大規模修繕工事の想定外~タイルの浮き・剥離~
大規模修繕工事が始まり仮設足場が組立てられ、建物全体の調査が行われたときに、想定外の不具合が発見されることが少なくありません。
その中でも特に多いのが外壁タイルの浮き・剥離です。
近年の分譲マンションでは外壁タイル張りの仕上げが主流で、総戸数50戸程度の規模のマンションでも外壁が数十万枚のタイルによって、仕上げられているものもあります。
タイルは美しい外観と耐久性を合わせ持つ優れた素材ですが、不具合が発生して剥落した場合には建物の居住者や利用者だけでなく、通行人の方々などに危害を与えてしまう可能性があります。
一般的に大規模修繕工事の前に、建物全体の調査が行われることはなく、通常に歩行できる範囲だけの調査を行い、不具合の発生している割合を推定して工事の金額を決定しています。
外壁タイルの場合には張替や補修が必要となる割合を、概ね3~5%程度の数量として予測しているケースが多いと思われますが、実際には10%~15%以上の割合で補修が必要となることがあります。
このような状況では、マンションの規模にもよりますが追加工事に必要な金額は、数百万円~数千万円、大規模マンションなどでは1億円を超える費用が必要になったケースもあります。こうなると予め計上されていた予備費などの範囲で対応することが、不可能となるだけでなく急遽一時金を徴収したり、緊急に融資を受けることなどを検討しなければならない事態となります。
また、1回目の大規模修繕工事の実施時期は、一般的に10年を超えていますので分譲会社の保証期間は過ぎていますが、不具合の状況によっては分譲会社や施工会社に、補修費用の一部を負担してもらえる場合もありますので、分譲会社・施工会社へ速やかに連絡することをおすすめします。
こうした事態を招かないためにも、定期的に建物を点検しましょう。
私達が毎年健康診断を受けるのと同じように、建物も定期的に健康状態をチェックすることが大切なのです。