タワーマンションは、住まいとしての需要のみならず資産としても人気です。
本記事では、30年後も値崩れしない資産価値の高いタワマンの特徴や管理の注意点について解説します。
なお、タワマンに定義はありませんが、記事の中では、一般的な概念である高さ60m超え20階以上のマンションを指しています。
タワマンの資産価値が高い理由
タワマンが選ばれる理由は、下5つのような魅力があるためです。
・眺望がよい
・セキュリティが充実している
・利便性が高い
・高いステータスを獲得できる
・高値で売却しやすい
眺望がよい
タワマンの高層階なら、日差しや眺望を遮断する建物がないため、部屋の窓から明るく開放的な景色を堪能できます。自分の部屋からしか見られない景色を独り占めできるのです。
また、周囲の視線を気にする必要がないためカーテンを開けて生活できる点もタワマンならではの魅力といえるでしょう。
セキュリティが充実している
タワマンは、窓や屋上から侵入されづらいためセキュリティを守りたい人には安心です。
さらに、防犯カメラ、顔認証オートロック、防犯センサーなどのセキュリティ設備が充実しており、24時間警備員やコンシェルジュが常駐してるタワマンも多くあり、正面玄関からの浸入を困難にしています。
利便性が高い
タワマンは首都圏に多いですが、特に再開発されたエリアに多く建設されています。商業施設が充実している、公共交通機関や医療機関が近い、学校や公園が多いなどの利便性の高さからも人気です。
また、館内にジムやゲストルーム、ラウンジなどがあり設備が豪華なタワマンや、コンシェルジュがいてホテルライクな暮らしができるタワマンもあります。マンション内だけでも充実した生活を送れる点も人気の理由です。
高いステータスを獲得できる
見た目が豪華で設備も充実しており価格帯も高価なタワマンは、所有することで高いステータスを獲得できる点も魅力的です。
街によってはタワマンがシンボルになっているところもあり、ネームバリューを持っていることもあります。
高値で売却しやすい
タワマンは、眺望、セキュリティ、利便性、ステータス性など他のマンションにはない魅力がたくさんあるため、高値で売却しやすいです。
お金に余裕がある富裕層に需要があるため、場所や眺望によっては相場以上の価値があると判断されることも多く、大幅に金額を上げてもすぐ売れるケースも少なくありません。
資産価値が高いタワマン4つの特徴
タワマンの中でも特に資産価値が高くなるケースには、下4つのような特徴があります。
(1)高層階にある
(2)ランドマークが見える
(3)エリア内にタワマンが少ない
(4)商業施設がタワマンに付いている
(1)高層階にある
一般的にマンションは上階になるほど価格が高くなりますが、タワマンでは低層階との差がより顕著です。タワマンの魅力である眺望のよさを実感できる高層階の方が資産価値が高く、同じマンションでもステータスが高いと評価される傾向があります。
(2)ランドマークが見える
ランドマークとは、その地域を象徴する建物やタワーのことです。
東京の場合、東京タワーやレインボーブリッジが見えるタワマンが景観の豪華さから価値が高くなります。
港区など人気エリアの一部の方角からしか見えないランドマークが見える部屋なら、他のタワマンや同じマンション内の部屋と差別化ができ希少性が大きく上がります。部屋によっては、数百万から一千万単位で価格が違うこともあるほどです。
(3)エリア内にタワマンが少ない
需要がありながらタワマンが少ないエリアなら、競合が少ないため高値で売りやすいです。
タワマンが多いエリアであっても湾岸エリアのように人気があれば売却には困りませんが、競合の多いエリアで似たような条件のタワマンが同時に売り出された場合、管理状態などより良い条件のタワマンが選ばれるでしょうから、比較されても勝てるだけの要件をそろえなければなりません。
(4)商業施設がタワマンに付いている
都市開発などによって商業施設が直結しているタワマンも増えてきました。外に出ることなくタワマン内で生活を完結できる利便性の高さが人気です。特に雨の日の買い物など、傘をささずに買い物ができたり、仕事で夜が遅い人にとっても自宅の敷地内で買い物ができ防犯の面でも安心できるでしょう。
一般的に、このようなタワマンは、全体管理組合、住宅管理組合、商業管理組合のように管理組合が分かれていて、区画分けがされていれば、商業施設の設備(エレベータなど)については、商業施設の持ち主が管理費・修繕積立金を負担することになりますが、中には全体管理組合が費用を負担するものとされ、住宅管理組合の者であっても、負担をすることがあるケースもあるため、これからタワマンを購入する予定であれば、どのような負担の設定になっているか、確認をすると良いでしょう。
今後タワマンの資産価値に影響する不安要素
ここからは、この先タワマンの築年数が経過することで浮き彫りになってくるであろう不安要素を挙げていきます。原因や仕組みが分かれば対策方法も講じられますから、事前に知っておきましょう。
・大規模修繕の工事費用が高額
・管理費・修繕積立金の値上がり
・区分所有者間の合意形成が困難
大規模修繕の工事費用が高額
タワマンの大規模修繕は、一般的なマンションに比べて割高です。
例えば、高層階用の高速エレベーターやポンプなどの設備は一般のマンションよりもグレードが高く交換費用も高額になります。また、タワマンには足場を掛けられずゴンドラを利用する必要があるため、ハイグレードな設備やゴンドラを扱える業者が少ないことから人件費も高額になることが多いのです。
高コストなタワマンの大規模修繕工事について、具体的な費用や実例などを知りたい方は、ぜひ下記記事も合わせてお読みください。
タワーマンションの大規模修繕工事とは?難しいと言われる理由や費用・実例・周期を解説
