大震災を機に見直されつつある受水槽
最近のマンションでは、水道管の圧力にポンプの圧力を加えて直接各家庭に送る、増圧直結給水方式が増えてきました。
この理由としては、もちろん増圧ポンプの普及と性能向上という面もありますが、受水槽の衛生面が問題視されたことも一因であると考えられます。
「蓋を開けたらネズミの死体が浮いていた!」なんてこともあったようで、ゴミが浮いているなんていうケースも多くありました。
しかし、今主流の増圧直結給水方式にも短所があり、停電や水道本管が止まると、即時断水になります。
特に先の大震災を境に、受水槽の有効性も見直されつつありまして、震災時の給水源とする考えも、依然根強くあります。
受水槽の劣化はこうして起こる
マンションの受水槽や高架水槽は、(たまに地下ピット内ってこともあるんですけど)大体屋上や敷地内に設置されています。
その多くがFRPと呼ばれるガラス繊維で補強されたプラスチック製。
基本、屋外の直射日光に晒される場所にと据えられているので、紫外線により劣化します。
劣化の仕組みは、まず、表面に塗布されているポリエステル樹脂のトップコートが分解して失われることから始まります。
そのまま放置すると露出したポリエステル樹脂の本体も徐々に失われて、内部のガラス繊維が露出してきます。
さらに劣化が進むとポリエステル樹脂の強度がなくなり、壊れてしまいます。
こうなってしまったら寿命ということになりますが表面のトップコートがなくなる前に、保護のための塗料を補充してやれば内部の劣化を防ぐことができるというわけです。
上部は紫外線が直接当たるので、側面に比べて劣化が早く進んでいきます。
しかもFRPのパネルは太陽の光も透過するために、内部に藻が発生することもあります。
従って、光の透過を防ぎ、かつFRPの劣化を防ぐことを目的に遮光塗料で塗装するのが現在の主流。
その他、接合ボルトや補強のアングル、鉄骨の架台なども、こまめにメンテナンスしてやれば、大きな費用をかけて取り替えをするより、安価に維持できます。
受水槽に入った水の水質は管理組合で管理する責任がある
大事なことは、受水槽に入るまでの水質は水道局が管理しなければならないが、受水槽及びそれ以降の水質は、設置者の責任で管理しなければならないということです。
つまり、マンションでいえば管理組合です。
法的に10㎥以上の受水槽は、1年に1回の定期点検が義務付けられています。
通常は管理会社が立ち会って、大した問題もなければスルーされてしまうケースが多いですが、点検結果を理事会で回覧するなどして状況を把握し、いざというときに頼りにできるように「受水槽」早めにメンテナンスをするようにしましょう。