災害時のマンションの生活用水、知っておきたいルール

災害時、停電とともに、生活に大きな影響を及ぼすのが断水。

先日の大阪の地震では、23市町で断水・漏水・濁り水などの被害があり、一部地域ではまだ断水状態が続いています。

このような近年の度重なる地震への心配もあり、災害時の防災用食料や水などを備蓄しているマンション管理組合が多くなっています。

その反面、その安心感からか、家庭での備えは全くしていないという居住者の方もいらっしゃるようです。

災害発生後3日程度、家族全員が住戸内で待機できる分量の水・食料などを備えておくことが望まれます。

飲用水については1日に1人あたり3リットル程度を目安として準備しておくといいでしょう。

これにはもちろんトイレに使用する水などは含まれないので、水を必要としない簡易トイレも準備しておく必要がありますね。

地域は断水していないのにマンション内だけ断水に?

公営の水道管から各マンションの住戸に給水する方法は、主に2つあります。

災害発生時に止まるインフラにより、影響の出方が違います。

①直結直圧方式

・機械(ポンプ)を使わず公営の水道管から直接住戸に給水される
・主に3階建て程度の低層マンションでみられる方式
公営水道が断水すると、給水は停止する
・ポンプを使わず各戸に給水しているため、公営水道が断水していなければ停電しても水は出る
※「直結加圧方式」といって、公営の水道管からポンプで水を上に押し上げて給水しているマンションだと、停電時は水が使えない可能性があります

②受水槽方式

・公営の水道水をマンション内のタンク(受水槽)に溜め、受水槽からポンプで各戸に給水
公営水道が断水しても停電していなければ受水槽に溜まった分の水は出る
・停電するとポンプで水を押し上げられないため、公営水道が断水していなくてもマンション内だけ断水する

お住まいのマンションの給水方式は、新築分譲時の図面集を見たり、管理会社に問い合わせたりするとわかります。

受水槽方式の場合、「水をためないで!」の周知徹底を

受水槽方式の場合、停電にならなければ地域が断水していても、蛇口から水が出せる可能性が高くなります。

すると、バスタブやポリタンクなどに水をためる方が出てきます。

お気持ちは分かるのですが、多くの部屋の方々が地震発生直後、一斉に水を溜めたら、受水槽内の水は間もなく底をついてしまいます。

長期的に地域が断水する恐れがある場合は、マンション全体で公平に水を使えるよう、あらかじめ災害時マニュアルなどで水の使用を控えてもらうよう管理組合内で共有しておくことが大事です。

設備を活用して、受水槽の水を確保しよう

逆に受水槽方式には強みもあります。それは、受水槽内に貯留された水を大量に確保できれば、断水となっても給水ができるということ。

そのために、「緊急遮断弁」と呼ばれる設備の取り付けをおすすめします。

一般的な仕様では震度5相当の揺れを感知すると、自動的に受水槽から各住戸に給水される配管に取り付けられたバルブが閉鎖されます。

配管の折損や居住者の急激な利用などから貯留水を保護して、受水槽の中に非常用の生活用水を確保することができるのです。

長期の断水となった場合でも市や町の水道局からの給水車などによる給水が開始されるまで、貯留された水をマンション内で計画的に利用することが可能となります。

ただし、屋内にある受水槽は設置された部屋に鍵がかかっています。管理会社が駆けつけられない場合には理事などが鍵を開けられる仕組みを、管理会社と相談して講じておくといいでしょう。

 

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