管理費・修繕積立金の値上がり
大規模修繕工事の費用だけではなく、タワマンは管理費・修繕積立金も一般的なマンションと比べれば高額傾向です。
令和5年度マンション総合調査によると、単棟型20階以上のマンションの管理費(使用料・専用使用料からの充当額を除く)の平均は1戸当たり月14,415円。それに対して、全体平均は11,580円となっていますが、この中には低層から20階以上まで幅広いマンションの管理費が含まれており、タワマンが平均値を上げていると考えられることから、実際にはタワマンとそれ以外のマンションの管理費の違いはさらに大きいことが予想できます。
さらに、タワマンの多くが近年建てられた物件で、30年~40年後に管理費・修繕積立金がどこまで値上がりするのかデータで推測できないという難点もあります。
区分所有者間の合意形成が困難
タワマンは、大規模修繕時や管理費・修繕積立金の値上げの際など合意が必要なときに、スムーズに進行できないケースがあります。
合意形成が難しい理由として下3つのポイントが考えられます。
戸数が多い
例えば大規模修繕を行う場合は総会に出席した区分所有者及び議決権の過半数の賛成が必要になりますが、タワーマンションの場合戸数が多いため、合意形成を得るのが難しい傾向にあります。理事の人数も30名など大人数になることから、予定が合わず、理事会定足数を満たさないため、開催を見送る管理組合もあるようです。規約を改正したり、オンラインの理事会や総会を認めるなど、工夫をして決議できる体制を整える必要があります。
投資目的での購入者がいる
タワマンは居住用ではなく投資目的で買う人も多いため、所有者の間で建物管理の意識が違うことも合意形成がしづらい原因の1つです。
修繕積立金についても、短期的な資産性を重視する投資家と、長期的に長く住みたい居住者では使い道の優先度が変わってしまいます。
外国人購入者が増えている
近年は、外国の方がタワマンの区分所有者になるケースも珍しくありません。しかし、文化の違いから住まいに対する考え方が違ったり、そもそも意思疎通が難しかったりという理由で、大規模修繕や管理費・修繕積立金の値上げに合意してもらえないという問題も起こっています。
30年後もタワマンの資産価値を下げないためには「管理」が重要
不安要素として考えられる区分所有者間の合意形成の問題を解決し、大規模修繕や管理費・修繕積立金の値上げをスムーズに進行するには、まとまった数の区分所有者が管理に意識を向け改善しようという強い意思が必要です。
タワマンに限った話ではありませんが、管理の意識が低ければ、長期修繕計画が曖昧になります。必要な修繕積立金を徴収できず、無駄なコストを払い続けた結果、資金不足が深刻化することで築年数の経過と共にマンションの資産価値は下がっていきます。
さらには、管理力の低さゆえ価値が下がるタワマンが増えれば、タワマン市場全体の価値も下がることになるでしょう。
タワマン人気を継続させるためには、今のタワマン所有者が長期的な思考でマンション管理の重要性を理解し、管理力の強化を図っていくことが大切なのです。
災害によりタワマンの資産価値は下がる?
タワマンは風害や水害時に大きな影響を受けると言われることがあり、実際に台風によって甚大な被害を負った事例もあります。
しかし、停電や断水に弱いのはマンション全般に言えることでタワマンに限った話ではありません。
逆にタワマンの多くは非常時に備えて防災センターを設置しており、東京都ではその管理スタッフが防火防災の講習を終了した有資格者であるなど、被害を最小限に抑えるための備えが充実している場合があります。
さらにスタッフが24時間駐在していれば、中小規模のマンションよりも即座に対応してもらうことができ有利になるのです。被害を最小限に抑えられれば、災害により資産価値を下げるどころか、災害後の対応について評価されることもあるでしょう。
2024年税制改正がタワマン資産価値に与える影響
2024年の税制改正によって、タワマンの節税効果が従来よりも小さくなりました。ここからは、改正が与えるタワマン資産価値への影響を説明していきます。
税制改正の背景と変更点
従来、不動産の相続税評価額は時価の30%でしたが、そこにはタワマンが他のマンションよりも市場価値が高いことや低層階と高層階の間でも価値に差が生じていることが考慮されていませんでした。
その点を踏まえて2024年1月からは、評価額と市場価値(購入金額)の乖離を埋めるために築年数や対象の部屋の階数などを加味して、評価額が決定されることになりました。
改正によって、タワマンに圧倒的有利な評価基準が見直されることになったのです。
税制改正がタワマンの資産価値は影響しない
節税効果が減ったとは言え、現金で相続することに比べたらタワマンはまだまだ節税できますから、投資目的で購入する方に大きな影響はないと言えるでしょう。
居住目的の方は、節税目的よりも利便性や眺望などを理由に購入するケースが多いため、税制改正によりタワマン全体の資産価値が大きく落ちることはないと思われます。
タワマンの資産価値を維持するのは管理が不可欠
いろいろ言われながらも不動の人気を誇るタワマンですが、これまで見てきたように、その管理力によって資産価値を維持・向上できる場合もあれば、逆に値崩れしてしまうケースもあります。
タワマンの資産価値をキープするためには早い段階から、機動的な運営ができるよう規約の改正や、長期修繕計画の積極的な見直しを行ったり、修繕積立金の値上げと均等積立方式への変更が必要だと考えます。
しかし、一般の人だけでは分からない点や不十分なところも多いことでしょう。
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