外壁タイルが浮く原因
もちろんマンション竣工後。経年劣化で外壁タイルが浮くことはあります。しかし、ここで重要なことは、たとえば1回目の大規模修繕工事で外壁タイルの浮いた割合が10~15%以上も見つかった場合、それは経年劣化ではなく、マンションの施工不良である可能性が圧倒的に高くなります。
そもそも地震だけが原因で、ちゃんと施工されたマンションの外壁タイルが落ちる可能性はあるんでしょうか?結論として1~2枚浮いたり、建物の挙動が大きい場所では外壁タイルが落ちることは当然あり得ます。しかし想像されるような外壁タイルの大量の浮き・剥離が起こるケースはほぼ存在しません。※
※結果的に大地震が起こったことで、経年劣化・施工不良と合わせた浮き・剥離が顕在化する可能性が大いにあると言えます。
外壁タイルの浮き率について
健全な施工がされている場合
- 竣工後12~15年(1回目の大規模修繕工事時点)では2~3%程度
ロングライフビル促進(BELCA)【データ集】
- 補修率が0.6%/年とされ標準的だとされることが多い
→外壁タイルなどのトラブル時では、標準的な経年劣化率を前提としたものではない
→つまり、これが標準的な劣化率というわけではない
外壁タイルの浮き・剥離は、直接的に地震が原因ではない
施工会社の見解
たとえば施工会社の見解であるのが、地震が起こった影響で外壁タイルが浮いたと報告されるケース。このような報告は思いの外多く見受けられます。しかしこのような報告は、あまりにも場当たり的で強引な報告と言えます。
なぜなら地震が原因で外壁タイルの浮き・剥離を示す根拠は存在しないからです。もし近隣に同規模の建物があった場合、同じような外壁タイルの浮き・剥離が起こっているかどうか、比較して調べると実際にどうなのか判断出来ると思います。
☆最終的には潜在的にマンションに施工不良があったり、築30~40年と経年が進んでいる場合、たまたま大地震が発生した結果、施工不良や経年劣化が大地震で顕在化したと考えることが妥当だと考えられます。
特定建築物調査の外壁タイル調査について
特定建築物調査とは、建築基準法第12条で定められた法定点検で、マンションでは3年に一度実施される調査となります。その調査のなかに外壁タイルも調査範囲に含まれています。
この特定建築物調査の中で行われる外壁タイルの調査は。すべての外壁タイルではなく、一部のみ調査を行います。その結果としてこの調査では、外壁タイルの不具合について正確に報告されないケースが目立ちます。
なかには外壁タイルの調査を特定建築物調査の範囲のなかで行ったにも関わらず、外壁タイルについては「異常なし」と報告され、その後たった1年で外壁タイルがとんでもなく浮いていたケースも存在します。この事例でもあるように、調査時にしっかりと調査が行われていないケースが非常に目立っていると言えます。
特定建築物調査の外壁タイル調査の方法
特定建築物調査では、どんな調査が行われているのか?
目視と部分打診調査
足場がない場合、外壁タイルの確認が出来ないような場所や少し高いところについては、直接目視する場合と双眼鏡や望遠鏡を用いて、機械的に目視をして外壁タイルの状態を確認する場合があります。また手で届く範囲についてはテストハンマーを使って外壁タイルの打診調査をおこなって状況を確認します。
もしも外壁タイル不具合に遭遇したら
もしも外壁タイルの不具合に遭遇した場合は、まず竣工後の引き渡し経過年数をまず把握することが大切です。経過年数ごとに次のような対応策が考えられます。
- 2年(5年)以内はアフターサービスの活用
- 10年以内であれば契約不適合責任で法的に協議可能
- 10年目~20年目以内であれば、不法行為責任で法的に追求可能
☆20年を超えると法的追求は困難になる場合が多くなります。
またアフターサービスについては、別記事で詳細を書いているものがあるので、参考にしてください。
関連コラム:マンション共用部アフターサービス 損をしないためのポイント
外壁タイルの不具合については原因調査は必須
マンションの外壁タイルの不具合は、打診調査(浮き率)の結果だけでは証拠にならず、もし交渉を分譲・施工会社としても交渉が難航する可能性があり、また証拠が不十分で議論が先に進まない可能性も想定されるので注意が必要です。
そのため原因が不明であれば、ただ張り替えれば良いとのことでは、適切な補修計画が立案できない場合もあります。
裁判ではなく、分譲・施工会社などと協議で不具合について解決をする場合は、補修工事後の保証についても、一定程度の保証をつけて合意が出来ることがあります。
もしもマンションで外壁タイルに不具合があるんじゃないか、と考える場合は、安易に行動せずに専門家にまず相談されることをおすすめします。