マンションの劣化状況は見えないところでチェック
屋上と地下ピットは普段、居住者が立ち入ることがなく状態が目につきにくいところ。マンション室内で例えると天井裏と床下に相当する部分になります。
もちろん共用部分にあたり、管理組合の共通の所有物。
しかし通常、管理組合から業務委託を受けた管理会社が管理をしている場所で安全のために施錠されており、居住者が自由に出入りすることはできません。
こうした場所は、メンテナンスや大規模修繕など、そうした機会に立ち入る程度で、管理会社でもしょっちゅう出入りするわけではありません。
ちょっとした変化が発生していてもそのままになってしまうケースが多いため、大規模修繕などのタイミングでチェックしてみると色々な不具合が進行していることも。
また、躯体の状況が確認できるため、その建物の良し悪しがわかり建物全体の劣化の程度が分かりやすく把握しやすい場所でもあります。
いつのまにか豹変する屋上と地下ピット
屋上のポイントは防水
屋上の造りとしては、一般的なマンションですと、コンクリートの上に断熱材、そして防水処理がなされています。
建物を雨露から守る、重要なな工事が行なわれている場所です。
屋上に雑草が生えてしまっています。
これは外部から飛んできた雑草などの種が育ってしまったケースなのですが、このまま生育すると防水層を破ってしまい機能に支障をきたしてしまいます。
地下ピットではコンクリートの不具合や劣化がわかる
地下は一般的に配管ピットとして使用される場所です。建物を流れる排水の行き着く先がここに当たります。
基本的に、コンクリートが塗料などでコーティングされていない打ち放し状態なので、コンクリート躯体の不具合や劣化が、一目瞭然なのです。
こちらは、真っ白なおびただしいエフロレッセンスが発生しています。
エフロレッセンスとは、コンクリートのセメント(アルカリ)成分が表面に白く染み出す現象のこと。
僅かに浮き出す程度であれば問題ないのですが、ここまでくると、コンクリートがかなり中性化している可能性も大いに考えられます。
コンクリートの伸縮(又は外力)によって発生したクラックから一度、水分が染み出してくると、地下は常に外部が湧水に晒されてますので、クラックの状態によってはとめどなく水が浸透してきてしまいます。
また、ピット内を空気が循環するように通気(空気が出入りする穴)を設けていないと、まるでサウナのような湿度と結露に。
外からも内からも水に晒されることになり、そうするとコンクリート内部の鉄筋にも影響が出てきてしまいます。
関連コラム・・・マンション外壁の白い染み、エフロレッセンスの原因と対策
屋上と地下ピットで建物のコンディションを確認しよう
上述のように、建物の健康状態をもっとも把握できる場所が屋上と地下ピット。
中には管理会社もチェックしていない場合もあり、建物全体のコンディション把握できていない可能性もあるため、不明な場合はぜひ一度管理会社に確認をしてみましょう