長嶋修が解説!うまくいっているマンション管理組合の共通点は?

マンションの管理は管理会社がやってくれるもの、という誤解

マンションにお住まいの方の中には「マンションの管理は管理会社がやってくれるもの」と思っている方も多いようです。

ですが、これは大きな間違い。

マンション管理の主体は、あくまで所有者で構成された「管理組合」であり、管理会社はあくまで業務委託先です。

このような勘違いから、管理会社が頭を悩ませているケースもあります。

例えば建物の修繕が必要な時期に修繕の提案をしても、管理組合の合意が取れずに修繕ができないのです。

結果、マンションの劣化は進行し、建物の寿命はどんどん短くなっていきます。

主体となるべき、管理組合の合意が取れなければ、必要と分かっている修繕もできず、管理会社としてもマンションの資産性が落ちていくのをただ見ているしかないのです。

また、マンション管理会社の多くは、親会社である分譲会社による説明不足のツケを回されている面があります。

通常、新築マンションを販売する際、マンションの管理については購入検討者の関心も高くないことから、丁寧な説明も行われないのです。

マンションを購入しても、マンションの管理には無関心という方もまだまだ大多数でしょう。

マンション管理への無関心が生む悲劇

実際に、マンションの無関心はどんな事態を生むのでしょうか?

特定の人物が何十年も理事長を務めているマンションの場合、理事長が管理会社などと癒着し、大規模な工事が行われるたびに裏でリベートを受け取るといった事件もしばしば発覚しています。

マンション管理への無関心や他人任せは、こうした犯罪の温床にもなるのです。

また、内部の人間関係の対立から、管理がうまくいかなくなる事例も多々あります。

うまくいっているマンション管理組合のポイントは?

では、うまくいっているマンション管理組合とはどんな組合なのでしょうか?

そこには共通点があります。

管理組合運営についてのキーパーソンが組合の中に、複数存在するのです。

ポイントは複数、というところ。

例えどんなに管理組合運営に熱心な方がいたとして、マンションのためを思い、どんなに孤軍奮闘したとしても、かえって「管理会社と癒着しているのではないか?」「暴走して好き勝手なことをやっているのではないか?」などと変に勘繰られてしまうのです。

中には、マンション内で怪文書を回され、住みづらくなり引っ越しまったという例も。

どんなリーダーシップと経験、知識があっても、孤軍奮闘ではなかなかうまくいきません。

管理組合を活性化させる、新しいことを始めるには、自分のマンション管理に対する認識や考えを共有、理解してくれる仲間をつくることが重要になってきます。

例えば、毎年理事が全員改選されるようなマンションでは任期の見直し(2年とし、半数を毎年改選)をしてみてもいいでしょう。

任期を伸ばし、長く理事会(管理組合)の活動に参加してもらうことで、管理への意識や関心の高い居住者を生むことにも繋がり、そういった仲間を増やすことにもつながるでしょう。

第三者の登用も視野に入れて

ただ、現実問題として、管理組合運営がうまくいっているといえるマンションはまだまだごく少数。

マンション管理の責任はあくまで所有者で構成する「マンション管理組合」にあり、その存在は既に社会に不可欠な機能となっています。

ですが、建物の大規模修繕工事について、業者から見積もりを受け取った際、その見積もり額や内容が妥当なものかどうか?を判断するのも、マンション管理組合ですが、実際に建物の専門知識がない一般の方の集まりでそれを適切に判断するのは難しいでしょう。

また、修繕積立金の滞納や、入居者のトラブルについて、法律の知識が求められるようなケースもあります。

タワーマンションのような大規模なマンションになれば、その修繕積立金の額が億単位です。

その扱いや財務指標の見方、資金計画の立て方などには会計知識も必要でしょう。

こういったノウハウ、専門知識を持つ方が管理組合にたまたまいて、うまく機能しているというケースもありますが、多くの管理組合がそのようなメンバーに恵まれているわけではありません。

財務、法律、建築などの専門知識ないままに、巨額の資金管理や修繕計画の見極めなど、きわめて重い責任を負わなければならないのです。

建物や設備の修繕や修繕積立金についてなど、適切なポイントで、第三者のプロにアドバイスをもらうなど、専門家の登用も検討してみてはいかがでしょうか?

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