高耐久化もコストダウンも!メリハリ大規模修繕工事をかなえた施工会社の提案とは?

さくら事務所がおすすめする大規模修繕工事の施工会社選定方法「プロポーザル方式」

施工会社や設計・監理者によるバックマージンやリベートを防ぐためにも有効ですが、一番の特徴は「施工会社からきめ細やかなさまざまな提案が受けられる」というところ。

ここでは、その特徴を存分に活かし、コストダウンをかなえつつ、メリハリある修繕で大規模修繕工事を成功させた例をご紹介します。

大規模修繕工事を前に、1年以上かけ情報収集

そのマンションは東京都内、約100戸のマンション。

築8年目で修繕積立金の改定を検討し、翌年に見直し、管理会社変更を断行して管理費の値下げを実施していました。

大規模修繕工事を前に、早々に大規模改修委員会を立ち上げ、大規模修繕工事を経験した近隣マンション訪問や、長期修繕計画の把握、外部の勉強会への参加、修繕工事現場の見学など、1年以上もの間熱心に勉強しました。

結果、同じ大規模修繕工事を行う場合でも費用や方法に大きく差があることに気が付きました。

ポイントは、長期修繕計画通りの工事を漫然と行うのではなく「劣化状況に応じた工事範囲や工法を精査すること」、「コンサルタントの第三者的な助言と工事状況のチェック」が有効という結論に至り、さくら事務所にお声掛けをいただいきました。

施工会社選定は工事内容の提案力が決め手に

施工会社選定にあたり、まずは建設業界紙で公募しました。

応募のあった18社から書類選考で6社に、面談選考で3社にまで絞りました。

次にこの3社(A社、B社、C社)に個別に現地調査をしてもらい、工事内容の提案書と見積りを出してもらいました。

結果、A社、B社の見積もり額は1億円程度で提案内容もほぼ同じ、C社のみ6400万円と各段に安い金額が提示されました。

コストの差が開いたのは、費用の掛かる仮設足場を最小限に抑え、仮設足場を設置しない部分には安価なブランコ工法を選定したことによるものでした。

更に、C社は他の2社とは屋上防水とバルコニーの補修方法も提案が異なりました。

A社、B社では、「かぶせ工法」という既存の防水層の不良部分のみを除去し、適切に下地処理を施した上で、そのうえから新規に防水層をかぶせる工法による屋上防水の補修が提案されましたが、見積り金額の低かったC社では、トップコート塗布(保護塗装)とシール防水の補修だけだったのです。

さくら事務所の劣化状況の判断も、屋上防水とバルコニーの劣化は比較的軽微であったため、トップコート塗布(保護塗装)とシール防水の補修で十分であると判断したのです。

理事会や管理組合のなかには一部、足元が安定しないブランコ工法に対する不安の声もあがりましたが、先々の修繕も考え修繕積立金を少しでも残したいとの思いもあり、検討の結果、C社に工事をお願いすることにしました。

決め手はやはり、不急不要な工事を省いた上で劣化状況や場所に応じて修繕方法や使用する材料も工夫してくれた施工会社のその提案力でした。

それぞれ具体的にご紹介します。

メリハリつけてコストダウンしつつ、適切な修繕を

コストダウンPOINT1、外壁タイルの補修は部位や状態で使い分け

外壁タイルの補修は、浮き範囲が小さいものや腰高程度より下に位置するものは樹脂注入とアンカーピンニングによる補修工法を採用、浮き範囲が大きいところは部分張替え工法として、万が一タイルが剥落した場合の危険性や補修後の耐久性などに配慮して使い分けました。

陽射しによる紫外線の影響が大きく雨が掛かるなど劣化しやすい部分には、高耐久性のシール防水材を用い、それ以外の部分は補修だけにとどめました。

安易に全て張り替えずに、タイル浮きのレベルや、安全性にかかわる場所かどうか、紫外線や風雨による影響により劣化しやすい場所かどうかなど、劣化状況や部位によって、工法や建材を使い分けることで、適切に修繕しながらコストダウンにも成功しました。

コストダウンPOINT2、屋上防水はトップコートを塗ることで延命化

屋上のアスファルト防水は状態がよかったので、洗浄補修の上、建物や室内への太陽光の影響を抑える遮熱系トップコートを塗布しました。

庇部分には防水材と高耐久性のフッ素系トップコートを塗布しています。

コストダウンPOINT3、足場を組まないことで大幅コストダウン!

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仮設足場は、工事終了後には何も残らないにも関わらず、大規模修繕工事の全体費用でも大きな割合を占める部分。

それを必要最小限に抑えるため、すべてに足場を組まず一部にブランコ足場を用いるハイブリット工法を採用しました。

費用のコストダウン効果はもちろんのこと、バルコニー面がメッシュシート覆われるのも高圧洗浄や塗装などを行う期間だけなので日常生活に圧迫感がなく、大規模修繕工事中の生活への影響や精神的負担も抑えることができました。

また、仮設足場を組まなくてもバルコニーに入り、工事ができるよう、外壁側に仮設の昇降階段を設置しました。

バルコ二―の隔て板を一時的に外して仮設パネルを設置することで、作業が行われているときだけ、同じ階の連続した住戸のバルコニーを往来することができます。

1日の工事が終わったら隣住戸間のプライバシーに配慮して仮設パネルが設置されます。

次回の大規模修繕工事のことも視野に、高耐久化を狙う

適切な大規模修繕工事のポイントは、費用を抑えるだけではありません。

次回の大規模修繕工事までの周期の伸長につながるような箇所では、材料費は多少高くても高耐久の製品を選びました。

こちらがその一例です。

高耐久化POINT1、雨掛かり部分は高耐久仕様で修繕

浸透性吸水防止材でコーティング処理をしています。

目地の既存シールを撤去・清掃後、超耐候性の特殊ポリウレタンシールを充填。

その上から、防水効果と耐久性に優れる浸透性吸水防止剤でコーティングしました。

高耐久化POINT2、15年先を考えて高品質の塗料を

吹付タイルの繊細な質感を保持するために、最高級グレードのフッ素系樹脂塗料を塗布しました。

長期の紫外線や雨風の影響を防ぎ、変色や艶引けにも強い素材です。

大規模修繕工事は施工会社の提案力が肝に

このような提案は、設計者により予め仕様が決定され金額だけで比較する設計監理方式で受けるのは難しいでしょう。

施工会社としても、これまでの施工の経験から得たアイデアやその提案力を管理組合に直接アピールすることができる点はやりがいにも繋がります。

ただし、複数の施工会社からの異なる提案を比較検討するには、専門的な知識や経験が必要です。

皆さんにご理解いただけるよう、一覧にしてその違いや特徴をコンサルタントがご説明します。

よりよい提案を受けて、効果的な大規模修繕工事にしたいという方は、お気軽にお問合せください。

 

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