サッシのカバー工法にデメリットはある?費用や補助金、注意点を解説

マンションは築年数の経過と共に窓やドアのサッシ部分に不具合が生じてきます。その際、出来るだけ時短で修繕工事したいときに、おすすめなのが「カバー工法」です。

本記事では、サッシのカバー工法の特徴・メリットついて基礎からわかりやすく解説するのはもちろん、デメリットや注意点、補助金の活用法まで紹介します!

カバー工法は既存のサッシに被せる時短工事

カバー工法とは、既存のサッシを残したまま新しいサッシを被せ窓ガラスを入れる工事方法です。

古いサッシを撤去しないため、壁を壊すなどの大きな工事が必要なく、1日程度で完了します。

また、足場の設置も不要で室内から工事できるケースが多いため、騒音やほこりの発生も最小限に抑えられ、生活に大きな不便が生じないことも大きなメリットです。

サッシのカバー工法の手順

 

カバー工法は以下の手順で工事が行われます。

  1. 既存の窓ガラスを外し、サッシだけを残す
  2. 新しいサッシを繋ぐための部材を取り付ける
  3. 新しいサッシを上から被せるように取り付ける
  4. 新しい窓ガラスをサッシにはめ込む
  5. シーリングで隙間を塞ぐ

工事時間の目安は、窓1か所あたり約3時間、玄関ドアなら約半日です。

カバー工法によって窓の見た目がきれいになるのはもちろん、水漏れや音漏れなども改善できマンション性能が向上します。特に、築30年以上のマンションリフォームで採用されることが多いです。

サッシのカバー工法のデメリットは2つ

時短工事できメリットの大きいカバー工法ですが、当然デメリットもありますので、採用前に正しく理解しておきましょう。注意してほしいのは大きく2つです。

(1)窓を大きくする工事はできない

カバー工法は、既存サッシに被せて新しいサッシを取り付ける工事方法のため、施工後はサッシが二重になり以前よりも窓が小さくなります。縮小の目安ですが、上下が約7㎝、左右が約5㎝程度小さくなるのが一般的なイメージです。

大きい窓ならガラス面積が5~7㎝縮小しても気にならないかもしれませんが、小さい窓の場合は室内への日当たりなどに影響するため注意が必要になります。窓を大きくするどころか小さくなってしまう点がデメリットです。

(2)高度な技術が必要である

カバー工法は時短で工事できる反面、高度な技術が必要です。

多くのマンションでは築年数が経つに伴い、長年の建物の重みでサッシが歪んできます。

カバー工法を行うには、各窓の異なる歪み具合を考慮して採寸や取り付けを行わなければいけません。施工業者には確かな知見と技術力が求められるのです。

サッシのカバー工法でできること

サッシのカバー工法のメリットは時短で工事が出来ることに留まりません。

他にも下5つのようなメリットがあります。

・窓の開閉方式の変更

・ガラスやサッシの種類の変更

・風・雨の浸入防止

・開閉しにくさを改善

・部屋の印象アップ

(1)窓の開閉方法の変更

FIX窓(開閉できない窓)からすべり出し窓に変更したり、その逆にしたりと、カバー工法では工事の過程で窓の開閉方法を変更できます。

壁を壊さない最小限の工事でありながら、ライフスタイルの変化に合わせて、気軽にリフォームできますよ!

(2)ガラスやサッシの種類の変更

カバー工法は、機能性の高い複層ガラスや樹脂サッシに変更することも可能です。

断熱性の高いガラスに変更すると、雨や雪による結露のカビ防止にもなります。冷暖房費を節約できるのもうれしいポイントです。

(3)風・雨の浸入防止

経年劣化によるサッシの歪みは隙間を生み出し、風や雨が室内へ浸入する原因になることも。

カバー工法では、歪みによる隙間を埋める工事を行うため、雨風の浸入を防ぎ、暑さ寒さによる室内外の気温差を最小限に留められます。

(4)開閉しにくさを改善

サッシの歪みが引き起こすもう1つの弊害は、窓を開閉しづらくなることです。

施工業者の高度な技術によって歪みを解消できれば、動きが悪かった窓もスムーズに、ストレスなく開閉できるようになります。

(5)部屋の印象アップ

サッシや窓も、外壁などと同様に年数が経つにつれて見た目が古くなってしまいます。

カバー工法は古いサッシを残しますが、新しいサッシを被せることで古い部分は見えなくなり、見た目がきれいに生まれ変わります。

大規模な工事をしなくても、部屋の印象を刷新できますよ!

サッシのカバー工法の費用は約170,000円~

気になる費用ですが、サッシのカバー工法の相場は、耐熱性能を求めず窓ガラスの交換のみなら腰窓サイズで約17万円〜。最高グレードのアルミ樹脂複合サッシと真空ガラスにするならテラスサイズの窓で35万円ほどになります。

35万円というと高額に感じるかもしれませんが、カバー工法とは別の既存サッシを全て外す「はつり工法」の相場は約23〜58万円。さらに足場費用まで追加されるので、カバー工法は比較的低コストな工事方法なのです。

サッシの種類

サッシの種類 メリット デメリット
アルミサッシ 軽くて加工しやすく、サビにくい、価格が安い 断熱性が低く、結露しやすい。
アルミ樹脂複合サッシ アルミサッシより、断熱性が高く、結露しにくい アルミサッシに比べると価格が高い。
樹脂サッシ 断熱性・耐久性が高い、色やデザインの種類が豊富 アルミやアルミ樹脂複合と比べて価格が高い。

