マンション大規模修繕工事のポイント

マンションの大規模修繕工事の準備を進めるにあたり、抑えておきたい基本的なポイントを3つご紹介します。

大事な修繕積立金を使い、マンションの寿命をも左右する大規模修繕工事。成功させるためには、入念な準備が必要です。

まだまだ先、と思う方も分譲マンションにお住まいであれば知っておきたいお話です。

施工会社選定は、管理組合の「性格」も考慮する

大規模修繕工事のポイント1大規模修繕工事の進め方は、管理会社の工事部門に一括して任せる方法や、劣化診断・設計・施工などをそれぞれ異なる会社に任せる方法などさまざまな方法があります。

委託する施工会社の選定にあたっては、それぞれの特性をよく理解することが重要です。

更に大きなポイントになるのが、管理組合の特性です。
「細かな検証のうえでものごとを決めようとする人」が多いのか、「大まかなポイントが把握できれば信頼できる業者に任せたいと思う人」が多いのか、など自分たちのマンションの特性も見極めておくといいでしょう。

あるマンション管理組合では適した方法であっても、自身の管理組合にはあわないこともあります。お住まいのマンションの管理組合が大規模修繕工事においてどのように進めたいか?何を重視しているのか?をしっかり考え、施工会社や発注方式を決めるといいでしょう。

工事の適正価格を知れば適切な金額で発注できる

大規模修繕工事のポイント2工事会社からの見積は、基本的には必要な工事金額よりも高めに出てきます。そこで、見積金額削減のために複数の会社から見積もりを取ることがありますが、相見積もりだけでは大幅な削減は期待できません。また逆に、見積金額が非常に安い場合には、格安料金の代わりに、安価で耐久性が低い材料を使ったり、工事範囲を減らしたりしている可能性もあります。

工事の品質を下げずに大幅なコスト削減をはかるにはどうしたらいいのでしょうか?それには、管理組合が施工会社と同等の建築コストの知識を得ることが必要です。

また、単純な経過年数だけの判断で不必要な部分まで修繕を行わないためには、修繕の必要性について判断できる維持修繕に関する幅広い知識も必要です。

現在の建築資材や施工費の単価とかけ離れていないか、必要のない工事が計上されていないかなどを細かく精査し、適切な価格および工事の内容を把握していれば価格交渉ができます。

多くの方にとって工事発注は慣れないことですが、数千~億単位のお金が動きますので、管理組合が専門性を高め、「根拠ある金額」を知り、納得のうえで工事を発注しましょう。

見積の精査だけを、第三者のコンサルティング会社に依頼するという方法もあります。

手抜き工事は発注者の監視で防ぐ

大規模修繕工事のポイント3工事を頼んだときにつきまとう不安のひとつが「手抜き工事」です。
工事終了時、見た目が綺麗になっていれば正確に施工されたと思うでしょう。しかし、多くの施工不良は数年経ってから発覚します。後になって「まともな工事が行われたのだろうか?」と居住者(所有者)から疑問の声が出てきても、工事の妥当性をさかのぼって検証することは極めて困難です。

手抜き工事は発注者の監視で防ぐ手抜き工事(施工不良)は、職人の作業を細かく監督しなかったり、工期に間に合わせるため検査を省いてしまうことなどが原因で起こりがち。工事の途中をいい加減に通過しないことが大切です。

適切な工事品質を得るには現場監督などのチェックが必要ですが、適切にチェックされているかは、作業中に足場に昇って直接確認しない限り、現場定例会議での報告などを通して把握するしかなく、頻度や内容を管理組合が常に確認しなくてはいけません。

適切な施工の秘訣は、管理組合が施工途中に目を光らせておくことです。「工事のプロに任せておけば大丈夫」「大きな会社だから問題ないだろう」という思い込みは避けた方がよいでしょう。

大規模修繕工事費の高騰に備える

大規模修繕工事のポイント4ですが、オリンピックが近づくにつれ、東京オリンピック後も工事費用は高値で安定、もしくは再度高騰の可能性も囁かれるようになりました。

東京オリンピック後に工事費用が下がるだろうと、多くのマンション管理組合が先送りした上、通常の周期通りに大規模修繕工事を迎えるマンション管理組合とで需要が高まっているのです。

また、国内マンションストックは増加の一途をたどり、4回目、5回目の大規模修繕工事を迎えようとする老朽化マンションも今後ますます増えていきます。

高まる需要に対して職人の高齢化・実績を偏重する管理組合の声などにより供給環境が追い付かず、高値安定、もしくは高騰、という予想がされるのです。

平成25年の秋くらいまでの相場であれば、上記のようなマンションの場合、管理会社から提示される見積額は高くても予備費含め戸あたり120万円くらいが上限で、実際に契約する金額は戸あたり100万円程度が平均的だった印象から、この事例では約15%程度見積額が高くなっていると思われます。これは、昨今の人件費高騰の煽りから、特別な案件ではなく、市場環境が大きく変わるような事態でも起こらない限り、今後も上昇傾向にあると考えらえる普遍的な事態です。

いざという時に必要な修繕ができないといったことにならないように、長期修繕計画のこまめな見直しと予備費を多くとっておけるよう、修繕積立金の見直しを早めに検討してみましょう。

 

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