長期修繕計画の見直しと修繕積立金増額の進め方

修繕積立金の増額について、その根拠はどこから来ているのでしょうか。
その根拠となるのは2021年9月に国土交通省がガイドラインを改訂したことにあり、ガイドライン改訂のなかで、2011年と比べると修繕積立金の平均額が大幅に上昇したことに起因しています。

修繕積立金の大幅な上昇の比較

修繕積立金の平均額上昇の原因として、2011年はサンプル数がまだ少なかったこと、2021年に改訂されたものは、逆に年数を経てサンプル数が大幅に増加したことが大きいと考えられます。同じように大規模修繕工事の工事費用も大幅に上昇しており、これも今回の修繕積立金の平均額が大幅上昇した一因となっている可能性があります。

修繕積立金の積立方式

※段階増額方式では、マンション管理認定計画制度の基準に達しない可能性があります。

修繕積立金増額のポイント

積立金を増額することを検討するマンション管理組合が多いですが、長期修繕計画の作成ガイドラインの改訂によって、マンション管理認定計画制度の基準をクリアするために修繕積立金の増額は避けて通れない可能性があります。

修繕積立金を増額するためのポイント

管理費の削減についても合わせて検討する

マンション居住者はほとんどの場合、まるで税金を納めるような感覚で修繕積立金を毎月納めていることがほとんどではないでしょうか。たとえば税金を増税する前には、そもそも税金の無駄遣いはないのかチェックすると思います。同じように修繕積立金を増額する場合は管理費の無駄遣いや過剰な仕様がないか合わせて検討することをおすすめします。

超長期の修繕計画を作成

現在多くのマンションの長期修繕計画といえば判で押したように30年が常識的になっています。しかしマンションの将来をもっと長期で見渡すためには、修繕計画は30年ではなく、50~60年という計画を作成することによって、今後マンション管理組合が負担しなければいけない修繕費用の全貌を見ていただくためには必要です。

修繕周期の長周期化について検討

現在マンションの大規模修繕工事の修繕周期については、12年の修繕周期を16~18年に変更したいという問い合わせが増加しています。そのため先程の長期修繕計画を見直すためには、修繕周期の長周期化も検討していくべきだと考えます。

マンション管理組合で収益源の多様化を検討

マンション管理組合の収益として見込みやすいのは、空き区画の駐車場の外部貸しや、もし空きスペースがあれば、トランクルームを設置することで毎月の費用を徴収することが可能です。

※小規模マンションでは難しい

積立金を増額しても支出は慎重にするスタンス

積立金が高くなることで積立金の残高が多くなると、それだけ支出に使われるのではないかという懸念も一定数起こります。そのためしっかりと運営するスタンスが重要になります。

修繕積立金について複数の増額プランによる比較が必須

いきなり均等積立方式の金額を提示するのではなく、段階増額方式で先々同じように増額となった場合、もし修繕期間が50年となった場合、最終的には段階増額方式のまま時が経てば、場合によっては負担しきれない金額になるケースも考えられます。そのため超長期の修繕計画を作成したうえで、均等積立方式と段階増額方式のプランを比較して皆で納得した上で決定することが大切になります。

理事会の考え方を説明会で丁寧に説明

修繕積立金の増額を進める理事会の考え方については、説明会で何度でも繰り返し丁寧に説明をすることも話を進める側のスタンスとして大切です。

 


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