第5話 総会・議案・議決権について

新米理事さん必見と称して連作形式で更新してきたコラムの最終話となります。

ここでは、総会・議案・議決権について見ていこうと思います。

マンション管理組合の年間スケジュール

【3月が管理組合決算の場合の一例】

5月・6月

◯通常総会の開催(2~3ヵ月前から準備をはじめる)

  • 新たな期の管理組合の執行体制の決定など

7月

◯第1回理事会

  • 前期の理事からの引き継ぎ
  • 監事をのぞく理事と役職の決定

8月

◯定例理事会

  • 夏祭りや納涼祭、バーベキュー大会の開催など
    ※マンション内の交流の促進を促すイベントなどの検討と実施

9月・10月

◯定例理事会
◯防災訓練
※防災訓練は防災の日の近辺で行われることが多い

12月・1月

◯定例理事会

  • クリスマス会・餅つき大会など

2月・3月・4月

◯定例理事会
◯総会前理事会
◯管理会社との打ち合わせ

  • 決議案の確認
  • 予算案の検討
  • 次期役員選出の検討

一般的なスケジュールを記載しており、より細かな流れがある場合もありますが、上記に書いてあるようなスケジュールで、大枠マンション管理組合の一年は構成されていると考えていただければと思います。

マンション管理組合の総会

マンション管理組合の総会は、1年に1回かならず開催することが管理組合の規約にも明記されており、決まっています。(会社で言えば株主総会みたいなもの)

管理組合の総会には、議決権のある区分所有者(組合員)が全員参加することが義務付けられています。ただし用事や事情によってやむを得ず総会当日に欠席する場合は、あらかじめ委任状もしくは賛成・反対の意思を表示すること(議決権行使書)が求められます。マンションにおける様々な課題について1票を投じ、意思を伝えることは非常に重要です。

マンション管理組合の総会の種類としては、通常総会と臨時総会があります。

マンション管理組合の議決権について

総会の議決権は、各住戸の共用部分の持分により決められるケースが一般的です。議決権の数と区分所有者の双方の過半数が議案の成立要件になります。

決議の種類は、普通決議・特別決議・建替え決議があります。

普通決議

普通決議は、決算などの事業報告や予算を決める事業計画など、通常の報告内容を決議します。
決議要件:出席議決数の過半数

特別決議

特別決議は、マンション管理組合の管理規約改定や、著しい共有部の変更など、通常の報告内容以外に決議が必要な場合に行う決議になるので、普通決議より成立する要件のハードルが上がります。
決議要件:出席議決権の4分の3以上

建替え決議

建替え決議は、マンションを建て替えることを決めるために必要な決議です。建替えはマンションで非常に大きな議案になるため、賛成に必要な決議要件は5分の4以上の賛成が必要になってきます。

決議要件のそれぞれはマンション管理組合の規則にすべて定められていますが、基本的に決議を要する要件の内容によって、決議に必要な賛成の数は変わってきます。

通常総会の準備について

通常総会の準備は、開催の数ヶ月前から準備をはじめることが多いです。通常総会で必要になってくる事業報告や修繕積立金関連の資料づくりでは、根拠となる数字や資料の精査も必要になります。

また管理組合の総会を開催することをマンションの議決権を持つ区分所有者に知らせる必要があります。また総会を成立させるために総会当日の参加が難しい人たちには委任状や議決権行使書の回収をする必要も出てきます。

マンション管理組合の総会への出席割合

※委任状や議決権行使書の提出者を含む

実際にマンション管理組合の総会への出席率がどのくらいあるのか全国2324のマンション管理組合にアンケートを実施した結果、総会への出席割合は79.4%と高い結果が出ました。しかし、総会への委任状や決議権行使書類提出者を除くと、総会出席者の平均は34.8%にまで下がってしまうことがわかりました。

管理組合の総会で議案を通すことや、マンション管理で重要なのは管理会社になってきます。ただマンションの管理会社に任せっきりではなく、よりよく管理会社とパートナーとして付き合うことが大切になってきます。

次回以降のコラム更新では、マンション管理会社との付き合い方について考えていきたいと思います。

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