修繕・改修・補修の違いとは【比較表で解説】
マンションの工事を行う場合は、主に「修繕」・「改修」・「補修」の3つに分けられます。3つの工事はそれぞれの目的と内容が異なり、状況に適した方法を実施します。
主な目的 | 主な工事内容 | |
---|---|---|
修繕 | 対象の建物を建設した当初の水準に戻す | 劣化部分の修理や取替えをする。可能な限り材料は同じものを使用する。 |
改修 | 建物の資産価値を向上させる | システムの強化やバリアフリー化をする。光回線や断熱材の導入も改修に含まれる。 |
補修 | 実用上、問題のない程度にする | 劣化や不具合の箇所に材料等を補い、応急的に処置する。安全性が長期間保たれるわけではない。 |
工事の種類によって、目的や工事内容が異なります。次の見出しでは、それぞれをより詳しく解説していきますので、気になる方はぜひご覧ください。
修繕(工事)とは
修繕とは、対象の建物を建設した当初の水準に戻すために実施される工事です。工事では建物の見た目や機能などを元の状態に戻します。修繕工事の際に使用される材料は、同じものもしくは近いものが選ばれます。
マンション等の建物、経年や雨などの要因により劣化し不具合を起こす可能性があります。不具合が生じた場合は該当箇所の部品を修理したり、取替えたりするのです。居住者は修理や取替えによって、支障なく利用できます。
修繕工事において外壁の修繕をする場合は足場を組むため、コストが高くなります。そのため、工事の時期は適切なタイミングを見極めた上で実施しなければならないのです。マンション管理組合は適切な時期に、必要な修繕工事を行いましょう。
大規模修繕とは
大規模修繕とは、マンション等の経年劣化を防ぎ、居住者の安全な生活を送るために実施される工事です。また、美観や価値を守る意味合いもあります。
例えば大規模修繕の場合、足場を組んだ上で外装塗装をしたり、該当箇所の防水工事をしたりします。さらに、配管工事をすることもあるでしょう。
一般的な修繕工事との違いは、建物の全体又は複数の部位について行う大規模な計画修繕工事(全面的な外壁塗装を伴う工事)であることです。
大規模修繕工事は建設当初の水準に戻し、快適な居住環境の確保と資産価値の維持を目的としているため、一般的な修繕工事との差異はありません。
大規模修繕工事の周期は、12年から15年が目安です。ただし、管理会社によっては周期を長くし、回数を減らす大規模修繕工事を採用しているケースもあります。周期が長くなることで、修繕にかかる費用を抑えることが可能です。
下記の記事では大規模修繕工事の流れや工事内容を詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
マンションの大規模修繕工事とは?費用・工事期間・周期や大まかな流れを解説
修繕工事の具体例
修繕工事には複数の工程があり、各マンションの状況により工事内容が異なります。工事内容としては、以下のような項目が挙げられます。
- 仮設工事
- 下地・タイルの補修
- シーリング工事
- 防水工事
- 塗装工事
例えば仮設工事は、大規模修繕工事を進める上で必要な工程の1つです。仮設工事の中でも直接仮設に類する足場工事では、施工業者が外装塗装をする場合の足場を組み工事を行います。
防水工事は、屋上部分の浸水を防ぐために行う工事です。アスファルトや樹脂のシートを張ったり、塗膜で保護したりする工法です。マンションの状態や該当箇所によって、工法が変わります。
このように修繕と一言で表しても、工事内容はさまざまです。
改修(工事)とは
改修とは、建築当初により建物の機能や性能を良くさせ、資産価値を高める工事です。工事では居住者の生活スタイルや時代の変化より、さまざまなものが対象になります。
例えば、マンションのバリアフリー化や耐震性の向上などが挙げられます。さらに、省エネ化やシステムの強化を行うケースもあるでしょう。
また以下のようなパターンも改修に当てはまります。
- 光回線がないなら導入する
- サッシを防音性、断熱性の高いものにする
- インターホンをテレビ付きのドアホンにする
改修は建物や設備の劣化や不具合の部分を修繕するだけではなく、ライフスタイルや時代に合った工事を行い、建物の価値を高める効果があります。
大規模修繕工事においては、建築当初の状態に戻す目的があり、劣化部分を修繕する工事を行います。一方、改修は修繕のみならず、新たな付加価値が加わります。
今後入居する方に対しては、築年数の古いマンションであっても魅力に繋がります。マンションの価値を高めつつ、より良い状態を維持することが可能です。
補修(工事)とは
補修とは、マンションの劣化や不具合が生じた箇所を実用上問題のない程度に補う工事です。この工事は修繕と異なり一定期間ごとに行わず、その都度応急的な処置になります。補修工事は、小修繕とも呼ばれています。
例えば、外壁部分に浸水した箇所がある場合はシーリングを行います。シーリングとは、継ぎ目やひび割れの隙間を充填する作業です。建物の安全や維持を図るためには、劣化や不具合の箇所を発見次第、補修を行うことが大事です。
ただし、建設当初の水準に戻す修繕と比べると一時的な処置に過ぎず、該当箇所の安全性が長期間保たれるわけではありません。また、劣化等の状況によっては補修工事で済まないこともあります。
補修工事前の施工業者との打ち合わせをした場合、工事内容を修繕に変更するケースもあります。該当箇所の工事をする前に状況を調査し、適切な工事を行いましょう。
状況に適した工事をしよう
建物の劣化等により工事が必要な場合は、状況や時期によって選択する工事が変わってきます。マンション管理組合は状況に適した工事を行い、建物の安全性や維持を確保してください。
建物の状況が把握できない際には、さくら事務所の「マンション劣化診断サービス」を検討しましょう。このサービスは建物の劣化を診断し、結果と修繕計画の提案を行います。各マンションの修繕積立金の状況から、最適な提案をすることが可能です。
さくら事務所の「マンション劣化診断サービス」については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
マンション管理組合は、最適な時期に必要な工事を進められる準備を進めましょう。