ケタが違う!?マンション長期修繕計画のあるある残念事例

マンションの長期修繕計画の見直しに関心が高まっています。最近、新聞やニュースなどで目にする、修繕積立金不足のニュースも影響しているのかもしれません。

とはいえ、「一番マンションに詳しいはずの分譲会社や管理会社がつくってくれた長期修繕計画。わざわざよその人に見てもらう必要あるの?」という方もいらっしゃいます。

特に、大手分譲会社・施工会社によるマンションにお住まいの方ほど、新築時の長期修繕計画を盲信してしまう傾向が強いようです。

ですが、さくら事務所で行う見直しの中でも、残念ながら設備の見落としや不要な修繕項目や数量のミスなど「残念な長期修繕計画」も度々発覚します。

では、具体的に長期修繕計画の見直しとは、どのような点を見直すのでしょうか?結果どのようなことがわかるのでしょうか?

今回はマンション長期修繕計画の見直しで発覚する5つのケースをご紹介します。

①設置されているのに計上されていないケース

まず多いのが、設備自体はあるのに、交換やメンテナンスの費用が長期修繕計画に盛り込まれていない、というケース。

特に大規模マンションでは、その設備の数量が多く、見落としが発覚すると莫大な金額が上乗せになってしまうことも。

また、建築工事の不足に比べ、設備工事(なかでも防災系の消防設備)にまつわる漏れが多いようです。

災害時に居住者を守るべく設置されている消防設備。長期修繕計画の見直しで交換・修繕の必要が指摘されなければ、予算が不足していざというときに機能しなくなっているかもしれません。

【事例1】機械式駐車装置に不活性ガス消火設備が設置されているが計画にはまったく計上されていなかった。3,000万円の漏れ

【事例2】地下駐車場に泡消火設備が設置されているが計画にはまったく計上されていなかった。1,500万円の漏れ

【事例3】連結送水管設備が設置されているが計画にはまったく計上されていなかった。600万円の漏れ

【事例4】消防設備の非常用電源として自家発電設備が設置されているのに計画には全く計上されていなかった。1,500万円の漏れ

②設置されていないのに計上されていたケース

上記の逆もしかり。ないはずの設備の交換・メンテナンス費用が計上されているケースも。

予算の追加にならなくてよかった・・というものではありません。建物や設備の現状と一致していないことに変わりはありません。しっかりチェックする必要があります。

【事例1】消防設備の非常用電源としての自家発電設備が計上されていたが実際には設備が設置されていなかった。▲1,300万円

【事例2】スプリンクラー設備が設置されていないのにポンプ交換が計上されていた。▲600万円

③不要・過剰な修繕工事が計上されていたケース

なかなか見抜けないのがこのケースです。本来不要な交換費用や過剰な修繕工事が盛り込まれているのです。

そもそも、それぞれの設備・仕様の適切な修繕方法がわからなければ、その間違いに気が付くこともできません。

マンション管理の専門家でも管理組合運営だけでなく、建築や設備にも明るい専門家にチェックしてもらう必要があります。

【事例1】機械式駐車場の装置はペイント塗装品ではないにもかかわらず(溶融亜鉛メッキ仕上げ)、6年毎に不要な塗装工事が計上されていた。▲6,000万円

【事例2】各住戸の水道メーターの交換が8年毎に計上されていたが、水道局に確認したところ交換費用は不要との回答であった。(例外的に水道メーターの交換費用が必要な場合もあります。) 戸当たり75,000円、大規模マンションで30年間に3回交換するため▲1億円以上

【事例3】屋上、ルーフバルコニーなどが20年以上の耐久性をもつ保護コンクリート付の仕様となっているが、12年目に実施予定の1回目の大規模修繕工事でその上から、ウレタン塗膜防水が計画されている。▲1,500万円
※この工事が計上されているケースは少なくありません。

【事例4】12年目に自動火災報知機の全数の感知器を交換する費用が計上されていた。常識から考えてあり得ない。▲150万円

【事例5】一般的には30年で交換とされるエレベーターが20年目に交換として費用が計上されていた。
※間違いではないかもしれませんが、20年目にエレベータ―を交換するマンションはほとんどありません。

【事例6】機械式駐車装置が20年目に交換予定で計上されていた。高価な装置が20年で交換ではモトが取れず大赤字です。
※間違いではないかもしれませんが、20年目に機械式駐車装置を交換するマンションはほとんどありません。

④数量や金額が間違っていたケース

まさかと思うような数字のミスも残念なが度々発覚します。単純なミスとは言え、大規模マンションやタワーマンションではその追加費用は莫大になることも。

【事例1】交換費用2,000万円程度のエレベーターが6台設置されているが単価が200万円で計上されていた。その差額、1億800万円

【事例2】屋内消火栓が35箇所設置されていおり、ホースの交換も30本で計上されていたが、本来、1箇所に2本が連結されて設置されているため70本必要だった。追加525,000円

⑤修繕方法が開発(確定)されていないため計上できないケース

まだまだ修繕の歴史の浅いタワーマンション。

いつか交換や修繕必要になるとされつつも、そのスケールから、交換・修繕方法が未開発のために費用が計上できない、なんてものもあります。

タワーマンションで長期修繕計画の見直しをお考えの方は、過去に同様のタワーマンションの長期修繕計画見直しの実績がある会社へ依頼することをお勧めします。

【事例1】竣工後40~50年頃には必要になると思われるサッシ交換。現在は交換工事の手法(技術)が未開発であるため計上できない。

【事例2】免震装置や制振装置の耐久性について事例がないため、将来交換が必要である説と不要である説がある。現時点では未確定のため計上できない。

いかがでしたでしょうか?

長期修繕計画は見直すだけで終わりではありません、見直しにより今後必要とされる金額がわかれば、それを集めるための修繕積立金の増額もマンション管理組合で検討していく必要があります。

さくら事務所では、長期修繕計画の見直しだけでなく、修繕積立金増額のための合意形成までマンション管理コンサルタントがサポートします。


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