【実例紹介】大規模修繕工事着工後に発見される不具合事例 その1

大規模修繕工事の足場を掛けてから発覚した、想定外の事態

分譲マンションでは、概ね12年から15年程度の周期で、大規模な修繕工事を実施することが計画されています。
実際の運営もこの計画に沿って進められているのがまだまだ一般的です。

(すべて修繕計画通りに修繕すべきかどうかはまた難しい話なのですが・・・。
そのお話はまたこちらで。 お役立ちコラム「ホントは12年目でなくてもいい!?マンションの大規模修繕工事」

第一回目の大規模修繕工事では足場を設置して、屋上、外壁(ひび割れ・タイル・吹付タイル・シーリング防水など)、バルコニー・共用廊下(床・天井・手すりなど)などの仕上げ部分が補修工事の対象となっています。
しかし、着工後、足場を利用した建物全体の調査により、これまで確認できなかった不具合がみつかり、全く予定していなかった工事や、予定していた工事の範囲(数量)を大幅に超えるような、想定外の事態が発生することも。

今回は、実際に最近ご相談頂いたケースをご紹介します。

外壁タイルの大量の浮き発覚、修繕費用を大幅オーバー

物件は、築15年・総戸数50戸程度のマンション。

第1回の大規模修繕工事をするにあたり、外壁タイルの2~3%程度(一般的とされる目安)を補修する予定でした。

ところが、工事の見積書を作成、請負工事契約を締結しましたが、建物全体の調査の結果、なんと20%を超えるタイルに補修が必要なことがわかりました。

不具合が発生しているタイルをすべて張替える場合の費用は6,000万円程度の費用が掛かります。

現状のタイルを剥がさずに、タイルの接着面にエポキシ樹脂を注入、ステンレス製のアンカーピンを打ち込むなどして補修した場合でも2,500万円程度が必要となる計算です。

全ての修繕箇所のトータル請負工事金額6,500万円に対し、大幅に予算オーバーすることになってしまったのです。

追加工事の発生を予測して、工事費とは別に予備費として500万円の予算を見込んでいましたが、それでも全然足りません。

施工会社から、調査の結果と追加工事の費用に関する報告を受けた管理組合の理事会・修繕委員会の皆さんは、はじめは何のことだかわからず理解できなかったそうです。

今起こっていることの重大性を認識され、修繕委員のメンバーを中心に対策を検討することになりました。

そこで、さくら事務所の管理組合向けコンサルティングサービスにたどりつかれ、お問合せを頂きました。

ご連絡を頂戴した数日後、マンションへお伺いしました。駅から数分歩くと総足場に囲まれたマンションが見えてきます。

修繕委員の方のお話では足場を設置してから、既に半年近く経過しているとのことでしたが、これからタイル不具合に関する原因調査を行い、分譲会社・施工会社へ報告書を提示、補修方法の検討、費用の負担などの交渉を行うことになりますので、トントン拍子に話が進んでも4~5ヶ月間程度は足場を解体することはできません。

足場の掛かったままでの生活も、長く続くとストレスに感じる方もいらっしゃるでしょう。

私たちが行った調査とご提案について、次回に続きます。

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