マンションの外壁タイル剥離・落下のリスクと管理組合でとるべき対策は?

つい先日、熊本の賃貸マンションで最上階の外壁タイルが落下、通行中の車の窓を突き破るなどして怪我人を出す、という事故が起きました。

問題になったマンションはまだ築5年ですが、2年前にも台風の影響で外壁タイルが落下しており、タイルの剥離・落下が疑われる箇所には対処がされていたはずでした。

なぜ、同じマンションで2度も外壁タイルの剥離・落下事故が起きてしまったのでしょうか。

さくら事務所でも、マンション管理組合から外壁タイルの瑕疵、施工不良などの調査の依頼を多数いただいています。

ここでは、さくら事務所のマンション管理士が、「マンション外壁タイルに潜むリスクと対策」についてまとめました。

「タイルの浮きや剥離だなんてそんな不安は感じたことがない」という方も、外壁タイル貼りのマンションにお住まいであれば、いつか起こりうる可能性のあることとしてぜひ知っておいていただきたいことです。

マンションの外壁タイルトラブル、想定されるのはこんなリスク

もしお住まいのマンションで外壁タイルが剥離・落下してしまったら、どのようなことが考えられるのでしょうか?

外壁タイルのマンションであれば、もしもの際のリスクを管理組合でも共有しておきましょう。

①外壁タイル補修の想定外の出費に修繕積立金不足も

マンションの外壁タイルで浮き、剥離が発覚した場合、分譲会社・施工会社の対応によっては、管理組合の修繕積立金で修繕費用を支出しなければなりません。

ですが、もちろんそのような事態は想定しておらず、将来の修繕積立金不足への懸念に追い打ちをかける出費になるかもしれません。

また、費用負担の問題がクリアできたとしても、万全を期した補修を行なうためには足場を設置して外壁の全面打診調査を行い、不具合部分の分布状況などを特定が必要になります。

その上で不具合の原因となった施工の問題点をある程度絞込み、対策を織り込んだ補修範囲、方法を検討のうえ工事に着手~完了までの期間はどんなに早くても6ヶ月程度、長引いた場合には2年以上も必要になるケースも。

工事期間中に発生する騒音・振動・塵埃などの影響から日常的な生活の場として我慢の限界を超えることも少なくありません。

補修を行う間、全住戸が1年半から2年程度の期間仮住居に移転するなど負担を強いられるケースもあります。

②外壁タイルの落下で、マンションが加害者に

立地環境や気象条件によって、強風により建物の高さ×1.5程度の距離までタイルが飛んだ事例もあります。

こうなると、敷地内だけでなく、周辺の人や車など様々なものに被害が及ぶ恐れも。

タイルが落下して、通行人などの第三者に負傷を負わせた場合、マンションの所有者である管理組合は建物の管理責任を問われます。

もちろんマンションの住人である自分の家族にも被害が想定されるでしょう。

③マンションの管理状況が資産性にかかわる時代、資産性低下のリスクも

万が一、タイル落下により事故が発生した場合は、近所でうわさになったり、中古マンション売買取引の際の重要事項説明に加えられるため、売却の際に資産価値の低下が懸念されます。

これからの時代、マンションの管理状況も中古物件の検討の際に重視するポイントになります。

外壁タイルの補修、分譲会社・施工会社に責任は問えるのか?

外壁タイルの浮きについて多くの分譲会社で、「引渡し後2年のアフターサービス期限内に発見されれば対応する」と定めています。

外壁タイルの浮きや剥離の可能性はないか?この期間内に点検し、不具合があれば無償で補修してもらうことをおすすめします。

(尚、新築の住宅では、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分において「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)で10年の保証を義務付けていますが、外壁タイルの浮きや剥離はこの対象ではありません。また、新築マンションの瑕疵担保責任も、品確法の対象となるものを除法律で定められた最短の2年間とされるケースが多いようです。)

このアフターサービスの2年を経過した場合、分譲会社や施工会社は補修工事に必要な費用の負担を拒むケースがあります。

アフターサービスを上手に活用することで、将来の外壁タイルの浮きや剥離のリスクを抑え、思わぬところで大掛かりな修繕が必要になる、といった修繕積立金の出費も避けることができるます。

もし、アフターサービス期間を過ぎていても、不法行為で分譲会社や施工会社に責任を問えるケースがあります。

ですが、そのためには、外壁タイルの浮き・剥離の発生原因が、施工上の過失に起因するものであることを立証する必要があります。

専門家がタイル張り施工および関連する工事に、法令の違反や明らかな施工上の過失などのがないか調査をした結果、施工上の過失などが確認された場合に、分譲会社や施工会社の不法行為責任を追及できる可能性がある、ということです。

尚、外壁タイルの浮き・剥離の調査には、その中立性が確保できる第三者に調査してもらうのがおすすめです。

施工会社や関連会社はその外壁タイルの施工については当事者・関係者になります。

外壁タイルの浮き・剥離が劣化によるもなのか?施工時の不良によるものなのか?の調査を依頼しても、その結果があやふやだったり、依頼した管理組合としてもやはり客観性に欠けるのでその結果が信用できない、というケースがあるからです。

外壁タイルの浮きや剥離は、その部分だけを対処療法的に補修しても意味がありません。

現時点では問題がないと思える場所も将来的に不具合を起こす可能性もあるのです。

責任の所在を明確にすることももちろん重要ですが、再発防止のためにも浮き・剥離の原因特定は欠かせません。

マンションで外壁タイルの事故をおこさないために

いかがでしたでしょうか?

マンションで外壁タイルの浮き・剥離といった事故を生まないためには、①万が一のリスクをマンション管理組合で共有すること ②早期に建物の点検をしておくこと ③不具合があればその部分の補修で終わらせるのではなく、原因把握まで行うこと この3つが必要です。

マンションの外壁タイルでお悩みの方は、ぜひお問合せください。

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