コストダウンと管理会社の変更は本当に必要?
管理会社に支払う管理委託費などの支出は、貯蓄となる修繕積立金とは異なり、できる限り安くしたいものです。
けれども、この「安い」という感覚は管理組合によって異なります。
「多少管理委託費が高くても、経験豊富な営業担当・管理員を派遣してほしい」
「決められた業務が実施できれば、格安の下請け会社を使ってでも費用を下げて欲しい」
管理に望むものは組合によってさまざま。価格自体が安くなっても求める管理品質が伴わず、結果的に「安い」と思えない場合も。
管理会社から安価な提案を受け、価格の根拠を認識できていないまま発注し、管理の質が低下する事態に陥ってはいけません。
管理費見直しの実施は、「管理組合がどういった品質を求めているのか」を認識することから始めなくてはいけないのです。
現状の管理状態を把握する
管理組合が管理費の見直しを実施する理由には、
- 「現状の管理内容のまま、費用を下げたい」
- 「管理会社に不満があり、相応な価格に下げさせたい」
- 「いまの金額で、もっといい会社を選びたい」
など、さまざまなものがあります。
いずれの場合も、単に複数の管理会社からとった相見積もりを並べて価格交渉するだけでは、「品質を下げずにこれ以上の値下げはできません」と、管理会社に断られてしまいます。もし値下げできたとしても、保守点検などの質が低下し、望んだ結果を得られないことも。
今の管理状態が管理委託契約書に合っているのか、一般的な管理会社の業務品質レベルに達しているのかなど、「質と価格が合っていない」根拠がわかると、無駄な管理費の見直しや管理会社の変更をスムーズに行えます。
「値下げありき」にならないよう注意する
管理費のコストダウンを実施した管理組合の中には、下げる金額の大きさにこだわりすぎて管理品質が低下し、コストダウンを提案した理事会と管理組合に軋轢が生じるケースもあります。
コンサルティング会社への報酬が管理費削減額に連動しているような場合、「報酬額を増やすために、過剰な値下げ提案を持ちかけられていないか」と心配する管理組合も少なくないようです。
管理費は抑えたいものですが、「安かろう・悪かろう」では困ります。管理費の見直しはコンサルティング会社の勧めにすべて従うのではなく、管理状態の診断結果とアドバイスを得て、管理組合が主体的に考えましょう。
その上で、管理費削減・管理会社変更を行うかどうか管理組合が選択します。