長嶋修が解説!老朽化・スラム化に近づくマンション、消費税増税の影響は?

  • Update: 2019-05-21
長嶋修が解説!老朽化・スラム化に近づくマンション、消費税増税の影響は?
nagashima
さくら事務所 長嶋修

老朽化マンションあふれるマンションで起こりうるのは?

前回もお伝えしましたが、現在の国内中古マンションストック数は約644.1万戸。

そのうち、築年数が30年を超える中古マンションは184万9,000戸に上り、更に、このうちの約40%に相当する72万9,000戸は築年数が40年を超えています。

築40年を超える物件は2022年には128万7,000戸に増え、さらに2027年には184万9,000戸、2037年には351万9,000戸と激増していく見込みです。

一方、新築で分譲されるマンションの戸数はここ数年ほぼ横ばいの状態です。

結果、築年数分布をみると、日本の人口ピラミッド同様に、高齢マンションが極端に多いことがわかります。

高齢マンションがあふれる日本の未来では、どのようなことが起こり得るのでしょうか?

増加していく「機能不全マンション」

新築マンションは入居後、区分所有者によりマンションの管理組合が結成されます。

築年数の浅いうちは、組合活動にも積極的に参加し、役員にも自主的に立候補するなど住民の意欲も高いのですが、時間の経過とともに状況も変化していきます。

その要因となるのが、建物の老朽化、居住者の高齢化、賃貸化、空室化などです。

結果、役員のなり手がいない、建物の老朽化が進み修繕積立金の収支が悪化、大規模修繕工事や建て替えなどの意思決定もできない、といった状況に陥ります。

今後このような「機能不全マンション」は高経年マンションの増加とともに増えていくでしょう。

「マンションの再生手法及び合意形成に係る調査」(国土交通省)のアンケートによれば、築40年を超えたマンションで、自己居住しているのは全体の75.6%、更にその居住者のうち、21.7%が75歳以上になります。

つまり、築40年を超えると、区分所有者の4人に3人しかそこに住んでおらず、その居住者も4人に1人は75歳以上という計算になるのです。

こうなってしまうと、「75歳未満で居住しているアクティブ層」は全体の59.2%と半分強になってしまうのです。

高経年マンションの問題「高齢化」「賃貸化」「空き家」

高経年マンションの前に立ちはだかる3つのキーワード、「高齢化」「賃貸化」「空き家率」について、1つずつ見てみましょう。

深刻化する入居者の高齢化

まずは「高齢化」から見てみましょう。

「平成30年度マンション総合調査」の完成年次別の内訳によれば、完成年次が古いマンションほど70歳代以上の割合が高くなっています。

平成22年以降に竣工したマンションでは、70歳以上の高齢者は5.1%ですが、昭和54年以前のマンションでは70歳以上が47.2%を半数近くを占めていました。

居住者の高齢化がマンションに影響を及ぼすのは、まずは資金の問題。

居住者の多くが定期的な収入のない年金生活者になることで、修繕積立金の値上げや一時金の徴収が難しくなってしまいます。

建物は経年とともに、必要になる修繕費用は膨らんでいきます。

修繕・維持していく費用が捻出できなければ、建物はますます老朽化し、安全性も保てなくなるかもしれません。

役員のなり手もいなくなり、管理組合が機能しなくなります。

結果、大規模修繕工事や老朽化に伴う、建て替えの意思決定すらできない状況に陥る可能性もあります。

賃貸率が20%を超えると危険

もう1つの問題が「賃貸化」。

「平成30年度マンション総合調査」でも、築年数の古いマンション程、賃貸化が高くなっている傾向が見られます。

昭和54年以前のマンションではその賃貸率31.6%とほぼ、3戸に1戸が賃貸という計算になります。

賃貸化が進むと、まずマンション居住者の意識が変わってしまします。

自身が住まなくなる分、どうしてもマンション管理への意識が希薄になってしまうのです。

管理組合の役職も「自身がそのマンションに居住していないとなれない」といった管理規約もまだ多く見られます。

高経年マンションほど、管理組合総会の投票率も下がる傾向にありますが、賃貸率が20%を超えると大規模修繕工事の可否などを決定する決議の投票率も極端に下がる傾向にあるようです。

空き家率の増加は周辺住民の安全性を損なうことも

最後が「空き家率」。

築10年未満のマンションの平均空き家率は1.5%ほどであるのに対して、築40年以上のマンションでは6%にまで上昇します。(マンションの再生手法及び合意形成に係る調査)

また、連絡先不通・所在不明者の住戸も増加していきます。

連絡先不通・所在不明者の住戸が増えると、管理費や修繕積立金の徴収でもできず、管理がおろそかになり劣化も進行、更に多数決による総会決議もできず、マンション管理にさまざまな支障をきたします。

消費税増税、高経年マンションに追い打ち?

10月に見込まれる消費増税ですが、このようなマンションにどんな影響を及ぼすのでしょうか?

増税後、商品の買い控えから消費は落ち込み、その景気悪化のあおりを受けて、中古マンション市場にも価格の下落があるかもしれません。

価格が下落すれば、売却を躊躇することになり、マンションの流動性も下がります。

同時に、増税により管理費が実質値上げされ、大規模修繕工事のコストも上がりますので、長期修繕計画の見直しも必然的に必要になります。

その結果を受け、修繕積立金も見直す必要がありますが、先に挙げた高経年マンションではすでに建物の老朽化も進み修繕積立金不足に直面しているケースもあるでしょう。

更に、居住者の高齢化により負担増は厳しくなり、空き家・賃貸化で徴収ができない住戸も現れるかもしれません。

廃墟マンションの出現に拍車をかけることにもなるでしょう。

生き残るマンション、選ばれるマンションであるために、長期的な修繕計画をたて、各々が管理組合運営に前向きに取り組むことが肝心です。

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