【100年マンション特別コラム】廃墟マンション溢れる未来を防ぐ!長嶋修の4つの提言

当社創業者で会長の長嶋修による最新著作「100年マンション 資産になる住まいの育てかた」では、このままでは国内が廃墟マンション溢れてしまう未来予想図を描きました。

どうすればそのような未来は防げるのか?

長嶋修が4つの提言を語ります。

① 修繕積立金は「均等積立方式」に

マンションの修繕積立金の積立方式は段階的に上がっていくことを見込んだ「段階積立方式」がほとんどです。

最初から予定されている増額であるにも関わらず、毎回管理組合での合意形成が必要になることから、先送りされてしまう危険性があります。

必要な修繕費用が貯蓄できない事態に陥るのは目に見えています。

一方、国土交通省も推奨しているのが「均等積立方式」です。

既に計画性のあるマンション管理組合では本方式に切り替えていますが、長期修繕計画に沿って早い段階から増額し一定額を負担することで安定的な管理を行うことができます。

新築時の積立金方式は全て均等積立方式に統一するべきでしょう。

② マンション管理状態と金融評価を連動させる仕組みづくり

居住者がマンション管理に取り組む意義を感じるためには、それが資産性に反映される仕組みが必要です。

国土交通省では、今年度中に新しい住宅データベースを稼働させ、その中ではマンションの管理組合の運営状態も紐づけられるようになっています。

本来、一戸当たり200万円の積立金を備えているマンションと資金不足に陥っているマンションが同じ資産価値のはずがありません。

とはいえ、情報開示すればそのまま価値に直結するのかと言われればそれも違います。

結局は金融機関がそれをどう判断し、担保評価するかにかかってきます。

国土交通省だけでなく金融庁とも連動して、マンション管理の運営状況と紐づけて評価するための仕組みづくりが必要になります。

③ 管理組合運営状況の報告の義務化

東京都では、一部自治体が先駆けて、条例でマンションの管理組合運営状況の届け出を義務付けています。

届け出をしないマンションに対しては罰則として、マンション名を公表するという自治体もあります。

中古マンション市場の健全な発展のためにも、今後は一定のマンション管理の情報は登録・届出を義務化するべきでしょう。

④ 廃墟マンションを防ぐ、建て替え推進地域の設定

老朽化の進むマンションストックを前に、建て替えはある程度、促進しなければならないでしょう。

ですが建て替え実現とはいえ、いくら都心部であってもすべてのマンションの容積率を二倍三倍にするような必要はありません。

進みゆく人口減少の中、更なる空き家を増やすだけでしょう。

そこで必要になるのが、建て替え促進地域の設定です。

まず、浸水可能性があるようなところは除きます。近年増加するゲリラ豪雨による都市型水害。

都市圏の雨水の排水処理能力を上回るような豪雨が起きれば、一時的に排水処理が追いつかず浸水し被害を招きます。

このようなエリアを除いた一定のエリアのところにのみ容積率ボーナスを付与し、移り住む人には一定程度のインセンティブを設定してもいいでしょう。

近い将来、廃墟マンションが溢れるような未来を避けるため、こういった取り組みも必要になるでしょう。

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