いざという時のためにマンションになくてはならない設備が消防用設備。
一般的に消防用設備とは、1.消火器などの火を消すための設備、2.火災報知器などの火災を知らせる警報設備、3.避難はしごなどの避難設備に大別できます。
これらの設備は、消防法によって建物用途や規模に準じ設置が義務づけられており、 マンションなどの建物規模になると、一通りこれらの設備は設置されています。
しかし、実際にマンションの居住者が設置場所と正しい使い方を認識していなければ万一の時に効果を発揮できません。
マンション管理士が、マンションの防災・消防設備について解説します。
避難ハッチ、ついていますか?隔て板は蹴破れますか?
特に避難設備(一般的にバルコニーに設置されている避難ハッチ)は、各住戸についているのは稀。
並んだ住戸の配置の場合、両端の住戸のみに設置されているケースが一般的です。
間に並んだ住戸はバルコニーの「隔て板」を破って、避難ハッチのある住戸まで避難することになります。
この隔て板はどのくらいの力で破壊できるかご存知ですか?そして、実際に避難ハッチの蓋を開けて上から下を覗いてみると考えた以上に怖いもの。
避難器具は日常的に触れる機会がないため、実は使い方が分かっていないという方が多いでしょう。いざという時に冷静に的確な操作ができるように準備しておきたいものです。
防災設備は、点検や実演演習も大事
法規上、マンションであれば3年に1回、避難器具メーカーは消防用設備の定期点検が義務付けられています。
しかしこれは、メーカーが設備に異常がないかどうかを調べて報告して終わりということがほとんどで、これではマンションの居住者はいつ点検が実施されたのか分かりません。
もちろん費用はかかると思いますが、メーカーによる実演演習も事前に要請をすれば対応してもらえるケースもあります。
通常、マンションでは年に一回くらい消防訓練というものを実施しており、消火器の使い方や消防署の方のお話という内容が多いのですが、このときに避難器具の使い方実演も一緒に実施してみると良いかもしれません。
マンション内のコミュニケーションも増す消防訓練
まだ消防訓練をしていないマンションであれば、ぜひ管理組合で提案しましょう。
また、マンション内でのコミュニケーションが増えることはトラブル防止にもつながります。
実演の際は避難器具が設置してあるお部屋の方のご了承が必要ですが、災害時にどれだけ被害を防げるかは、非常時の各々の行動に大きく依存するもの。
マンションのように多くの人が集って住んでいる場所では、その連携と相互の助け合いが一人の命を救うケースも想定できます。
決して必要な設備が備わっているから万全ではないということを念頭に管理組合を運営しましょう。
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