5年目のマンションでアフターサービス活用
現在築7年のマンションで、理事会が「売主の外壁タイルのアフターサービス期間が終わる前に、共用部分の点検をしておこう」という方針のもと、築5年目に管理組合からさくら事務所にマンション共用部分チェックのご依頼がありました。
築5年目の時点で外壁タイルの大きな浮き(放置しておくと剥がれる恐れがあるもの)は無く、数枚単位で部分的に少し浮いているものを、「予防医学」的に、売主にアフター補修申請し、修繕してもらいました。
調査時には、もちろん建物に生じている軽微なひび割れなども合わせてチェック。
太陽光にさらされ風雨の影響を受けていれば、どんな建物でも軽微なひび割れは生じてきます。
構造に問題ないような劣化現象は管理組合が自費で補修する箇所になりますので、大規模修繕工事の際にまとめて補修を行います。
それから2年後、マンションの状態はどう変わった?
そして診断から2年後、その軽微なひび割れ箇所のうち、階段の手すりに生じたものが若干変化してきたようです。
ひび割れに汚れが付着しているので、実際のひびの幅や大きさは見た目ほど大きくはありません。
ひびの幅や大きさそのものは変わらないのですが、下部に白い液体が流れた跡が見られます。
ひび内に雨水が入り、コンクリートの石灰質が流れたエフロレッセンスと呼ばれる現状でしょう。
軽くこの部分を叩いてみると、『ポコッポコッ』と、少し浮いた音がしたそうです。
2年間で、ひび割れ部分の劣化が多少進行したようです。
すぐ補修できるならするに越したことはありませんが、これ以上症状が進行しないのであれば、大規模修繕まで経過観察をする程度で大きな問題は無いでしょう。
というのも、5年目の段階で一度ひととおり点検できているので、今後何か変化があっても「診断後に発生したことになり、劣化としては一般的」というようなおおよその判断ができるためです。
築10年目で実施されることが多い大規模修繕前の建物診断時まで、一度も共用部分の診断をしていないと建設時からあった不具合事象を発見しても、アフターサービス期間が切れているものの場合は、管理組合の負担で修繕することになります。
マンションの共用部分は、アフターサービス補償を上手に活用し、管理組合の修繕積立金の支出を減らしましょう。