小規模マンションほど知っておきたい、大規模修繕工事の4つのポイント

  • Update: 2019-03-21
小規模マンションほど知っておきたい、大規模修繕工事の4つのポイント

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

マンションの大規模修繕工事といえば、何千万、何億というお金が動く管理組合の一大イベントですが、上手な進め方や注意すべきポイントはマンションの規模や個性によっても異なります。

例えば、小規模マンション

余分な共用施設がいろいろついておらず、建物の規模も戸数に応じて小さいため、大規模修繕工事の施工費用はもちろんタワーマンションや大規模マンションのそれに比べれば安く済むと考えられている方も多いと思います。

ですが、大規模修繕工事の施工費用の総額は安くても、戸数が少ないゆえに一戸当たりの修繕費の負担がどうしても大きくなってしまいます。

そのような事態にも関わらず、大規模修繕工事について誤解したまま進めてしまい、修繕積立金の負担を更に増やすことになっているマンションも。

ここでは、小規模マンションほど誤解してはいけない、大規模修繕工事の4つのポイントをご紹介します。

大規模修繕で失敗しないための3ステップ

「管理会社から工事提案書が出てきてから考えれば大丈夫」

大規模修繕工事前、管理会社が劣化診断(建物の調査)を行い、工事提案書を出してきます。

それを待っていれば大丈夫、と考えるマンション管理組合の方もいらっしゃいますが、管理会社からの工事提案書を待っていては手遅れに。

その内容が工事費が割高だったり、不要不急な工事が含まれていたりと納得できないものであっても、改めて建物調査をしてもらうと調査コストがまた掛かってしまうため、結局その管理会社が元請となるかたちでの選択肢で行わざるを得なくなることがあります。

大規模修繕工事は早めの準備が肝心です。

幅広い選択肢からマンションの劣化状態や不具合の有無にあわせて適切な修繕ができるよう、早めに準備に着手しましょう。

「大手管理会社の工事費は多少高くても、安心してお任せできるからしょうがない」

大手の管理会社が入っているマンションの場合、「やはり大手だし、日頃からお世話になってるし管理会社に大規模修繕工事もお願いするのも安心。多少高く見えるけど、それも安心しておまかせできる安心料だからしょうがない」と考える方もいるようです。

大規模修繕工事を大手の会社に発注しても、実際の工事を行うのは下請け会社です。

元請である大手が下請けへのコストを抑えてしまえば、工事品質の低下に繋がります。高い工事費=安心、とは限りません。

ですが、「大手に任せれば安心」は皆さんが陥りがちな発想であり、大手分譲のマンションは系列会社や子会社である管理会社が元請になって大規模修繕工事を実施するケースが多くなっています。

この方法では必然的に競争原理も働かないために、工事費が割高であるケースも多く見受けられるのです。

「大規模修繕工事は足場を掛けてきちんと修繕すべき!」

大規模修繕工事の際、高所作業のために架けられる足場。

工事完了後には何も残りませんので、ここに高額な費用が掛かってしまうのは本当にもったいないのですが、実は結構な割合を占めています。

一般的なマンションでは総工事費の15~20%ですが、小規模マンションでは比率はもっと高まる傾向があります。

ですが、ここには小規模マンションだからこそのコストダウン方法も。

外壁タイルなどの施工状態が良いことが確認できれば、高額な足場をかけて修繕をしなくても、小規模だからこそ吊り足場(ブランコ)工法などの代替手段で、費用を抑えて効率よく修繕できる場合も少なくありません。

更に、屋上の防水・シーリング防水・塗装などの工事は、より性能の高い高耐久性の材料を使うことで多少工事費が高くなっても、次回の修繕までの周期をのばすことにも繋がります。

併せて検討してみてはいかがでしょうか?

「設計監理方式なら、コンサルタントにお任せできるからラク!」

大規模修繕工事の施工会社選定において、問題になっている談合や癒着、バックマージンといった悪質コンサル問題。

水面下で行われる談合にも気がつかず、10%~20%も割高な工事代金を修繕積立金から支払っている管理組合が後を絶ちません。

設計監理方式は、あらかじめ管理会社や設計コンサルタントによって決められた仕様をもとに、施工会社の選定を進めていくために公平で透明な選定方式ですが、同じ仕様に基づいて見積もりを行うため、金額を調整するだけで簡単に談合ができてしまう側面もあります。

特に、極端に安価な費用で引き受ける設計監理方式のコンサルタントには要注意です。

施工会社からのバックマージンを受け取る前提だからこそ安価な業務報酬が設定されているのです。

(設計監理方式と談合についてくわしくはこちら 設計監理方式ではマンションの大規模修繕工事の談合は防げない

小規模マンションの大規模修繕工事にはメリットも!

小規模マンションの大規模修繕工事は戸当たりの修繕積立金の負担が大きいというデメリットだけではありません。

世帯数が少ないことから、合意形成がしやすく、物事を進めやすいという大きなメリットもあるのです。

適切な準備期間をとり、適切な対策を講じれば効率的に大規模修繕工事計画を進めることができるのです。

さくら事務所では、小規模マンションならではの特徴を考慮した大規模修繕工事サポートサービス「大規模修繕工事セカンドオピニオン(小規模マンション向け)」を行っています。

戸当たりの負担が大きいことも考え、メールや電話などのサポートをメインにした低額のセカンドオピニオンサービスです。

大規模修繕工事の進め方に迷うことあれば、お気軽にさくら事務所のコンサルタントにご相談ください。

藤ノ木 健二
監修者

藤ノ木 健二

大学卒業後、ゼネコンに勤務し、マンション新築工事、マンション大規模修繕工事、学校、病院などの耐震補強工事の現場管理業務に従事。

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ホームインスペクション(住宅診断)をはじめとする個人向け不動産コンサルティングや管理組合向けコンサルティングを行っている。400を超えるマンション管理組合のコンサルティング実績をもち、大規模修繕工事や長期修繕計画の見直し、瑕疵トラブルなどの管理組合サポートサービスを提供している。

【監修】さくら事務所マンション管理コンサルタント(マンション管理士)

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