マンションの鉄部の錆び、放置すると・・・
建物の金物部分(鉄部)に錆が発生しています。右写真は屋上通気口、左写真はバルコニーの手すり部分です。
表面塗装の剥がれにより、鉄部が空気にさらされることで、徐々に錆は進行していきます。
また、目立った表面塗装の剥がれがなくとも、傷跡から錆が進行していくこともあります。
錆が進行すると、単に見た目だけにとどまらず、鉄部の厚みが減少していき(腐食)、最終的には穴があくなど鉄部の欠損が生じます。
左写真のような手すり部に錆が生じると、手すりの破断につながり、落下などの事故にもなりかねません。
また屋上の通気口とは、建物内部を縦に貫通する排水管に空気を送り込む為の取り入れ口で、錆によってその開口面積が狭まると、排水の流れが悪くなったりすることも考えられます。
長期修繕計画に頼らず、実態に沿った適切なメンテナンスも重要
建物には写真のような手すりや通気口だけでなく、たくさんの金物部分が付随しています。
たとえば、ベンドキャップと呼ばれる各住戸の換気吹き出し口カバーであったり、各メーターボックスの扉、またエントランス周りに意匠的にステンレスを使用しているケースもよく見られます(ちなみにステンレスも錆びます)。
避難ハッチや避難はしご収納ケースなどもステンレス製がほとんどですが、これらが錆びていて、いざ逃げようとしたときに蓋が開かない!なんてことにもなりかねません。
手すりやベンドキャップであればバルコニーから目につきやすい場所ですが、屋上や地下、居住者が普段あまり出入りしない場所(備蓄倉庫の扉や鍵など)は、管理会社の定期的なチェックが必要とされるでしょう。
長期修繕計画において、錆び塗装補修は5~6年に一度のペースで行われるのが一般的です。
とはいうものの、もちろん錆びていなければ補修の必要性はありませんし、海の近くなどの立地であれば2~3年で錆びてくることもあります。
計画上の修繕だけによらず、常に日常の観察とそれに応じて適切にメンテナンスを行っていくことが重要です。
記述のとおり、放置しておくと錆びは進行するのみ、虫歯と同じでよくなることはありません。
早期に修繕を行うことで、錆塗装で済むものが、放置していたことで部材ごと交換しなくてはならなくなると、それだけ修繕コストもかかります。