新築マンションでは、竣工引渡し後10年間にわたりアフターサービス保証が、受けられることになっています。
これは多くの方がご存知なのですが、専有部分や共用部分の不具合のすべてに、10年間の保証が適用になるものではありません。
アフターサービス規準の内容は、分譲会社によって異なりますが建物と設備に分けて、不具合が発生した部分や、不具合の状況によりアフターサービスの期限を、分譲引渡し後、1年間・2年間・5年間・10年間などに分類されています。
マンションにお住いの方々でも、自分の部屋の中のことについては注意深く観察されていて良くご存知でも、共用廊下やエントランス、エレベーターホール、屋上などといった、共用部分の状態についても良くご存知の方はほとんどいないといってもよいのが実際です。
共用部分のことは管理会社に任せてあるから大丈夫と、考えている方が大半なのではないでしょうか。
さくら事務所では、おもに2年目や10年目のアフターサービス期限が過ぎる前の、管理組合から共用部分の調査のご依頼を数多くいただきますが、10年間の期限が過ぎるまでの期間に、一度は専門家に建物全体を調査して頂くことをおすすめします。
これまでに、アフターサービスに対応するために、管理組合からご依頼頂いたケースで発見された、おもな不具合の一例をさくら事務所のマンション管理士がご紹介します。
外壁タイルの浮きなど、身体生命に危険をおよぼすおそれのあるもの
□広範囲にわたる外壁タイルの浮き
□バルコニー手摺などの取り付け不良
構造スリットやコア抜きなど、建物の耐久性に影響をおよぼす恐れのあるもの
□構造スリットの不設置、または、施工不良
□鉄筋切断を伴う、コンクリート躯体のコア抜き
□地中梁の断面欠損・サイズ間違いによる寸法不足
□柱・梁・壁のコンクリート被り厚不足
結露の原因や省エネ性能に影響をおよぼす恐れのあるもの
□専有部分の壁内部に施工された断熱材(発泡ウレタン)の施工厚さ不足
□1階住戸のコンクリート床の断熱材欠損
臭気や騒音など快適な生活に影響をおよぼす恐れのあるもの
□ディスポーザー設備に起因する、共用廊下に蔓延する悪臭
□フィットネスルームのランニングマシーンに起因する騒音
残念ながら、これらの不具合が発見された管理組合の場合には、分譲会社や施工会社に対して適切な方法による補修を求めていく必要がありますが、必ずしも求めに応じて頂けないこともあります。
このような場合には、調停や訴訟などに進展してしまうこともありますが、多くの場合では分譲会社・施工会社による対応が成されるケースが多いと思われます。
建物の調査を行う場合に大切なことは、結果的に何も知らずにアフターサービスの期限を過ぎてしまうようなことが無いように留意することや、調査の結果を真摯に受け止め、速やかに対策が施されることが最も大切であると考えます。
管理組合の大切な資産を守るためにも、アフターサービスの期限が知らない内に経過することのないようにしましょう!