マンションでありがちな不具合としての1つとして、コールドジョイントが挙げられます。
コンクリートの表面が塗装やタイルなどで仕上げられていない部分ではわかりやすいのですが、コンクリート躯体が均一でなく筋状の継ぎ目が入ったような状態になっていることを指します。
ここでは、マンションで起こりうる施工不良の1つ、コールドジョイントについて解説します。
コールドジョイントの原因
通常、コンクリート打設時にコンクリートを型枠内に流し込む際、大量のコンクリートが必要な場合には一度に流し込むことができず、時間が空いて二度目、三度目に分かれることが珍しくありません。
その場合には先に打設したコンクリートと後から打設したコンクリートがしっかりなじむよう、打設されたコンクリートの表面の不純物を清掃したり型枠材に振動を与えたり叩いたりといった作業を行う必要があります。
ですが、それが不十分だった場合、先に流したコンクリートとしっかり接着できていない部分が生じるために継ぎ目ができてしまうのです。
一体となっているはずのコンクリートに一部脆弱部ができてしまいますので、柱や梁などでは予定の強度を保てず、建物への影響も考えられます。
また、中には、継ぎ目の部分にひび割れが発生しているケースも見られます。
継ぎ目に裂けたような大きなひび割れがある場合、そこから水分などが侵入しコンクリート内部の鉄筋が錆びて、コンクリート躯体の劣化につながることもあります。
外壁などは何らかしらの仕上げがなされているケースが多いのですが、水平方向に比較的長い割れが確認された場合は、コールドジョイントの可能性も考えられます。
地下ピットで発覚したコールドジョイント
地下ピットなどコンクリートの仕上げがそのまま確認できる場所では、コンクリートの色が急に筋状の継ぎ目を境にして変わっているかどうかで見分けることもできます。
本来なら一体化しているはずの壁面のコンクリートに隙間ができており、場合によってはそこから漏水していることもあります。
単に色が変わって見えるだけでは、大きな問題となるものではありませんが、継ぎ目に明らかな割れが生じている場合には注意が必要です。
したがって、コンクリートの仕上げがそのまま見える地下ピットをなるべく初期の段階で点検しておき、色が変わっている部分や筋状の継ぎ目があるかどうかをまずチェックしておくことは有効です。
漏水などが生じていないかを確認することで、早期に補修の対応ができます。
地下ピットは普段あまり目にされる場所ではなく放置されがちです。
継ぎ目部分の割れも初期に適切な補修を行なえば、問題ないのですが、長期間放置されてしまうと劣化が進行し耐久性や強度に影響する恐れもあります。
もし新築時の不具合が発覚したら?
もしこのような不具合が発覚したらどうすればいいのでしょうか?
まずは分譲会社や施工会社に現場を確認してもらうのがベストです。
更には補修が必要な場合には竣工後の年数により保証期間が過ぎている場合には有償になることも考えられます。
一般的な調査では1~2日で済みますが、発生個所が多数におよぶ場合には1~2週間程度の時間がかかってしまう可能性もあります。
不具合が確認された時期が10年間の保証期間を過ぎている場合でも、分譲会社や施工会社に補修の実施や費用負担について交渉した結果、費用の負担や補修工事の実施をしてもらえることもあります。
2年目アフターサービスの有効活用が鍵
残念ながら新築時の施工不良による不具合は、そう珍しいことではありません。
10年間の保証期間が過ぎてから不具合が発覚して、無駄な修繕費用を管理組合が負担するようなトラブルにならないよう新築後、早い時期に施工不良を解消しておく必要があります。
新築マンションでは、入居後の一定期間内の不具合を無償補修してくれるアフターサービスがあります。
特に竣工引き渡し後2年目までの短期保証では幅広く多くの項目が補償対象とされていますので、ぜひこの機会に不具合の洗い出しをおこない健全な状態にしておくおことをお勧めします。