タワーマンションに求められる安全性と防災設備

今や首都圏では当たり前のように見かけるタワーマンションですが、現在のように数多く建設されるようになったのは1997年の規制緩和がきっかけでした。

そこから今まで建設ラッシュが続いていますが、といってもまだ20年程・・

タワーマンションの維持管理は歴史が浅く、前例がないため大規模修繕工事や長期修繕計画についても不透明なところがあります。

マンションでは、高さによって安全性が求められます。つまり災害時に対応できるような防災設備を備えることが求めらるのです。

超高層と言われるようなタワーマンションでは自然と必要になる設備も多く、その項目の多さから長期修繕計画では項目の見落としがしばしば見られます。

今回は高さによってマンションに求められる安全性と防災設備について解説します。

マンションの高さによって求められる安全設備

高さ31Mを越えたら火災への配慮が必要

ロンドンのタワーマンション火災の記憶もまだ新しいかと思いますが、タワーマンションでもっとも怖いものの1つが「火災」です。

高さ31M(10階を超えるくらい)のマンションでは、非常用エレベーターの設置が義務付けられています。

高層階で出火した場合、消火活動を行うためのはしご車が届かないため、消防隊が非常用エレベーターで上がり、消火・救助を行います。

停電になっても一定時間は動かす必要がありますので、非常用の電源として自家発電設備などを備えることが義務付けられています。

ときどき、マンションに「自家発電設備」「非常用発電設備」が設置されているのを見て「停電になってもこのマンション内は普通に生活できる!」と勘違いされる方もいらっしゃいますが、これはあくまでも非常用エレベーター・消防設備などの防災用設備を稼働させるためのものです。

また、火煙が広がるのを防ぐために、カーテンやじゅうたんなどは「防火物品」の使用が消防法により決められています。

これは、高層階にだけ適用されるものではありません。31Mを超える高さのマンションは低層階であっても「防火物品」を使用しなければいけません。

高さ45Mを越えたら災害時の救助方法も変わってくる

緊急救助用スペース高さ45Mを越えるマンションでは、ヘリコプターが救助用に空中で止まっていられる(ホバリング)「緊急救助用スペース」を設けることが要請されます。

航空写真などで屋上に「R」と書いてあるのを見たことがある方も多いでしょう。

この「R」は救助用(Rescue)のタラップ(梯子)を下げて、救護者を釣り上げて救出するためのものです。

高さ60Mを越えたら「地震に対する強さ」も

60Mを越えると、その高さから構造にも一定以上の強度が求められるため、確認申請の際に国土交通大臣の認定が必要になります。

いわゆる「超高層認定」と言われるものです。

コンピューターシュミレーションにより、地震波などの建物の揺れを検証、構造耐力上の安全性を証明・確認しないと認定がおりず、建てることができません。

認定取得のためにはさまざまな規定がありますが、その軸になっているのは「地震に対する強さ」です。

震度6強から7の地震で、高さに対する揺れが概ね1/1000以内(100Mで10センチの振幅幅)となる設計が求められます。

高さ100M以上は緊急離着陸場

100M以上ならヘリコプターが離着陸可能なヘリポート(Heriport)、ホバリングだけではなく、ヘリコプターを屋上に着陸させる「緊急離着陸場」が求められます。「H」のマークがついているものです。

いずれも要望・要請ですが、実際には屋上の形状や面積によって、レスキューかヘリポートのいずれかを設置しないと建築の許可がおりません。

設備が多いほど、長期修繕計画の漏れや抜けがある

このような安全・防災設備に限った話ではありませんが、長期修繕計画では設備の項目が多い程、項目の漏れや抜けが発生してしまいます。

後から漏れや抜けに気が付いて、資金不足に陥らないためになるべく早い段階で長期修繕計画の見直し、検証を行いましょう。

通常、新築時に作成される長期修繕計画は30年のものが多いのですが、マンション全体の修繕は50年目でやっと修繕サイクルが一巡する、というイメージです。

ライフサイクルコストを把握するためには、少なくとも竣工後50年までを検討することが望まれます。

ある時期になり、膨大な費用のかかる修繕が発生して、今までの計画じゃ足りませんでした、という修繕積立金が不足するマンションが多数あります。

冒頭でもお伝えしたように、タワーマンションの維持管理の歴史は浅く、免震構造や制震構造のマンションでは免震装置や制振装置の耐久性に伴う交換など実例がないため、現時点では想定外とされていることも少なくりません。

管理会社も「今はまだその時期じゃないと思って言わなかった」「本当に知らなくて計画たてたらこれが必要になった」というケースもあります。

このような事態を防ぐためにも、できれば自分のお住まいのマンションと似たタイプ(大規模、タワー等)の長期修繕計画の見直しに精通した専門家へ早めに相談することをお勧めします。


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