アフターコロナは待てない!マンションアフターサービスの期限

引き続き国内で猛威を振るう、新型コロナウィルス。

3つの密を避けるため、理事会の開催にいまだ二の足を踏んでいる、というマンション管理組合もあります。

頻度を減らして月1だったのが2ヶ月に1回、また、通常通りの頻度で開催はしても、新たに何かを検討することができない状態、という声も寄せられています。

とはいえ理事会で検討すべき事項の中には、定められた期限があり、先延ばしにできないこともあります。

今回は、コロナ禍においても必ず検討してほしいアフターサービスの点検についてマンション管理士が解説します。

アフターコロナを待てない議題も・・・

理事会でなるべく接触を避ける、顔を合わせる時間を少なくするために「どうしても今やらなければならないこと以外は先延ばしする」というのも1つの考えでしょう。

実際、「いつやらなければならない」という決まりもない大規模修繕工事などについては「予定はしていたものの、今この時期は検討を先延ばししている」という組合も多いようです。

期限のないものについては、「何も今でなくても・・・」というのは多くの方が思うところかもしれません。

ですが、理事会で検討すべき事項には、期限がありまさにそのとき検討しなければならないこともあります。

中でも特に注意したいのが、「アフターサービス期限前の点検」です。

将来の修繕積立金不足を防ぐ、アフターサービスの活用

分譲マンションの引き渡し後に、一定期間に発覚した建物や設備の不具合を分譲会社に無償で補修してもらう「アフターサービス」。

早期に不具合を発見、無償で補修してもらうことで、長い目で見て大きな修繕費用の削減に繋がる可能性もあり、マンションを購入された方にはぜひ積極的に利用していただきたいマンション購入者の「権利」です。

期限内に申し出すれば無償補修してもらえますが、その機会を逃すと、後々(最初の大規模修繕工事のときなどに)管理組合の費用負担、つまり修繕積立金で補修することになります。

アフターサービスの無償補修をうまく活用することで、修繕積立金のムダな支出を抑え、将来の修繕積立金不足に備えることにも繋がります。

アフターサービスの期限、その注意点

アフターサービスの期限について、中には把握されていないマンション管理組合もあります。

また、その「起算日」についても要注意です。

アフターサービス規準では、10年間の長期保証は「施工会社から分譲会社への引き渡し日」を起算日とします。

この「施工会社から分譲会社への引き渡し日」と「分譲会社から購入者への引き渡し日」が同日のケースとそうでないケースがあるのです。

引き渡し時にもらったアフターサービス規準書から、その期限をしっかり確認しておきましょう。

また、1年、2年といった短期保証の部分については、「区分所有者が最初に使用(入居)した日」が起算日になります。

昨今のタワーマンションなどの大型マンションでは、複数回にわたって引き渡しが行われますので、自身が引き渡しを受けたタイミングとは異なるかもしれません。

(専有部に関しては、各居住者が引き渡しを受けた日が起算日になります)

特に、短期保証の部分は、ひび割れや外壁タイルの浮き・剥離など幅広い項目が保証対象となっています。

可能な限り、不具合はしっかり洗い出しておきたいところです。

関連コラム:最初の大規模修繕工事にも影響する、2年目アフターサービスの活用

アンケートが配られてからでは遅い、共用部のチェックには準備も必要

「少しぐらい期限が過ぎてからも何とかしてくれるのでは?」と思いがちですが、2、3日であっても期限が切れていればもうどうにもならない、という残念なケースも少なくありません。

コロナの影響を受け、理事会が足踏みしている間に期限切れを間近に控えてしまっているところもあります。

一般的に、期限が切れる1か月から2か月前に、居住者に対し「建物に不具合や気になる箇所はないか?」という趣旨のアンケートが配布されます。

アンケートが配られて初めてアフターサービスの存在やその期限を思い出す、という方もいらっしゃいます。

専有部についてであれば各自、申し立て補修の交渉ができるかもしれませんが、共用部についてはどうでしょう?

日頃生活する専有部と違い、共用部は不具合の有無にも気が付きにくく、またその状態についても知識がないと判断が難しいところもあります。

「アフターサービスの無償補修で直すべきものまで管理組合の負担で補修する」ということがないよう、しっかりと対象範囲の不具合は補修してもらいたいものですが、そのために必要なのが、建物の点検・不具合箇所の洗い出しです。

第三者や専門家のチェックを希望されるのであれば、事前に前年度にその予算を確保する必要があり、もし予算が確保されていない場合は臨時総会を開く必要もあります。

コロナ禍で理事会が足踏み状態の中、期限を間近に控える組合も

このコロナ禍の状況を鑑みて、中には、分譲会社からアフターサービス保証の期限を延長してくれているという分譲会社もあります。

ですが、それもごく一部。理事会のスムーズな通常通りの開催・運営が難しい場合は、期限の延長が可能かどうか分譲会社に確認してみるのもいいでしょう。

曖昧な返答しかもらえない、というケースもありますので必ず書面など正式な回答をもらうようにしましょう。

なにも検討しないまま、アフターサービス期限を迎え、無償補修のチャンスをフイにすることのないよう、しっかりと備えておくことをお勧めします。

また、理事会開催にあたっては換気を十分にとる、参加者同士の距離をしっかりとるなどの対策や、これを機に適宜オンラインツールの活用も検討してみてもいいかもしれません。

有事に動ける管理組合の運営体制をつくることは、これからの大災害時代でも有効になるかもしれません。

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