マンションの2年目定期補修(アフターサービス)とは?
新築分譲マンションを購入して入居すると、3か月目、1年目、2年目などに売主の不動産会社から定期補修のお知らせと不具合を尋ねるアンケートが届きます。
これはアフターサービスの一環として行われているもので、住んでみてからわかった不具合などを無償で直してくれるサービスです。
特に2年目の定期補修は、無償で直してくれる最後の機会ですから、これを有効に使わない手はありません。
しかし、入居者が「説明が難しい」「自分の気のせいかも」と遠慮して点検前のアンケートに記入することをためらった結果、アフターサービスを有効に活用できていない例が多くあります。
専有部と共用部の両方で行われますが、今回は専有部(みなさんが住んでいるお部屋)を中心に書いてみたいと思います。
入居者から見た定期補修
大抵の場合、アンケートが配られて、入居者が不具合を記入します。図面をつけてくれるところもあれば、枠線だけが書かれたアンケートなど書式はさまざまです。
しかし建築のプロでもない人が文字だけで、「どの部屋の」「どの部分で」「何が起こっているか」を書くのは難しいのです。だからといって面倒だから何も書かないというのは、もったいない話です。変な文章になって恥ずかしいと思う方もいますが、もしかしたら大きな問題の兆候かもしれませんので、頑張って書きましょう。
「玄関の段差になっている石の部分と、玄関の床の石の間の隙間が大きくなっている気がする」
こんな文章でもかまいません。何かが起こっていることが伝わればいいので、面倒がらずにアンケートに書いていきましょう。
売主から見た定期補修
2年目の定期補修は、最後の定期補修になるので要望が多くなりがちです。
そのため憂鬱なイベントであり、無償の補修はなるべく少ない方がいいという心境になりやすいのです。
アンケートに何も書かれていなければラッキーと思ってしまうのは、多くの担当者に共通する心理でしょう。
しかし売主から見ても施工会社に無償で対応してもらえるのは2年間なので、2年目の定期補修で全て終わらせた方が良いのも事実なのです。
2年を過ぎてしまうと費用の負担を入居者にお願いしなくてはならず、それなら2年目の定期補修で全て終わらせたいと思っている担当者も存在します。
アンケート記入をためらう心理
「こんなこと書いていいのだろうか?」
「気になることがあるけど、定期補修の範囲なのかわからない」
「こんなこと書いたら笑われそう」
「自分の気のせいかもしれない」
などの想いから、アンケートに記入することをためらう人が大勢います。例えば、以下のような内容を書かない人が多くいるようです。
- サッシの開閉が重くなった気がする。
- 水の出が悪くなった気がする。
- 排水の流れが悪くなった気がする。
- いつ頃からか、なんとなく臭いがするようになった。
- 破損している部分があるが、入居前からなのか入居後に破損したのかわからない。
- 時々、変な音が聞こえる。
もし記入したものが定期補修の対象外なら、担当者が教えてくれます。
大きなトラブルの前兆かもしれませんので、的外れかもしれなくても、記入して相談してみましょう。
再現性のない不具合
いつも不具合が起こるのではなく、たまに起こる。しかもそれがいつ起こるのかわからないものを、再現性のない不具合と呼んでいます。
例えば、床鳴り、どこからか聞こえる異音などです。
アフターサービスの担当者に来てもらっても、その時に不具合を確認できない場合が多く、改善が難しいのでアンケートに記入しない方が多いようです。
確かに再現性のない不具合はすぐに修理できるものではなく、時間がかかるのは事実です。 しかし大きなトラブルの前兆の可能性もあるので、必ず記入しておきましょう。
アンケートに記録しておけば、その時に解決しなくても記録が残ります。後から大きな問題になったとしても、2年以内に相談していたのですから、無償でアフターサービスを受けられる可能性が高くなります。そういった意味からも、気になることは書いておいた方が良いのです。
気になることは全て書こう
2年を過ぎてしまうと、売主のアフターサービス担当者は費用の負担を入居者にお願いしなくてはならず、施工会社も売主に費用を請求することになります。
5年目、8年目ならいざ知らず、2年をほんの少し過ぎただけで費用を請求するのは、施工会社にとっても売主にとっても心苦しいものですし、
なにより入居者にとっては金銭的負担が増えてしまいます。
2年以内に補修を完了させることは、入居者、売主、施工者の全員にとって良いことなので、アンケートには気になることを全て書いて、アフターサービスの担当者に要望を出しましょう。
アフターサービスを有効活用することの重要性
いかがでしたか?
今回はマンションの専有部に関してのアフターサービスについて書きましたが、所有者が不具合の申告をあえてしない人が多いという状況は、共用部分でも同様です。
共用部分補修の場合、アフターサービスを有効活用できないと、本来であれば支払う必要のなかった修繕費を修繕積立金から数百万円~時には数千万円を支払うことになってしまうのです。
専有部・共有部にかかわらず、アフターサービスの有効活用の鍵はまずは「気になる不具合を売主に伝えること」なのです。