マンション理事の「これが大変」ベスト5

分譲マンションを買うときには、通勤や通学、買い物などの生活と、自分の住戸の間取りや広さ、住宅にかける費用といったことが重要な検討要素になり、「マンション管理」について検討した方は少ないのではないでしょうか。

しかし、実際のマンションライフでは、住民(所有者)が「管理組合」を組織し、その中の代表者で構成する「理事会」が中心となってマンションの管理を行うことになります。

「もっと管理会社が全部請け負ってくれていると思っていた」など、管理組合や理事が主体となってマンション管理を行う仕組みになっていることに驚いた方もいることでしょう。

理事は立候補や推薦によって選ばれることもありますが、輪番制(持ち回り)で選出されるのが一般的。定期的に開催される理事会に参加する必要があり、住宅に関する知識の有無にかかわらず、マンションの住民の代表として、議論に参加したり、必要に応じて調べ事をすることもあり、「一体何から始めればいいのか?」と不安になる方も少なくありません。

そこで今回は、マンションの理事として活動する上で「これが大変!」なことを5つ、紹介していきます。今現在理事として管理に努めてらっしゃる方も、これからマンションの購入を考えている方も、ぜひ参考にしてくださいね。

ここが大変!①理事会運営が成り立たない!


全部合わせても30戸~50戸ほどの小規模マンションでよく問題になっているのが、「理事のなり手が不足している」ということ。特に築年数の経った物件では居住者の高齢化が深刻となっている上、輪番制でも数年に一度のペースで理事の番が回ってくるため、ごく一部の居住者に負担が偏っているというケースが多いのです。

結果的に、理事会のメンバーが長年にわたって変わらない、またマンションの維持管理に無関心な居住者とのコミュニケーションが薄れるといったことが起こります。こうなると一部の理事による組合の私物化、彼らによる不透明な修繕工事などの発注という問題につながってしまいがちです。

こうしたことを避けるには、やはり住民同士のコミュニケーションを活性化させること。特に小規模マンションにおいては、無関心な住民がいることは管理運営上、致命的です。「全員参加型」の運営に舵を切ることで好転した事例もありますので、場合によっては「理事会」という形にこだわらない考え方があってもいいでしょう。

ここが大変!②管理費、どうやって削ればいい?


マンションの規模の大小にかかわらず、理事会運営において普遍的なテーマと言われているのが「管理費のコストダウン」です。マンション管理の実務は外部の管理会社に委託するのが一般的で、本来「管理費」とは、管理会社への「管理委託費」に消耗品購入費等の支出を加えた費用のことを指します。

ここでは、管理会社に支払う管理委託費を「管理費」としてご説明します。

当たり前の話ですが、管理費はできる限り抑えたいもの。管理会社への委託内容を変えずに費用を見直したり、委託内容を変更した上で委託費用を見直したり……といろいろな方法があるものの、なかなか思うようにはいきません。

うまくいかないパターンとして多いのは、「コストダウンありきの方針で進めてしまう」こと。実はマンション管理業界では人手不足もあり、昨今は管理費の値上げが頻繁に起こっています。

そうした市場の状況を理解せずに強引にコストダウンを図ることで、結果的に管理会社から見放されて契約更新を管理会社側から断られてしまう管理組合もあるのです。管理を継続して頼むための交渉だったわけですから、こうなると本末転倒です。

管理費を削るには、例えば、常駐型の警備をやめて巡回型の警備に切り替えるという方法もあります。もちろん住民が全員納得済みであればいいのですが、常駐型から巡回型への切り替えはつまり、セキュリティのレベルが下がるということ。セキュリティ意識の高い居住者の同意を得ずにこうした変更をしてしまうと、問題に発展しかねません。管理費のコストダウン自体は結構なことですが、居住者の思いを考慮せずに理事会だけが突っ走ってしまうと失敗することもあるので注意が必要です。

ここが大変!③修繕積立金が足りない!


理事会が取り組むテーマとして、管理費に並ぶ大きな項目が「修繕積立金」です。修繕積立金は将来に向けての修繕計画(「長期修繕計画」と呼びます)に応じた積立金ですが、築年数が古くなれば上がる傾向があります。これは、築年数が浅いうちは修繕の必要性があまりなく、築年数が経つにつれて将来の修繕内容の見通しが具体的に見えてくるからです。修繕積立金の増額がどうしても必要なのであれば、理事会としては、それについて住民からの理解を得なくてはなりません。ただ、必要なことにも関わらず、増額(値上げ)の議論は管理組合においてスムーズに進みづらいテーマのひとつです。

よくある例は、修繕積立金の増額が住民から大反対されると思い込んでしまい、理事会が増額を提案しないこと。誰しも、反対する人が出てくる可能性がある議論をしたくはないですし、所有者同士で議論しあうことも避けたいもの。実際に反対する人が出るかどうかによらず「自分が理事をやっている間は提案しないでおこう」という考えが起きても不思議ではありません。

