの悪臭が感じられる場合は、地下ピット内に異常が起きている可能性が大きいでしょう。
通気口は、通常あまり目立たない建物の外壁に沿った場所に、地面から突出して配管が立ち上がっています。
また、定期的に管理会社などに地下ピット内の点検を行ってもらうのもよいでしょう。
今回の対処としてはまず、コンクリートが劣化を起こす前に適切な排水がなされる措置が必要でしょう。
勾配の工夫による処置が望ましいですが、場合によっては補強等が必要になるかもしれません。
いずれにしてもピット内の全体的な排水計画に関わり、施工会社との綿密な打ち合わせが必要とされます。
マンション共用部分のチェックをご希望の方はこちら