【管理組合が主役!】プロポーザル方式で進めるマンション大規模修繕工事

今回公開したコラムは大規模修繕工事を実際に行う際の方式と注意点についてとなります。先だってまずこちらのコラムをご覧いただいたうえで、本コラムをご覧ください。

【プロが指南する】大規模修繕工事。必ず3つの決め事を基本にしたい。(いつやる?/予算は?/計画は?)

大規模修繕計画の進め方について

大規模修繕工事については、2つの方式が考えられます。そしてさくら事務所が推奨する「プロポーザル方式」についても解説いたします。

設計監理方式

設計監理方式とは、大規模修繕計画と実際の施工を分離して発注する方式です。

たとえば管理会社から設計を任せようと提案のあった設計事務所、もしくは管理組合側で入札をして選定した設計事務所と設計監理契約を結ぶ方式です。そして別途工事会社とも実際の工事の請負契約を結びます。つまり管理組合としての契約は、大規模修繕工事を行う際、2件別々に発生することになります。

まず大規模修繕工事を実施するマンション管理組合が、管理会社もしくは設計会社と設計監理契約を結びます。

[内容]

設計・・・入札用の数量内訳書(見積書の金額が入っていない内訳書)/仕様書の作成

設計監理の名の通り、実際に工事会社が決定したあとも、指導・監理を行っていく契約です。

[デメリット]

マンション管理組合が、設計事務所や管理会社にすべてを一任したり、管理組合が工事について関心を示さないと、稀に不正の温床になったり、管理会社と工事会社が結託して裏で工事を操作するようなことが起こりえます。

☆管理組合の無関心が一番よくない

責任施工方式

責任施工方式とは、大規模修繕計画と施工を一括で発注する方式です。

管理会社に一括で発注する場合もあれば、あるいは管理組合の入札などを通して工事会社を選定する方式です。

責任施工方式の場合は、設計監理方式とは違い、工事会社が請け負う場合、大規模修繕計画の見積もりと仕様書を作成します。実際に作成されたそれらを比較して契約する方式です。

仮に管理会社に発注をした場合、もし管理会社に工事ができる部門がない場合は、結局工事(施工)会社に発注する形になります。

そのため管理会社は受注をするが、結局工事会社に下請け発注する場合は、どうしても管理組合が直接工事会社に発注する場合に比べ、管理会社が入っている分だけ発生する金額も割高になる場合が多くなります。

☆管理会社に発注する場合、管理組合の予算を把握している手前、なかなかコストダウンして積み立てている予算を残す選択が想定しづらくなります。

場合によっては修繕積立金が足りず、積み立てている金額とは別途にコストが発生することも考えられます。

さくら事務所の推奨するプロポーザル方式とは

さくら事務所では、マンション管理組合が工事会社と直接契約できる形が一番望ましい形だと考えています。しかし現実的にマンション管理組合自身で工事会社を探すのは難しいのが現状です。

さくら事務所ではこの部分について、マンション管理組合が工事会社を選定する部分の支援を行うために、マンション管理組合とコンサルティング契約を結び、マンション管理組合を支援していくような部分を担っています。

☆さくら事務所は設計しない設計事務所です。設計業務は契約を結んだ側と利害関係になるため、さくら事務所は設計業務は請け負いません。さくら事務所の立ち位置は「コンサルタント」です。

プロポーザル方式の場合、工事会社に提案書を提出してもらいます。金額だけではなく工事会社のスタンスも見極めます。提案書のなかでは特に仮設工事の足場については考え方が出てきます。そのため比較するポイントとして大きなものになります。

<事例>

あるマンションの内部に機械式駐車場が組み込まれていたケース。このマンションで実際に大規模修繕工事を実施する際、プロポーザル方式で提案を募りました。

ある提案では足場を組んでしまうと工事期間中に機械式駐車場が利用できなくなるため、工事期間中は外部に駐車場を借りて、車はすべて出してもらうという提案でした。

一方で別の提案では、実際にマンション内部にある機械式駐車場の状況を確認したうえで、駐車場には空いている場所もあったので、空いている場所も活用してうまく駐車場の車の配置を整理してもらい、車の出入りの位置を固定し、足場も鉄骨を入れて空間を作り、車の出入りがしやすいような提案でした。外部駐車場も借りずに済みました。

このように実際に提出される提案書を比較検討し、マンションが置かれている状況と、工事会社のやる気や現場をしっかり把握した提案を採用します。

さくら事務所では、これまで20社近くプロポーザル方式の選定を行っていますが、提案がバラバラでも比較提案が可能で、まったく違うような提案が出てくるようなものはありません。

実際に大規模修繕工事について検討を始める際は、まずはお気軽にご相談ください。

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