ただしその結果として増額は先送り、先送りになり、何年か後にどうしようもなくなって緊急の増額を決定するか、それとも修繕計画を見直すか、という対応を迫られることになっているマンションは後を絶ちません。

修繕積立金の増額を先送りしても建物は必ず傷み修繕が必要になりますから、トータルの負担額は変わりません。増額の時期を遅らせれば、値上げ分を補う期間が短くなる分、毎月の増額幅が大きくなるだけです。

たとえば10年後にさらに1,500万円が必要だとして、今から積み立てて年に150万円をプラスして集めるか、8年後から増額し、1年につき750万円を2年で一気に積み立てるかの違いしかないのです。

増額の幅が急激に大きくなると、各戸の負担額を支払えない所有者が現れる可能性もあります。

理事会としてすべきことは、(1)必要な費用を正確に割り出すために長期修繕計画の精度を上げること、そして(2)その必要額を貯めるため各戸から修繕積立金を集められるよう、住民の理解を得ること。これに尽きます。

ここが大変!④日常的な修繕工事、どうすればいい?


マンション管理において「修繕」とは、外壁の塗装や排水・給水設備の工事など大規模なものばかりではなく、「子どもがサッカーボールでエントランスのガラスを割ってしまった」「ゴミ捨て場のドアが劣化して開きにくくなってしまった」といった日常的なものもあり、理事会としては当然、こうした修繕工事にも対応する必要があります。

これもやはりお金が絡む問題ですが、「工事費用が高すぎる」と住民から理事会が批判を受けるケースが多いようです。

中には長期で理事を歴任する人が、自分の関係者へ工事を発注している(いわゆる縁故発注)などということもあるようですので、所有者が発注費用をチェックすること自体は望ましいことですが、まじめに役割を果たしている理事会であれば、管理組合活動にはあまり参加しない所有者から「工事費はもっと安くできるのでは?」と言われたりすれば、理事会活動に疲れてしまうこともあるでしょう。

そういった所有者間の指摘を防ぎながら工事費用を抑えるには、「修繕工事発注細則」などを取り決めて、日常的に発生する修繕工事の発注ルールを定めておくのがよいでしょう。ルール自体は管理組合で決めるものですから、それにしたがって動く分には、しっかり仕事をしている理事会が文句を言われる筋合いはないのです。

加えて、かかりつけの修繕工事業者を確保しておけば安心です。管理会社を経由して工事を依頼する時に相見積もりを取ることがありますが、金額によっては、かかりつけの業者にも相談できるようになります。

なお、中には電気設備関係、DIY関係などの知識がある理事が、外部の業者に委託せず自分で修繕を行うこともあるようですが、これはあまりお勧めできません。正しく修繕できればいいのですが、素人工事によって事態が悪化し、結局は業者に依頼せざるを得なくなることもあるため、よほどの専門家、もしくはその道で生計を立てている人でない限りは、避けたほうがよいでしょう。

ここが大変!⑤住民同士でのトラブルが勃発!

住民同士でのトラブル、これは大小の規模にかかわらず、他人同士が1つのところで暮らすマンションではどうしても避けられない問題です。もちろん理事会としては無視することはできませんが、かと言って、どこまで踏み込んでいいものか……頭を悩ませる理事は多いことでしょう。

住民間のトラブルには、例えば、上の階の物音がうるさい!といった「生活音によるトラブル」や、隣のバルコニーから煙が流れてくるといった「喫煙によるトラブル」、ワンちゃんの鳴き声が気になるといった「ペットによるトラブル」などがあります。そして、こうしたトラブルに対して理事会が管理会社に丸投げしてしまったり、そもそも理事会が「住民同士のトラブルにはノータッチ」という態度を取ってしまったりすることで、問題が雪だるま式に悪化していくことがしばしばあるのです。

対応の仕方としては、まず、そのトラブルの原因がマンションの管理規約や細則に違反しているかどうかを見極めること。そして、規約や細則に不備があれば変更を検討すること、です。

例えば前述の喫煙の件、「共有部分での喫煙は禁止」と規約で定められていたとします。バルコニーは厳密に言えば「共有部分」ですから、当然、バルコニーでの喫煙もNGです。明らかに規約に違反しているわけなので、この問題を解決することは本来簡単です。しかし、バルコニーを「専有使用部分」とする考え方もあるため、このあたりが規約の上で曖昧になっていると、トラブルになってしまうわけです。住民の理解を得ながら規約や細則を見直していかなくてはなりません。

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ここまで、マンション理事の「ここが大変!」な点を見ていきましたが、このほかにも長期修繕計画の見直しはどうすればいいのか、管理会社を変更するにはどうすればいいのかなど、理事が直面する難しい案件は山ほどあります。

ただし、逆に言えば、正しい知識を持ち、正しいやり方で事を進めていけば、問題を回避することは十分に可能です。

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