マンションそのものより、寿命が短い設備
マンションを含む建物は、構造体よりも、それに付随する設備機器のほうが寿命は短いのが一般的。
鉄筋コンクリート造の建築物は、計算上の耐用年数は47年といわれていますが、実質コンクリートが中性化し、内部鉄筋の錆びに至るまでを耐用と考えるならば理論上は60年となり、さらに劣化に対する点検やメンテナンスを適切に施していけばそれ以上の寿命になるという考え方もできます。
一方、給排水管などは材質にもよりますがおよそ30年ほど。
特に、給水に関して言えば現在主流となっている樹脂管は1990年代後半になって普及し始めたもので、それ以前はライニング鋼管などいわゆる鉄管と呼ばれる鋼製管が一般的に使用されていました。
築20年以上の建物に使われている給水・給湯管はほぼ鋼製管のためもちろん時間の経過とともに錆びていきます。
交換目安としては20年程度といわれています。
マンションの配管、「更新」と「更生」どう違う?
建物寿命を延ばすためには構造体の定期的なメンテナンスはもちろんですが、あわせて設備機器もその機能性を維持する為に、適宜交換したり新しくする必要があります。
給水・給湯管に鋼製管が使われている場合は、徐々に管の腐食や錆びが発生するため、放っておいた結果管に穴が開いて漏水してしまうといったケースも。
こうした配管などのメンテナンスは、大規模修繕工事のタイミングで行なわれることが一般的ですが、管理会社から出てくる提案で多いのが配管を新しいものに取り替える「配管更新」。
実はもう一つ機能性を蘇らせ、寿命を延ばす「配管更生」というメンテナンス方法があります。
「配管更新」と言えば、配管自体を取り替えて新しいものに入れ替えることを意味し、「配管更生」と言えば、現状の管の錆びなどを落とし、内部官壁に塗膜材などを塗布して機能性を回復させるような工事となるのです。
必要な修繕は「更新」なのか?「更生」なのか?
無理に錆を落としたら穴が空く恐れのあるケースなど、更生不可能なほどに腐食が進行してしまっている状態の場合、もちろん更新した方がよいでしょう。
しかし、十分更生できる状態にも関わらずコストがかかる「更新」を提案されるケースが多いのも現状。調査の上、状況にあった適切な方法で修繕をしたいものです。
基本的に大規模修繕工事を行なう際は、管理会社や施工会社が事前に建物の調査を行ないます。
本当に必要な修繕を適切な方法で行うことによって余分な修繕費も節約できるため、管理組合で数社の見積もりと仕様を比較検討し発注をしましょう。