大規模修繕工事、作業員と不審者の見分け方
前回、足場に関わる防犯についてご紹介した大規模修繕工事の防犯の盲点についてお伝えしましたが、2回目の今回は作業員と不審者の見分け方についてご紹介いたします。
大規模修繕中は、施工会社を装って、悪質なリフォーム営業などの不審者や侵入盗がマンションに入り込んでしまう可能性があります。
共用部分の施工を担う大規模修繕の施工会社は、専有部分(各住戸)に向けて営業を行うことは原則として行わないため、そのような人の訪問があった場合は、不審者とみなし、現場事務所や管理会社、状況によっては、警察に通報することも念頭に置いていた方がよいでしょう。
この不審者と作業員を区別するために、大規模修繕工事の施工会社がよく提案するのが、「作業員のベスト(ビブス)の着用」です。
このベストには、施工会社の社名がプリントされていることで、作業員と不審者が一目瞭然に見分けられる・・・はずなのですが、実はここに盲点があります。
このベスト、本来であれば丁重に扱われるべきですが、道路に面した現場事務所周辺に不用意に掛けられていたり、風に飛ばされてなのかマンションの外に落ちているのを見かけたこともあります。それらを不審者に拾われて悪用されれば、せっかくのベストも何の意味もなくなってしまいます。
また、このベストには施工会社の名前がプリントされていますが、下請け会社が複数現場で使いまわしていて、印字が消えていたり、塗料が付着して印字が見えなくなっているようなケースもあり、社名プリントが無い無地のベストと何ら区別がつかなくなっていたりしていることもあります。
大規模修繕工事の作業員のベストはここがポイント
そこで、この大規模修繕工事中の作業員のベストについては次の4つの対応をお勧めします。
①費用の問題はありますが、ベストは施工会社名の入った汎用のものではなく、マンション名が入ったものを用意するよう施工会社と交渉する。
②ベストの紛失を防止するため、ベストに番号を記入させ、現場事務所の作業員の入退場記録とあわせて番号管理を行ってもらう。
③ベストが著しく汚れた場合は新しいものに交換してもらう。
④作業員のヘルメットにもマンション名のステッカー等を貼付してもらう。(マンションの駐輪ステッカーを代用しているケースもありました)
また、これらの対応をしっかり行ったとしても、最後に力を発揮するのは、住民の皆さんの防犯に対する意識です。
しかしながら、一般的に住民の皆さんは、着工直後は警戒しているものの、数ヶ月経つと作業員の出入りにも慣れてしまって、警戒心が薄れてしまう傾向にあります。
大規模修繕工事中は、マンションの防犯性能が落ちるということを認識し、防犯意識を高く維持していただきたいと思います。
なお、さくら事務所ではこのような点も踏まえて大規模修繕工事のコンサルティングを行っております。大規模修繕工事を控えている管理組合様は、ぜひご検討ください。