断熱性の高い順に並べると、樹脂が最も高く、次いでアルミ樹脂複合、アルミとなり、それに比例して価格は高くなります。

耐熱性と機能性のバランスから、アルミ樹脂複合サッシを選ぶ人が多いようです。

ガラスの種類

カバー工法で窓ガラスを交換する際には、耐熱性などの用途に合わせてガラスを選びなおすこともおすすめです。

近年では、以下のようなガラスが広く用いられています。

ガラスの種類 特徴
フロート板ガラス 最も一般的なガラス。歪みが少なく、採光にも優れている。
複層ガラス 2枚のガラスの間に乾燥空気が封入してある。耐熱性が高く省エネ効果も期待できる。
Low-E複層ガラス Low-E膜という特殊な金属膜をコーティングしたガラス。高い耐熱性はもちろん赤外線や紫外線をカットする特性があり、夏の暑さ対策として有効。
真空ガラス 2枚のガラスの間が真空になっている。空気による熱の移動を遮断することで耐熱性が非常に高い。また、防音効果も期待できる。
強化ガラス フロート板ガラスに比べ3~5倍の強度で割れにくい。割れた場合も、ガラスが粒状になるため大ケガしづらい。
合わせガラス 強靭な中間膜により割れてもガラスの破片が飛び散らない。防災性・防犯性・防音性に優れ、UVカット性能も有している。

窓の大きさや部屋の用途などによってガラスの種類を変えてみてもよいかもしれませんね!

サッシのカバー工法には補助金制度がある

サッシのカバー工法には補助金が使える場合もあります。

自治体によって制度の有無や内容は異なりますが、本記事では2つの補助金制度を紹介します。

先進的窓リノベ事業

「先進的窓リノベ事業」とは、既存の窓を省エネ効果の高い断熱窓にリフォームすることで補助金が交付される制度です。

補助金がもらえる対象期間は2023年12月31日までに着手し完了した工事で、1申請あたりの合計補助額は5万円以上から申請可能となっています。

補助額は窓の性能区分やサイズによって異なりますので、詳しくは施工会社や国のキャンペーンぺージを参考に確認してください。

住宅省エネ2023キャンペーン「先進的窓リノベ」

既存住宅における断熱リフォーム支援事業

「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は、高機能建材を活用してリフォームした場合に一定の条件を満たすことで補助金を受け取れる制度です。

対象となる工事は断熱材・窓・ガラス・玄関ドア・LED照明などの断熱リフォームで、住宅全体の15%以上の省エネ効果が見込まれる「トータル断熱」と家族の在室時間がもっとも高い「居間だけ断熱」の2種類から選択できます。

補助率は対象経費の3分の1以内となっており、上限額はマンションを含む集合住宅なら1住戸あたり上限額15万円です。対象者は、個別申請の場合は所有者となりますが、マンション全体で申請する場合は管理組合の代表者(理事長)となります。

この制度についても、個別具体的な補助額などについては施工会社で改めて確認してください。

公益財団法人北海道環境財団「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」

サッシのカバー工法の注意点

カバー工法を依頼するにあたって、特に気をつけて欲しいのは下の2点となります。

カバー工法そのもののデメリットではなく、発注方法における注意点なので、事前に知っておけば損失を被らずに済みますよ!

製品によっては段差ができることも

玄関ドアのカバー工法に関して、下枠の立ち上がりが約20㎜未満の場合は施工後に段差がついてしまう可能性があります。

特に、古いタイプのドアなら下枠の立ち上がりが小さいことが多いです。

その場合、段差を解消できる方法や製品もありますから、あらかじめ施工業者に工事後の仕上がりについて確認し要望を出しておきましょう。

個人で発注するときは管理規約を確認する

国土交通省「マンション標準管理規約」の第22条によると、住戸のサッシ交換については『管理組合の責任と負担で実施するもの』とありますが、『管理組合が速やかに工事を実施できない場合、理事長から書面による承認を受ければ、各区分所有者の負担と責任において実施できる』と記されています。

参照:国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」

サッシ工事は大規模修繕工事を機に実施することが最もおすすめですが、区分所有者が個別に行うこともできます。ただし、原則としてサッシは共用部にあたりますから、管理規約をよく読み、管理組合に確認してから発注しましょう。

サッシ交換におすすめなタイミングや費用についてより詳しく知りたい方は、下の記事も合わせて読んでみてくださいね!

マンションのサッシ交換、費用は?タイミングは?押さえておきたいポイントを解説

サッシの不具合はマンション全体で向き合おう

マンションによっては、個別で工事できるサッシ交換ですが、出来ればマンション全体で大規模修繕工事の際にまとめて行えると、よりスムーズで、マンションならではのスケールメリットを活かし余計なコストも抑えられます。

また、窓やサッシの経年劣化からくるマンションの不具合を正しく調査するためにも、管理組合が主導となって大規模修繕工事に向けたマンション全体の劣化診断をしてから、カバー工法などの実施を検討してみてください。

さくら事務所では、多くのマンションの不具合を見てきた専門家による第三者調査「建物劣化診断」を行っています。

必要な工事と不要な工事を明確にわけられ、大規模修繕工事のタイミングや工事内容・費用の妥当性をチェックする際に有益なサービスですので、ぜひお役立てください!

[建物劣化診断]マンション大規模修繕工事に向けた第三者調査

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