マンションのアフターサービス、家の中だけ?
マンション購入したらついてくるアフターサービス。
売主が購入者に対してマンションの修理やメンテナンスを一定期間行うサービスで、特段の理由がなく保証期間内であれば原則無償で行われます。
構造耐力上主要な部分(柱、梁、壁、屋根など)と雨水の浸入に関わる部分(防水など)については10年、水回り給排水管設備などについては5年、その他は2年というのが一般的。売主が「販売したものを一定期間保証しますよ」ということで、この保証は売主と購入者との間で交わされます。
マンションは専有部分と共用部分に分かれることはご存知の通り。そして、売主と購入者との間で取り交わされるアフターサービス規準は専有部分だけではありません
専有部分ついては、例えば新築マンション購入者がアフターサービス期間内に売却した物件を中古住宅として購入した人はサービスが受けられません。
あくまで分譲時に売主と購入者との間で取り交わされるものなのです。
しかし共用部分については、区分所有者の集合組織である管理組合と売主との間でアフターサービス規準が適用されることとなるのです。
共用部分のアフターサービス点検は誰がやる?
一般的に引渡し後3~6ヶ月後に1回、12ヶ月後に1回、24ヶ月後に1回の計3回、売主が自主的に定期点検として問題など起きていないかチェックを行います。
専有部分については事前に調査表が回ってきて、各自気になるところを申告する仕組み。
さて、共用部分はどうしているのでしょうか?
もちろんバルコニーや玄関周りなどの専用使用権がある部分は、各居住者が申告できますが、廊下や階段、エントランス、屋上に至るまで共用部分は、管理会社もしくは管理会社から委託された会社が診断・調査をしなければ、管理員の方が毎日の勤務中に気が付いたことを拾い出す程度でしょう。
もちろん、日常の中で気付いたことは居住者から管理会社に申告すればいいのですが、そもそも、共用部分もアフターサービス規準が適用されることを知らない居住者も多いのが現状です。
さらに管理会社さえもよく理解していない場合、せっかくの不具合の無償補修の機会を逃してしまうことになってしまいます。
共用部分こそ、しっかり使いたいアフターサービス
せっかく保証対象になっている共用部分のアフターサービス、しっかり活用したいところです。
初期の段階でアフターサービスを活用し、しっかり補修しておくと後々の劣化・不具合の進行を格段に遅らせ、マンションの寿命をのばすことにつながります。
つまり、アフターサービス期間が過ぎた後に管理組合が負担して自費補修しなければならない割合がぐっと減り、修善積立金の無駄な出費も削減できます。
下記事例はマンションで、24ヶ月点検の前に共用部分の調査にお伺いしたときに発見したもの。
雨が降ると上階から、この階だけ水が漏る。
管理員の方も異変に気づいていたようで、チェックしてみると階段と廊下との繋ぎ部分に僅かに隙間がありました。
ここから、水が浸透していたんですね。
壁面が白くなっているのは、コンクリートのセメント成分が水と一緒に溶け出してしまっている証拠。
こういう事象もアフターサービスの中で補修をしておくと、躯体の劣化の進行を格段に遅らせることが可能。
下記事例は駐車場の天井です。
近づいてみると、不燃ボードが欠落して、中の断熱材が露出してしまっている状態に。
実はこれは危険な状態で、いったん火の手が上がると天井一体一瞬で燃え広がる危険性があるのです。
「まだ新しいから」ではなく、むしろ「今のうちに」が肝心。
出来るだけ早い段階で施工不良などは無償で修繕を行い、長く快適なマンション生活を送れるよう、管理組合の資産である修繕積立金を節約しましょう。