最初の大規模修繕工事にも影響する、2年目アフターサービスの活用

マンションの修繕積立金不足の問題。

一般的に、「3回目の大規模修繕工事で修繕積立金が不足してしまった」というケースはよく耳にしますが、中には2回目の大規模修繕工事を前に修繕積立金の不足に直面するマンションもあります。

最初の大規模修繕工事を終えた際、「今回は間に合ったが、このままの修繕積立金の徴収ペースでは次回以降の大規模修繕工事で資金不足になるのでは?」という管理組合からのお問合せも多く寄せられます。

大規模修繕工事で修繕積立金不足に陥らないために、一番大事なのはもちろん「きちんと適切な修繕積立金の額を徴収すること」なのですが、もう1つの盲点も。

最初の大規模修繕工事の場合、「本来自分たちで負担しなくてもいいはずの修繕費用まで負担してしまわないようにする」ということです。

ここでは、もう1つの修繕積立金不足防止策、アフターサービスの有効活用について、さくら事務所のマンション管理士が解説します。

最初の大規模修繕工事に含まれる「自分たちの費用で直さなくてもよかったもの」

大規模修繕工事を行うにあたり、まずその建物の劣化状況を確認するために、劣化診断を行います。

その結果に基づいて、修繕範囲や修繕の仕様を決定しますが、中にはそもそも新築時の施工不良事象だったり、引渡し後2年目や5年目にきちんと補修されていれば直ぐには自分たちの費用で修繕しなくてもいいようなものがあります。

例えば、こんなところ・・・
1)外壁タイルの浮き、ひび割れ、欠け
2)屋上露出防水の排水不良(水溜り)、膨れ、切れ、剝がれ
3)外廊下、バルコニーの排水溝の排水不良(水溜り)、塗膜防水の膨れ、剝がれ
4)コンクリート(塗装面等)のひび割れ、欠損、ひび割れからの浸水による汚れ、などなど

そもそも、これら新築時の施工に起因するもの、または引渡しから2年~5年目に既に発生していた不具合は、いずれも本来なら売主(施工会社)に無償で補修してもらえたものなのです。

無償補修の機会を逃すと、自分たちの修繕積立金で補修することに・・・

では、これらを売主(施工会社)に無償で補修してもらうにはどうすればいいのでしょうか?

新築マンションでは、通常アフターサービスがついています。

引渡し後に発生することが想定されるさまざまな不具合事象について、3ヶ月(6ヶ月)、1年目、2年目、5年目、10年目といった節目をアフターサービス期限とし、共用部分や専有部分内で確認された不具合などの申し出があった場合、その範囲内で無償で補修してくれるのです。

生活空間である専有部分については、不具合が生じれば気がつくことが多いでしょう。

ですが、共用部分について専有部分と同じ様に日頃の変化に注意を払われているという方は、残念ながらほとんどいません。

一部の分譲会社では自主的に引渡し後、2年までの間に定期点検が実施されていることもありますが、多くの場合には管理組合が管理会社の協力のもとに行った点検により、申し出があった不具合だけをアフターサービスの対象として無償で修繕してもらっています。

ですが、ここでしっかり施工不良や不具合をしっかり洗い出しておくことがポイントなのです。

このタイミングで、新築時の施工不良を全て洗い出し、施工会社負担で、全ての不具合を補修しておいてもらうのです。

このタイミングで補修できなかった場合、いずれ自分たちの修繕積立金で大規模修繕工事の際に補修することになるのです。

実際コストダウンに成功した例

さくら事務所がコンサルティングを行っている、都内のある小規模マンションコストダウン例をご紹介します。

①ひび割れ等躯体下地補修工事

2年目のアフターサービスでしっかり補修していたので、想定数量より約100万円のコストダウンに

②屋上防水工事

2年目の点検に加え、5年目での点検時に防水の保護塗装を実施していました。

大規模修繕工事の際には、防水層は更新をせず、塗装のみとすることができ、更新した場合に比べ、約1500万円の削減になりました。

小規模マンションの例ですが、これが大規模マンションやタワーマンションとなると、金額はもっと大きく変わってくるでしょう。

10年目じゃなくて?なんで2年目??

一般的なアフターサービス規準では、最長引き渡し後、10年間の保証になっていますが、なぜ2年目が重要なのでしょうか?

それはこのタイミングで、保証の切れる項目が多いからです。

専有部分の床鳴りや壁クロスの剥がれ、共用部分ではコンクリートに発生した軽微なひび割れや塗装の剥がれ、バルコニーや共用廊下の床の水たまりなど、建物の耐久性に大きく影響をおよぼす恐れのあるものを除いては、引渡し後2年目までの申し出が期限となります。

例えば、引渡し2年目までに発生したコンクリートの軽微なひび割れ。

アフターサービス期限にきちんと申告して補修してもらえればいいですが、ここで補修してもらえないままだと、劣化は進行し補修の範囲も広くなり、挙句、自分たちの修繕積立金を使って最初の大規模修繕工事のタイミングで補修しなければならなくなります。

補修する箇所が少なければ、大規模修繕工事全体の費用に占める割合は小さくて済みますが、補修箇所が多い場合には大きな金額になるでしょう。

このように、2年目までのアフターサービスを有効に活用することは大規模修繕工事の費用削減、将来的に修繕積立金の節約にもつながるため、管理組合として見過ごすことはできない大切なものと言えます。

大規模修繕工事で不具合発覚→工事中断、というケースも

2年目アフターの有効活用が有意義なのは、修繕積立金を無駄にしないためだけではありません。

新築時の施工不良で構造耐力に影響するもの、例えば「構造スリットの不設置または設置不良」「鉄筋の切断を伴うコンクリート躯体への不正なコア抜き」などは最終的には売主側で対応されるケースも多いのですが、これらは「大規模修繕工事で足場を掛けてから発覚する」ことがあります。

通常、大規模修繕工事前に行う劣化診断では、これらはなかなか発覚しないのです。

大規模修繕工事に着手して、足場を掛けて初めて発覚、結果、大規模修繕工事がストップしてしまったり、売主の交渉に時間を要することになるなど、マンション管理組合に大きな負担を与えます。

不具合箇所の洗い出しがアフターサービス活用には不可欠

アフターサービス活用にはまず、不具合箇所の洗い出しをしっかり行うことが前提です。

専有部と異なり、共用部分は引渡し時にその仕上がりや施工を確認する機会もありません。

この機会にしっかり見ておきましょう。気になる方は建物のプロに調査してもらいましょう。

調査費用を超える、修繕費用の削減につながるかもしれません。

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