外壁タイル剥離、その補修費用払わなくていいかも

高級感や優れた耐久性から根強い人気の外壁タイル。ですが、実は浮きや剥離など施工の不具合を起こしやすい素材です。昨年8月には、東京三鷹市でビルの外壁タイルが暴風雨で崩落、通行人がけがをするという事故もありました。

万が一の際、自身のマンションが加害者になるだけでなく、自分も家族も被害者になる可能性もあるのです。また、実際に事故が起きてしまったマンションは、売買契約時の重要事項説明などにも記載されることもあり、資産価値の低下も懸念されます。

もしお住まいのマンションでタイルの浮きや剝離があったら、すぐに補修することが望まれますが、問題なのはその費用ですね。

通常、外壁タイルのアフターサービスは2年とされているケースが多く(※分譲会社によって異なります。詳しくは、アフターサービス基準書をご確認ください。)その期間であれば、地震などの天災を除き無償で補修してくれますが、期限を過ぎた場合は有償補修が原則になります。とはいえ、原因が施工時の不良にあると明らかになれば、アフターサービス期限を過ぎた後でも分譲会社・施工会社が無償で補修してくれることも。

今回は、さくら事務所に頂いたご相談をもとに、無償補修の対象となりうるタイルの施工不良事例を、工程に沿ってご紹介します。

コンクリート躯体工事が原因のパターン

まずは、コンクリートを打設する躯体工事。そもそもこの施工精度が著しく悪かったり、適切な箇所に目地が入れられていないといったケースは、外壁タイル張りの施工不良に起因するものと言えるでしょう。

また、中にはコンクリートを打ち型枠から外す際に用いた型枠剥離剤の成分(油分)が十分に洗い落とされておらず、タイルを貼るためのモルタルがきちんと接着していないとうこともあります。

左官工事が原因のパターン

次に、左官工事です。ここで注意したいのが接着強度があるかどうか。

下地モルタルを塗る際に、強い日差しや乾いた風により急激に水分が奪われ、しっかりと硬化できずに十分な強度をつくれないことがあります。一般的にドライアウトと言われます。

また、乾燥したコンクリートに急速に水分を吸収されないよう給水調整剤を使いますが、その希釈濃度を間違えていたり、厚く塗り過ぎていたりする場合も、⼗分な接着⼒を確保することができません。

「⽬粗し」という作業も接着⼒を左右します。コンクリートの型枠を外したあと、超高圧洗浄などで表面に 凹凸状の傷をつけることを⾔いますが、この処理をしていない場合、つるつるのコンクリート表面に下地モルタルが十分に接着しません。

タイル工事そのものが原因のパターン

最後はタイル工事です。ここでも、張り付けるためのモルタルが薄すぎてタイル裏に充分充填されない、きちんと数回に分けて塗られていない、十分押えられていないなど施工不良に繋がるケースがあります。

設計・工事計画そのものが原因

そもそも、適さない箇所へのタイルの施工(斜めの壁の部分、梁の下の部分)や目地の不適切な設置など計画段階で問題があるケースもあります。

タイルは素材やサイズによって、適切な施⼯⽅法があります。 夏場、濃い⾊のタイルの表⾯温度は60度以上にもなるため、コンクリート躯体やモルタルとの素材の伸縮の 差が繰り返されることによって、接着⼒が徐々に低下するため、計画時に配慮が必要です。 また、⼤型サイズのタイルもその重さから、張り付けモルタルによる確実な接着が困難である場合があるた め、他の⼯法についても検討する必要があります。

このように、⼯事の工程にはいくつかポイントがあり、各⼯程で適切な処理がされていないと、後々のタイ ルの浮きや剝離に繋がります。 とはいえ、上記のような不具合の原因を明らかにするには、きちんとした調査を⾏わなければできません。

これは、アフターサービス期限内に発覚した場合でも同じです。「原因なんて調べてもわかりませんよ。 無償補修しますから⼤丈夫ですよ。」といった対応をされるかもしれませんが、補修してもらって終わりで はなく、原因を特定するための調査を行い、有効な対策を打たなければその後に他の部分から浮きや剝離が 発生してくる可能性が高くなります。

施⼯会社・分譲会社の対応いかんによっては、管理組合が主体となって第三者に調査を依頼することも 検討しましょう。

タイル張り以外の不具合が確認されるケースも少なくありませんし、施⼯に起因する ものと証明できれば、分譲会社・施⼯会社に補修費⽤の負担を求められるかもしれません。

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