マンションの外壁タイル、その耐久性を左右するのは・・・

いよいよ完成間近、建物にかかっていた足場を外して建物の外観が見える瞬間。

この足場を外すときは、作り手にとって緊張の瞬間でしょう。

施工の不具合が見た目にわかれば補修となりますが、見た目に素晴らしく綺麗な仕上がりに見える外壁タイルの不具合は一見したところわかりづらいものです。

マンション外壁タイル不具合

例えば、上記の画像は一見、綺麗に仕上がっているようですが違和感を感じます。

コンクリートとタイルは一体ではない

コンクリートは、竣工したときには固まっているように見えて、実はまだ多くの水分を含んでいます。

もちろん、硬化した設計強度が出てから型枠がはずされるので強度的にはなんら問題ありませんが、 コンクリートは、長い年月を掛けて少しずつ躯体内の水分を蒸発し完全に乾燥硬化していくため、 この水分が蒸発していく過程でコンクリートは僅かながら縮んでいきます。

しかし、このコンクリートの縮む動きに外装材であるタイルは追従しないのです。

そうすると、タイルは次第に浮いてきてしまい、剥落・亀裂をしてしまう懸念がでてきてしまうのです。

●マンションの外壁調査現場実例&解説
マンション外壁のタイル割れ

伸縮調整目地が外壁タイルの耐久性を左右する

コンクリートとタイルを良好な状態で保つのに欠かせないのが伸縮調整目地。 外壁材の耐久性を大きく左右するものです。

目をこらして周囲の建物外観を眺めると、所々太いラインの筋が入っているのがわかります。柱周辺や、開口部周辺、各階ごと、そして一定間隔ごと、意外とたくさんあることに気づくでしょう。

建物に設ける目地には、ひび割れ誘発目地と伸縮調整目地とがあります。

一般的にひび割れ誘発目地とは、コンクリート躯体にスリット状に断面欠損部分を作って、コンクリートの伸縮により発生するひび割れを、一定の場所に集中させるためのもの。そうすることで、構造体全体のひび割れを生じにくくする役割があります。

一方、伸縮調整目地は、躯体の伸縮にタイルなどの外装材を追従させる目的で設ける目地。

弾力性のあるシーリング材などで充填されます。

ひび割れ誘発目地と伸縮調整目地は一致させることが基本。

目的を考えればほぼ同じものと捉えて差し支えありません。

大規模な建物になると伸縮調整目地がさらに細かく入ることもありますが、一般的に3~4m間隔で設けられています。

冒頭にある写真の外壁に違和感を感じるのは、 この目地がどこにもないためです。

タイルの剥落は居住者だけでなく通行者への事故にもつながりかねませんので、施工状態のチェックと定期的なメンテナンスをしておきたいものです。

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